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第21話 ハイブリッド生命体

 バートの説明は続く。発見したメガロドンは、死んでしまったが肉体は残っている。

 DNAを入手した時点で、とある計画が進行していた。それは軍用イルカの発展形。

 兵士の損耗を軽減する為に、影で進められていた実験。イルカで成功したのなら、その次はシャチだ。

 イルカよりも強く、知能も高い生物だ。シャチは体格もイルカより大きく、強靭である。

 湾岸戦争とイラク戦争で、実戦使用されたと言われていた軍用イルカ。その計画は、新たな局面を迎える。


「極秘の計画だった為、当時少尉だった君には教えられなかった。しかし、あの頃も確実に進んでいた。そこで見つかったのが、メガロドンだった」


 ルーカスは驚いていた。まさかそんな計画が、裏で進んでいた事実に。

 彼の心境を知ってか知らずか、バートは話を進めていく。2016年に見つかったメガロドンのDNA。

 軍の上層部は、軍用シャチの計画に取り入れる方向で、計画の方針を変更する。

 シャチよりも巨大な生物兵器の生産と、育成する計画が立てられた。

 ORCAから取ってO計画と呼ばれていた計画は、MEGから取ってM計画へと名称が変わる。


「民間企業が建設していたこのアクアノートは、ちょうどいい施設だった。秘密裏に軍が介入し、国家予算から資金が投入された」


 巷で陰謀論とされていた噂話は、それほど間違ってはいなかった。偶然にも、一部が合致していた。

 ただ作っていたのが、通常の兵器ではなかったというだけで。軍事施設であったのは正解だ。

 しかしM計画は、簡単に上手く行かなかった。メガロドンが衰弱していたのは、環境が問題だった。

 恐らくメガロドンは、超深海へと逃げ延び絶滅を回避していたと、研究の初期に判明。

 つまり水深400メートル程度の環境では、生きていく事が出来ない。単なるクローンでは、すぐに死んでしまう。


「そこで我々は、別のサメをベースに新たな生命を作る事にした。様々な種を試した結果、オオメジロザメが最も適していると分かった」


「……オオメジロザメは、環境に適応する能力が高いサメだ。その選択は一応理解出来るけど……」


 彰人はオオメジロザメの起用に、一定の理解を示す。熱帯や亜熱帯、果ては淡水ですら生息出来るサメだ。

 しかしだからと言って、メガロドンと配合するなんて。彰人には到底理解出来なかった。

 バート達はそれから、オオメジロザメにメガロドンのDNAを追加して、製造を始めた。

 稚魚までなら上手く行ったが、今度は成魚まで成長しない。巨大化に耐えられず、死んでしまう。


「そこで我らの研究主任、トーマス博士がやってくれた。本来なら全く別の生物、シャチのDNAを混ぜる事で問題を解決した」


「……」


 やや大仰な素振りで紹介されたトーマス本人は、巨大な実験体しか見ていない。

 バート達の反応に興味はないようだ。助手のアイリスも同じく、招待客達を見ようともしない。

 2人の反応を見もせずに、バートは説明を続ける。自らの功績を披露する事に、彼は集中している。

 オオメジロザメをベースに、メガロドンとシャチのDNAを投入した、成功例を指差す。


「1体目のアルファは、ここまで大きく成長した。想像以上の成果だったよ。なにせコイツは、骨格を有している。シャチの知能と骨格を持ち、メガロドンの巨大さ、そしてオオメジロザメの適応力を併せ持つ。最高の兵器が完成したのだ」


 人間の指示を理解し、骨格を持っており非常に頑丈だ。シャチが強いのは、強靭な肉体を持つからだ。

 そこに20メートルの全長と、淡水でも活動出来る高い適応能力までこの生命は持っている。


「だが――本来シャチとオオメジロザメは、非常に危険な生物です! 言う事を素直に聞くとはとても……」


 生きて今目の前で、悠々と泳いでいるのは良い。現実を受け入れるとしても、彰人には安全とは思えない。

 きわめて深刻な生命への冒涜を、一旦無視するとしても。危険な生物の掛け合わせにしか見えない。


「その点については、幼い頃から躾を行っている。その上で、脳にチップを取り付け指示を出している。こんな風にね」


 バートがリモコンを操作すると、指示通りに旋回や前進を行う。遠くへ行き、また戻って来る。

 確かに指示通りに動いている様子だ。しかし本当に安全なのか、彰人達学者組が懐疑的な視線を送る。

 シャチと同等の知能があっても、安全性の証明にはならない。シャチがトレーナーを殺した事故だってある。


「それでもまだ、不十分だというのだろう? 分かっているさ。我々にも限界はある。更なる安全性の向上と、複雑な指示に従うよう改良したい。だから君達を呼んだのさ」


「アンタ……正気かよ少佐」


 ルーカスは心底呆れたという表情で、バートを見ている。狂っていると心から思っている。

 かつての上官であった為に、発言をマイルドにしただけ。とても正気には見えなかった。

 トミー以外のメンバーも同様だった。特にメイジーやソフィアは、冷ややかな目を向けている。


「冗談じゃないわ。こんなの動物虐待よ。手伝えるわけない」


 メイジーは殊更に冷たい声音で、不快感を示す。彼女はイルカが1番好きだが、シャチはその次に好きだ。

 とてもではないが、こんな行いを許すつもりはない。協力なんて出来ようもない話だ。


「ふざけないで頂戴。戻ったらメディアに全部バラすわ!」


 本来ならムードメーカーなソフィアも、不愉快だと言わんばかりに怒りを示す。

 女性2人が退出しようとすると、入り口から迷彩服を着た屈強な男達が、ぞろぞろと姿を現す。その手に自動小銃が握られている。


「君達はサインした誓約書を、最後まで読んでいないのかな? 国家の機密情報を知って、簡単に出て行けるとでも?」


 余裕な態度を崩す事なく、バートは堂々と立っている。ルーカス達の間で、緊張が走った。

IQ3万天才科学者ナカジマ「シャチとメガロドンとオオメジロザメを混ぜれば最強や! Vやねん! ノーベル賞はもろたで工藤!」


このサブタイトルに対して、「これ蘇っている、か?」という微妙さが売りです。

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