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第10話 アクアノート研究エリア

 アクアノートには、大きく分けて3つのエリアがある。1つ目はメディア対応などにも使われる一般エリア。

 ここには関係者の家族を招待したり、出資者の歓待等に使われたりする。地上部分と地下3階までが一般エリアだ。

 宿泊施設やレストラン、バー等が用意されている。ただしアクアノートの北側は、関係者以外立ち入り禁止となっている。

 施設の中心から南側が一般職員と一般人が利用でき、中心から北側は特別な研究に使われている。

 北側へ行く為には専用のキーカードが必要で、所有を許されていない者は立ち入る事が出来ない。


 南半分しか入れないとしても、アクアノートの面積は300平方キロメートルもある。

 おおよそ琵琶湖の半分程度の広さと思えば、十分過ぎる程の範囲がある。徒歩で回り切るのは難しい。

 その為、地上では移動用の車両が、施設内では小型のトラムと専用のステーションが用意されている。

 エレベーターも複数存在しており、最下層まで直通のものや、各階で停止するもの等がある。

 地下4階からは研究施設であり、海洋生物を収容するプール等も含めて、最下層の50階まで存在している。


 現在ルーカス達が案内されているのは、4階の研究エリアだ。研究エリアは最新の設備が用意されている。この階では熱帯魚の研究が行われている。

 5階には熱帯の海や湖を再現したプールがあり、4階でモニタリングや絶滅危惧種の管理を行っている。

 例えばアジアアロワナやゼニタナゴ、ミヤコタナゴ等が絶滅危惧種として管理されている代表だ。

 アドルフの案内で、各施設の説明が行われている。彰人達学者組は興味津々でアドルフの話を聞いていた。


「この部屋では、アジアアロワナの交配を補助しております」


 アドルフが示した先には、沢山の水槽が並びアジアアロワナの番が泳いでいる。その光景に彰人は感心していた。

 絶滅危惧種は魚類だけでもかなりの数がいる。日本だけでも海洋魚類が16種、淡水魚に至っては40%が絶滅危惧種だ。

 それ程までに深刻な状態にあっても、日本は絶滅危惧種が多い国トップ10に入らないのだから恐ろしい。

 世界中で今も絶滅危惧種に対する対応が続けられているが、上手く行っていない生物は多い。


「素晴らしい試みですね。以前から気にはなっていたので」


 彰人は元々アクアノートに興味を持っていた。噂程度だが、ホホジロザメの飼育に成功したという話を耳にしていた。

 ホホジロザメは飼育が難しく、水族館程度の水槽では長く生きられない。水族館の飼育では、数日で死亡してしまう。

 巨体ながら高速で外洋を泳ぐ生態から、単なる水槽ではストレスを与えてしまう。長期飼育の成功した例は1件のみ。

 1984年から2011年にかけて、モントレー湾水族館が、最長198日間の飼育に成功している。それ以降の成功例はない。


「噂で聞いたのですが、ホホジロザメの飼育に成功したとか?」


 彰人は思い切って聞いてみる事にした。今日ここへやって来たのは、何よりもそこが気になっていたからだ。

 彼の質問に対して、アドルフはややオーバーなリアクションを見せる。目を見開いて驚いている。


「公式発表はまだしていないのですが、よくご存じでしたね」


「いえ、仲間内で噂を聞いただけですよ」


 彰人は謙遜して答えているが、早く見たいという気持ちが高まっていた。僅かな表情の変化だったが、アドルフは気づかない。

 この中で彰人の内心に気づけたのは、元交際相手のメイジーだけだった。彼女は呆れながらアドルフに伝える。


「彼、早く見たいんじゃない?」


「おや、そうでしたか? 言って下されば良いのに」


 メイジーにはバレバレだったので、彰人は少し恥ずかしそうに頬を掻いた。そうであるならばと、アドルフは全員に尋ねる。


「ミスター彰人が見たいそうなので、先にホホジロザメのエリアへ行きますか?」


 ホホジロザメの飼育は珍しいので、彰人程ではなくともメイジーとソフィアは興味があるので頷く。

 ルーカスとトミーは、絶滅危惧種の保護に対する興味は特に無い。このまま退屈な話を聞くよりはマシだった。

 和美はどうでも良かったので、適当に頷いておいた。拒否する者は誰も居なかった。


「お好きにどうぞ」


 ルーカスは肩を竦めながら答える。彼は連れて来た理由を早く教えて欲しかった。海は好きだが、勉強は好きじゃない。

 生物の授業を聞かされているみたいで、正直面倒だと思っている。とはいえ良い大人が、みっともない姿を見せられない。

 あまり気乗りしないものの、大人しく従う事にした。アロワナを見るよりは、まだ見応えがあるだろうという判断だ。

 トミーは金になる話なら何でもよかった。彼は新しいビジネスを教えると言われて、ここへ招待されている。

 ホホジロザメを見せて金を儲けようというなら、それはそれで構わない。彼が好きなものは、お金と女性、そして自分だ。


「オーケーならついて来て下さい。10階まで行きましょう」


 アドルフが両手を叩きながら、案内するルートを変更する。彼の手招きに従って、ルーカス達は移動を開始する。

 アクアノートの研究エリア、地下10階は絶滅危惧種、ホホジロザメの飼育及び研究の為に用意された場所だ。

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