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7/10

完結編!!

時は流れ、気づけば五年が経っていた。


その日、筱月さつきは街を散歩していた。

穏やかな午後の空気の中、不意に——


「わっ!」


元気いっぱいの小さな子どもが、勢いよくぶつかってきた。


思わず足を止め、顔を上げた瞬間、

筱月は目を見開く。


——似ている。


目の前の少女は、どこか曉雨あめに似た面影を持っていた。


「お姉ちゃん、私たち……どこかで会ったことある気がする!」


少女は首をかしげ、無邪気にそう言う。


その一言、その声色。

その“間”。


筱月の胸が、大きく脈打った。


——間違いない。


一瞬で理解した。

目の前にいるこの子が、誰なのかを。


込み上げる感情を必死に抑えながら、筱月はそっと少女の手を取る。

温かい。

確かに、触れられる。


五年前には、叶わなかったこと。


「……おかえり。」


小さく、噛みしめるように言った。


「戻ってきてくれたのね。

私の、大切な友だち。」


胸の奥が熱くなり、涙がこぼれそうになるのを必死に堪える。

筱月は、少女の表情や仕草を、慎重に見つめた。


そこには、確かに——

あの頃の曉雨の面影があった。


少女は、ぱっと明るい笑顔を浮かべる。


「お姉ちゃん~!

私たち、最近ここに引っ越してきたの!

これから、ご近所さんだよ!」


その屈託のない笑顔は、まるでこう言っているかのようだった。

——私は、ちゃんと帰ってきたよ。


筱月の胸に、言葉にならない喜びが広がる。


彼女はその場にしゃがみ込み、少女と同じ目線になって、微笑んだ。


「そう。

これから、ずっとご近所さんね。」


「じゃあ、たくさん一緒に遊ばないと。」


少女は嬉しそうに、何度も頷く。


——今度こそ。


筱月は、心の中で誓った。


もう、二度と。

この小さな命を、悲しみにさらすことはしない。


必ず守る。

平穏な日々を。

笑顔あふれる未来を。


この子が、幸せな人生を歩めるように。


筱月は、少女の手をぎゅっと握りしめた。


それは、

失われた過去への弔いであり、

新しい未来への、確かな一歩だった。


——完——

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