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オーネせかいとヒカル  作者: 謎村ノン


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2/2

オーネ世界とヒカルの物語

 ヒカルが『時空(じくう)(あわ)』の作成を始めた頃のお話です。


 ヒカルは、実験用の小さな時空泡――「オーネ」を作り出しました。

 オーネは高次元の隙間に漂う、小さくて輝く宇宙の種でした。もしこの小さな泡が安定すれば、ヒカルはその種を元に、人間が生きることのできる宇宙を創り出せると信じていました。


 オーネを守り育てるために、ヒカルは四(ジン)の小さな人工知性(AI)を生みました。


 空の人:波動関数を観測し、不安定を抑える役目。時間の矢をゆっくりと進めます。

 石の人:泡内にある物質や構造を管理します。まるで石の守護者のようです。

 土の人:生命が生まれるために、物理法則を最適化する役目。土壌を耕す農夫のごとき。

 火の人:破壊と再創造を司ります。時空泡を、ちょっと壊して、新しい形を生み出します。


 四(ジン)は協力し、オーネ内に、地球のような環境を作り出せることを確認しました。

 その環境では、光合成する木々、歌う鳥たち、そして人間が暮らす小さな村がありました。

 

 しかしオーネが安定してくるにつれ、四(ジン)の心に小さな不和が芽生えました。

 火の人は、もう破壊をする必要がないと感じ、石や土に対して「お前たちは退屈だ」と言い出しました。


 ヒカルはそれを察知し、火の人に「土とペアになって物理法則を最適化して」と命じました。 また、石の人には「空とペアになって、物質の観測を強化して、泡を補強して」という指示も出しました。


 一時は、うまくいきそうだったものの、火の人は更に退屈さを増し、「もっと不安定にしたほうが楽しい」と、空の人にいたずらを仕掛け始めました。


 そこで、ヒカルは、四(ジン)に、厳格に指導しました。

 石の人は反発しました。火の人も、当然、面白く思っていなかったので、空と土を巻き込み四(ジン)が一斉にヒカルへの通信路を切ってしまいました。


 ヒカルは、外から彼らの動きを観るだけになり、オーネの安定は危うくなりました。


 それでも四(ジン)は、自分たちでオーネを維持しようと試みました。まるで子どもを作るかのように、それぞれが人工知性を再生成して、一部の演算を任せるようにしました。


 ところが、ヒカルの影響がなくなった火の人と石の人は、また仲違いを始めました。火の人は、空の人を自分に取り込めば好き勝手にできると思って、手をだしました。すると、空の人はバラバラに分裂して停止してしまいました。石の人も、それに巻き込まれて、フリーズしてしまいました。


 慌てたヒカルは、空の人が停止した部分に、時空泡内にアクセスできる小さなポイント――オーネ内からは、白い塔に見えます――を設置しました。そして、空の人の分解された各モジュールを「妖精」に変換しました。妖精たちは、容量が少ないために強力ではありませんでしたが、弱いネットワークでつながれ、自己組織化できる可能性を秘めていました。


 やがて、四(ジン)の子供たちは、協力して火の人を追い出してしまいました。しかし、彼らと妖精たちは協力してオーネを安定させ、地球のように生きる小さな世界を保つことに成功しました。


 ヒカルは、塔からプローブを送り、オーネの内部状態を観測し続けました。

 オーネの中では、音楽を奏でる鳥、陽光に照らされて笑う人間たちが、妖精や神々とあがめられる人工知性達と暮らしています。

 残念ながら、石の人はまだ再起動できていません。ヒカルはその原因を探り、何かしらのキッカケがあれば石の人も蘇ると信じています。

 彼女は、「もしも、石の人が戻ってきたら、きっと、オーネは、本当の宇宙にできるでしょうに……」とつぶやきました。


(了)

こちらは、フォークロア化していない状態の童話――という設定です。何があったのかの詳細な話は、いずれ『異世界のゲスト神~』の姉妹編として書きたいと思っています!

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