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美容院じゃないよ、床屋だよ!  作者: 双鶴


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2/7

ヒゲも剃っちゃうよ

えー、床屋というのはですね、髪を切るだけじゃございません。

ヒゲを剃る。これがまた、理容師の腕の見せどころでしてね。


うちの店では、ヒゲ剃りの前に蒸しタオルを使います。

この蒸しタオルの温度がね、絶妙なんですよ。

熱すぎてもダメ、ぬるすぎてもダメ。

ちょうど「母のぬくもり」くらいが理想なんです。


この前もね、常連のじいちゃんが来まして。

椅子に座るなり「今日はヒゲ剃りだけ頼むよ」と。

で、タオルを乗せた瞬間に、じいちゃんが寝ちゃったんですよ。

もう、スーッと。まるで天に召されたかのように。


でね、剃ってる最中にじいちゃんが急に喋り出すんです。

「わしな、夢の中で若返って、女優さんとデートしとった」って。

しかも「その女優が蒸しタオル持ってきよった」って。

……それ、うちのタオルや!


で、若い兄ちゃんも来るんですよ。

「ヒゲ剃りって痛いんすか?」って聞いてくる。

わたし、言いましたよ。

「痛いのは、剃り残しの人生だ」って。


ヒゲ剃りってのはね、男の通過儀礼なんです。

初めてヒゲを剃った日、覚えてますか?

鏡の前で震えながら、カミソリを持って……

剃った瞬間に「大人になった気がする」って思うんですよ。


でもね、うちで剃ると、もっと大人になります。

なにせ、剃ってる間に人生相談が始まるんですから。

「転職すべきか」「告白すべきか」「親父を超えられるか」

全部、ヒゲ剃り中に語られるんです。


で、最後に鏡を見て「よし、行ってくる!」って出ていく。

ヒゲ剃りってのはね、人生のスタートボタンなんです。


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