第2話「バベル・トーナメント開幕」
俺の名はカイ=アルト。
昨日までただの逃げ腰だった俺が、今こうして“世界最強決定戦”――バベル・トーナメントの会場に立ってる。
いや、正確に言えば、立たされてる。
このトーナメントに参加するだけで命がけ。勝てば支配者、負ければカードごと人生終了。
ルールは簡単だ。
カードバトルで、最後まで生き残ったやつが勝者。
それだけ。
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会場となるのは、かつての首都だったと言われる“旧エデンシティ”。
街全体が崩壊したスタジアムと化し、各ブロックで戦いが行われている。
上空には、審判型ドローンが常に監視していて、敗者が出るとすぐに回収されるらしい。怖すぎ。
で、そんな中、俺の初戦の相手がこいつだ。
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「ふふふ……私の名は、ガンマ=メグネイト。天才よ」
うさんくさい白衣、ガチャガチャうるさい機械仕掛けの背負い物。
いかにも「科学で戦ってます」感を出してくる男。
「貴様のカード運なんて、私の計算式で全て無意味にしてやるわ」
「うわ……もうこの時点で、イライラしてきた」
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【DUEL START】
ガンマ=メグネイト
▶ LP:4000/計算・確率操作型デッキ
カイ=アルト
▶ LP:4000/???デッキ(オリジン封入済)
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「先攻はもらうぞ!」
ガンマが超高速でカードを配置していく。
▶ 《確率補正装置》:ドローを任意の3枚から選べる
▶ 《演算型召喚獣・デルタ》:攻撃力1500、場にいるたび手札のサポートカード効果倍増
▶ 《計算完了》:相手ターンの行動確率を事前に封じる(50%以上の確率を予測し、妨害)
「フッ……お前の選択肢は、既に80%以上潰した」
「……それ、なんかズルくね?」
「ズル? いやいや、これは論理だ。“運”に頼る君のほうがズルなんだよ!」
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自分の番が回ってくる。が、こっちは何も手札がない。
正確に言うと、《オリジン・エンペラー》以外のカードは全部ノーマル、構築未完。
運に頼る? いや、そうじゃねぇ。
俺は――
「引く。勝ち筋が0.01%でもあるなら、そこを狙って“引く”だけだ。」
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ドロー。
俺の手に触れた1枚は、いつもの、あの感触。
▶ 《覇王の始祖》
光が走る。空間が振動する。
機械仕掛けの計算式が、オリジンの気配に砕かれていく。
「な、なんだと!? そのカード……計算外だと!?」
「そうだよ。このカードは、“選ばれし者”にしか引けねぇ一枚なんだよ。」
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オリジン召喚。
▶ 効果発動:場の全サポートカード無効/攻撃力無限上昇(条件:恐れずに引いた場合)
《演算型召喚獣・デルタ》を一瞬で粉砕し、
ガンマの確率操作フィールドを一撃で破壊。
「こ、これは……確率0%の……敗北だと……!」
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【DUEL END】
勝者:カイ=アルト
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「……ほんと、クセの強い連中ばっかだな、この大会」
バベル・トーナメントの参加者は、各地の覇者やカード異能の使い手ばかりらしい。
そして、その中でも一人だけ、異常な強さを誇る男がいるという。
ジン=ブレイザー。
《オリジン・エンペラー》にかつて選ばれ、そしてそれを捨てた男。
そいつがこのトーナメントの最後に待ち構えている。
俺は、そこまで勝ち上がれるのか。
オリジンは、いつまで俺に答えてくれるのか。
でも、進むしかねぇ。選んだからな。引くって。
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「この命、引き切るまでが俺の仕事だ」
第3話「巫女と千の未来」へ続く――