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お前に掛けたれた賞金は安いからいつもなら見逃すのだが  作者: Soh.Su-K
第一章 三節 軍令・調査依頼編

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第44話 焦りは禁物だ

ガル、魂世界から現世へ帰還。

しかしその第一声は「顔が近い」──グローの心配もどこ吹く風。

そして物語は、ちょっとした“やらかし”から再び動き始めます。

「ガル!起きたか!」


 ぼやけた視界の向こうから、グローの顔がぐっと近付いてきた。


「……顔が近いって」


 俺は咄嗟に手でグローの顔を押し返しながら、寝転んでいた身体をゆっくり起こした。


「なんだよではない!」

「呼吸も心臓も止まっていたんですよ!?」


 サリィンとコフィーヌまで、顔を真っ青にして俺を囲んでいる。

 ああ、やっぱり魂と身体が分離するってのは、肉体的にはかなりヤバいことらしい。


「悪い悪い、心配かけたな」


 照れ隠しに笑ってみせると、コフィーヌがすぐに近付いてきた。


「どこか痛むところは? 脈は……問題ないですね」


 手慣れた様子で手首を取られ、俺は少し驚いた。


衛生兵(メディック)の資格持ちか?」

「はい。基礎程度ですけど、応急処置なら一通り……」


 真面目な顔で言うコフィーヌに、何となく頼もしさを感じる。


「なんじゃい、心配させおって」

「寝てただけのつもりなんだけどな……」

「心配して損したわ」


 グローがぶっきらぼうに背を向ける。照れているのか、気まずいのか、まあその両方だろう。


 魂世界でウラグに会ったことは黙っておいた方がいい。あれは説明しても信じて貰えそうにない。


 少し煙草でも吸って気を落ち着けようと立ち上がろうとした、その時だった。


「あっ、まだダメです!」


 コフィーヌが俺を止めようと近付いた、まさにその瞬間。


「うわっ」


 バランスを崩した俺は、そのままコフィーヌの上に倒れ込んだ。


「あいたた……」


 咄嗟に支えた手に、柔らかく控えめな弾力が伝わってきた。


「……」


 妙な沈黙。


「……あの、手、どけてもらえませんか?」


 見れば、俺の手はコフィーヌの胸をがっつりと掴んでいた。


「……コフィーヌ、お前……」

「……はい」


 コフィーヌの顔は真っ赤に染まっていた。


「……女だったのか……」


 まるで雷に打たれたような衝撃。


 俺は反射的に飛び退いて、穴の奥の闇へ消えてしまいたい気持ちになった。


コフィーヌの“秘密”が明かされ、ガルは盛大に動揺。

それでも一行は地上へ戻り、木こりの町の現状を目の当たりにします。

焦らず、騒がず、まずは一歩ずつ。調査編、ようやく本番です。

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