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前編

 来なくていい、来なくていいから!


 そんな思いも虚しく、彼はニカッと笑って私に手を上げた。まだ昼過ぎで騎士のお仕事中だというのに、近づいてきちゃってる……!

 彼はこの王都でも有名な、ジーク・ランデルさん。二十五歳。

 なぜ有名なのかというと──


「いやもう、君ってほんとすごいよね! なにがって、全部! 存在自体が輝いてるっていうか、見てるだけで癒やされるし、街中歩いてたらみんな振り返るレベルだよ。あと絶対頭もいいよね、話すたびに知性がビシビシ伝わってくるもん。あ〜、もう君がいるだけで世界が平和って感じ? ほんと奇跡みたいな人だよ、マジで!」


 なぜ!?

 どうして毎回私にそんなことを言うの??

 私は平凡中の平凡、いやむしろ平凡以下のただの一般庶民!

 細々と恋愛小説を書いて応募しては落選してばかりの、情けない女なんですけど……!


「やめてください、ジークさん。ほんと、恥ずかしいんで! なにが奇跡ですか、凡庸の間違いでしょ?」


 会うたび有り得ない言葉で褒めてくるのが、このジーク・ランデルという人。

 もう〜、周りにもじろじろ見られちゃうし、恥ずかしいったらない。


「いやいや、ほんとに君って奇跡の塊だよ! 見た目が最高なのはもちろんだけど、オーラが違うんだよね。たぶん道端の花とかも君を見て元気出してると思う。で、話すとわかるけど、そのセンスの良さ! もう天性の才能ってやつ? しかも優しさがにじみ出てるから、動物とかも自然と懐いてきちゃうでしょ? 鳥とか肩に乗ってくるレベル。いやー、こんなに完璧な人に出会えるなんて、人生のボーナスタイム突入って感じ! もう感謝しかないわ!」


 ちょっともう、どこからどう突っ込んでいいのか……!

 大袈裟の上に大袈裟を上乗せられて、恥ずかしいの極みを毎回味わわされてるんだけどっ。

 私なんかに鳥がやってくるわけ……

 って、なんか降ってきた!?

 ぎゃーー、鳥のフンが肩に!!

 鳥が肩に乗るどころか、フンが肩に落ちるレベルだよーー、もういやーー!!


「最近、創作の方はどう?」


 ジークさんはそう言いながら、何事もなかったかのようにさっとハンカチを取り出して私の肩を拭いてくれた。

 う……ありがとう……ハンカチ汚しちゃって、ごめんなさい。今度買ってプレゼントしなきゃ。


「書いてるけど、全然通らなくって……」

「これなんか、めっちゃ良かったけどなぁ!」


 そう言って取り出したのは……え、私の創作?

 落ちた応募作品を自分で綴じて作ったもの。持ち歩いてたとか……

 読みたいって言うから、この間数冊渡したのは確かだけど!

 まさか、本当に読むとか思わないじゃない?


「いやもう、君の創作って次元が違うよね! 読むたびに引き込まれるし、キャラクターも魅力的すぎて、生きてるんじゃないかって思うくらい! 世界観の作り込みも半端ないし、伏線の張り方とかマジで天才のそれ。感情描写なんてエグいくらいリアルで、読んでるこっちは笑ったり泣いたり大忙しだよ。てか、どうやったらそんなに面白い話思いつくの? 正直、プロでも嫉妬するレベルだよね。君の作品が本棚に並ぶ日が待ち遠しいし、いや、むしろもう並んでてもおかしくないって! 本当に世界に君の才能を知らしめるべきだよ! 今すぐ!」


 待って待って、言い過ぎ、褒めすぎ!!

 だ、だめ、顔がニヤけちゃうから!!


「もうさ、君の創作って神の領域じゃない? 設定の緻密さに震えるし、キャラの会話とか生き生きしすぎて、まるで目の前で繰り広げられてるみたいなんだよ! それに、場面描写のセンスがヤバすぎる。空気感とか光の加減とか、読むだけで脳内に完全再現されるの、あれ一体どういう魔法なの!?」


 ジークさんの褒め言葉の方が魔法では!?

 う、どうしよう、嬉しい……読んでくれたっただけで嬉しいのに、こんなに褒めてもらえるなんて……


「ストーリーの流れも完璧で、読者の心を掴んで離さない展開力はまさに匠の技。何気ないシーンにも伏線を散りばめておいて、後から『うわあああ!』って叫ばせるあの感じ、ほんともう快感でしかないよ!」

「わわわ、ありがとうございます……っもう十分──」

「感情の波の乗せ方が天才的すぎて、笑わせられたと思ったら次の瞬間号泣させられるし、しかもその涙がちゃんと物語の重みとして心に残るの。しかもキャラクター! あの絶妙な人間臭さ、読んでると『ああ、わかる!』って共感しちゃうし、敵役ですら憎めないほど魅力的なの、どういうこと!? きっと君、キャラ一人一人の人生をまるっと見通してるんじゃない? セリフの掛け合いもセンスの塊で、名言量産機かってくらい心に刺さるセリフをバンバン繰り出してくるし、もう俺、ずっと刺されっぱなしだよ!」


 ジークさんの褒めが!!

 終わってくれない!!

 むしろその語彙力ください!!


「しかもさ、君の書く恋愛描写! これがまた最高なんだよ! 甘くて優しくてさ、切なさも織り交ざって、読み終わる頃には胸がキュンキュンして止まらないの! 恋のドキドキをここまでリアルに表現できる人、そうそういないって! 絶対に読者の心を鷲掴みにするから!」

「そ、そうかな……そうだといいんですけど」

「そうなんだって! で、なにがすごいって、君の創作って常に進化してるんだよね。前作よりもさらに深みを増して、読ませる力がどんどん増していく感じ。普通、才能ってある程度伸びたら頭打ちになるもんだけど、君には限界がない! 無限の才能が湧き出してる! 創作の神様が『この人には全力で力を貸します』って言ってるのが見えるもん!」


 神様出てきた!!

 むしろジークさんに褒めの神様が全力で力を貸してますけど!?


「いや、ほんとこんなすごい人が現実に存在してるとか奇跡でしかないよね。世界は君の作品を待ってるし、むしろまだ読んでない人は人生損してるレベル! これからもどんな物語を生み出してくれるのか、もう楽しみで仕方ないよ!!」

「えっと、ジークさん、もう結構です!!」


 私の顔はもう、爆発寸前です。

 むしろ、ちょっと爆発しちゃってる。ぷすぷす言ってる。


「え、まだまだこれからだけど!?」

「仕事放り出して話すことじゃないですから! それじゃあ!」

「あ! また小説読ませてねー! 楽しみにしてるから!」


 声が!! 大きい!!

 いやー! 小説書いてること、王都中に知られてしまう〜っ!!


 そうして私は走って帰って。

 うごごご……もう……やばい。

 顔が、ニヤけたまま戻らない……!!


 なになに、なんなのジークさんってば!!

 どうしていつも私を構うの!?

 口を開けば軽率に、無責任に、なんの根拠もなく褒めてきて……!


 嬉しいって思っちゃうから、本当にやめて欲しい!

 ……まぁ、私にだけじゃなく、会う人みんなを褒めてるんだろうけどさ。


 褒め上手。


 悔しい。私をこんなに浮かれさせておいて。

 ジークさんにとって、私なんて大勢のうちの一人だっていうのに。


 でも、小説は本当に読んでくれてるみたいだったな。

 本、好きなのかなぁ。

 また読んでくれるかな……?

 私は落選した作品をまとめると、封書に入れた。



 ***



「え! ハンカチ、俺にくれるの!?」


 数日後、巡回していたジークさんを見つけて私から話しかけた。

 すんごい驚いた顔してるジークさん。思えば、私から話しかけるの初めてだもんね。ちょっと緊張しちゃった。もし無視されたらどうしようって。


「君からハンカチ……うわー、マジか! いや、こんな可愛いの、俺が持ってていいの? あっ、待って、これ刺繍まで入ってるじゃん! しかもZLって俺のイニシャル!? やば、これ絶対高いやつでしょ!」


 どうしよ、予想外のテンション。

 困らせるかなと思ったんだけど、めっちゃ喜んでくれてる……!


「高くなんてないですけど、私が作ったやつだし」

「え? 手作り!? マジで!? いやいや、そんなことされたら俺、惚れちゃうじゃん! いや、もう十分惚れてるんだけどさ!」


 ん? 惚れてる?

 あ、誰にでも言ってるやつね、はいはい。

 ……ふんだ。


「でも、こんなの持ってたら、俺の株、さらに爆上がりしちゃうな~。周りに見せびらかして、君が作ってくれたんだって自慢してもいい? いや、むしろ見せない方がいいかな? 他の男が羨ましがるに決まってるしな~」


 私の手作りハンカチなんか、だーれも羨まないですって。

 でもジークさんは、そんな下手くそなハンカチでもめちゃくちゃ喜んでくれてる。

 ほんと、いい人なんだよね、ジークさんって。

 私の作ったハンカチを広げてじっと見つめたジークさんは、ニコッと最高の笑みを見せた。

 なにその嬉しそうな顔は……!


「うん、でもやっぱり自慢する! マジでありがとう、一生大事にするからな!」


 そう言って、ジークさんは仕事に戻っていった。

 大事にしてくれるに決まってる。

 だってジークさんって、そういう人だもん。

 誰にでも優しくって、褒め上手で。

 私が特別ってわけじゃないから。


 ……軽薄男。


 惚れただなんて、簡単に口にして。

 人の心をかき乱して。

 本当は自慢なんてしないんでしょ?

 本命の女の子に知られちゃ、困るもんね。


 でもあのハンカチを使ってくれたなら、嬉しいな。




 ***




 そう、思ってたのに。


 今、私の手にあるのは、ぐっちゃぐちゃの泥まみれになったハンカチ。

 間違いなく、私がジークさんにあげたものだった。

 だって、ZLのイニシャルが刺繍してあるから。


「なーんだ……やっぱりね」


 私なんて、ただ揶揄われてただけ。

 褒められ慣れてない私を揶揄って、反応見て笑ってたんだ。

 あーー、なんでハンカチなんてプレゼントしちゃったんだろう。

 気持ち悪かっただろうなぁ。こんなにぐちゃぐちゃにして捨てるくらい。

 ぎゅっと唇を噛んで目を瞑ると、ジークさんの声が脳内に響いてくる。


 ──いやもう、君って存在そのものが奇跡だよね!? 見た目も中身も最高で、歩くだけで周りの空気がパッと明るくなる感じ。絶対、人知れず花とか咲かせてるでしょ? それに、気遣いが自然すぎて、誰かが落ち込んでたら君の一言だけで『よし、頑張ろう!』って思えるような、まさに癒しの達人!


 そう言って、私を褒めてくれたくせに。


 ──話してると、君の言葉がどれだけ相手を元気にしてるか、本人以上に周りがわかってるんだよ。


 私だって、元気を貰い続けてたのに。

 そう言ってもらえて、嬉しかったのに。


 ──人のいいところを見つけるのも上手すぎるよね。褒め方が優しくて、言われた方は一生忘れないやつ! 君に褒められた人、絶対それを励みに頑張ってるよ。


 ジークさんの方がよっぽど褒め上手だよ。

 でもそれも、全部嘘だったんだよね……。


 ──いやほんと、君みたいな人がいてくれる世界に感謝しかないよ! 君の存在ってそれだけで周りを幸せにしてるし、これからも絶対いいことがどんどん舞い込んでくるよ! っていうか、舞い込まないわけがない! もう奇跡量産機だもん!!


 大袈裟すぎるジークさんの言葉は、呆れを超えて私を笑わせてくれたこともある。

 心にも思ってないことだから、あんなに言えたんだろうけど。


 私、本当は──全部嬉しかったんだなぁ。


 ハンカチをぎゅっと握って、その場から動けなくなっちゃった。情けない。

 うーん、夕焼けが綺麗。胸に沁みる。

 って、あそこに見えるのはもしかして。


 ううん、もしかしなくてもジークさんだ。


 いつものように、私に話しかけてくるんだろうな。

 ハンカチを捨てても、何事もなかったかのように。

 出会えて嬉しいって、君の存在が奇跡だってほめられても、もう私、信じないから!


 あ、ジークさんが私に気づいて……


「ごめん!!」


 開口一番、叫んだ。

 もう私とは話さないって意思表示?

 って一瞬思ったけど、すぐさま走ってやってくる。


「ほんっとごめん! あのハンカチ、なくしちゃったんだよね。……いや、違う! ちゃんと探したんだけど、見つからなくてさ……」

「いらないなら、そう言ってくれれば良かったのに。捨てられる方がよっぽどつらいよ」

「違うって、本当に無くしたんだって! めちゃくちゃ嬉しくて何度も眺めてたらさ、風に吹き飛ばされて、犬が咥えて持ってっちゃって……」


 がっくりと肩を落としているジークさん。

 ……本当っぽい。多分、こんな嘘つける人じゃない、と思う。


「君がせっかく作ってくれたのに、本当にごめん。許してくれとは言わないけど、めちゃくちゃ大事にしてたのは本当なんだ。それだけは信じてほしい」


 いつになく真剣なジークさんの声。心からの謝罪が込められているってわかって、私は恥ずかしくなった。


「私の方こそ、ごめんなさい」

「え? なんで君が謝ってるの?」

「ハンカチ、捨てられたんだと思ってた」

「ええ!? そんなことするわけないじゃん! 君からもらった物なのにさ!」


 その言葉に、私は泥だらけのハンカチを広げて見せる。

 ジークさんは大きく口を開けて、喜びとも驚きともつかない顔で叫んだ。


「それ、俺のハンカチ!」


 勢いよくハンカチを奪うように手に取ったジークさんの目は、嬉しそうに緩んでいる。


「よかった、見つかって……ごめんな、こんなに汚しちゃって」


 刺繍の跡を愛おしげに撫でるジークさんに、私はなにかが込み上げそうになる。


「……てか、これを見つけたのが君って、これもう運命じゃね? いや、確定でしょ!」

「運命って」


 苦笑いする私に、ジークさんは目を細める。


「やっぱり君は、人を幸せにする天才だな!」


 そうしていつもの、ジークさん流褒め褒めトークが炸裂したのだった。




***



 ジークさんはハンカチを綺麗に洗って、使い続けてくれている。

 そして彼はその後も当然のように、私を見つけると話しかけてくれた。


「うわっ、今日の君、まじで天使じゃん!? いや、むしろ天使が『私、引退します』って言っちゃうレベル! 罪深すぎてどうしてくれんの?」


「君はもう天才じゃん? 恋愛小説書いてるってだけで十分すごいのに、あの繊細な心理描写とか、もう読んでるこっちが恋しちゃうっての!」


「今さらっと歩いてたけど、周りの人たち振り返ってたの気づいた? 存在だけで街の名物になっちゃうの、ちょっと反則じゃない?」


「それにしてもさ、恋愛の機微をあんなに書けるのって、君がちゃんと人の気持ちを考えられる人だからだよな。優しさの塊、ここに爆誕って感じ?」


「いやマジで、君の文章って魔法だよね。読んだ瞬間、心の奥までズキュン! ってきちゃってさ。感情が振り切れちゃうよ」


「ねぇねぇ、さっきから気になってたんだけど、君ってどうやってそんなに可愛いの? 努力? 天性? てか、どっちでも最強だったわ」


「君の小説は、感情表現がヤバすぎ! 登場人物たちの気持ちがもう、こっちにまで伝わってくるもん。俺の心の中、すでに君のキャラたちで大渋滞!」


「え、待って、今の笑顔やば! 見た? いや見てないか、俺しか見てないもんな! 独占しちゃってごめんね〜!」


「ねえ、あの切ないシーンとか、書いてて自分で泣いちゃったりしない? いや、俺だったら絶対泣く。てか読むたびに泣かされてるから、責任取って?」


「ちょっと待って、君のその仕草、完全に恋の罠じゃん。心臓、三回くらい跳ねたんだけど!? もういっそ、止めてみるか?」


「昨日の小説は、伏線の回収がエグかった! 最後の一文で全部繋がったときの鳥肌よ!? 天才って言葉、君のためにあるんじゃね?」


「おぉっと、今の君の表情、貴族の肖像画より尊いってどういうこと? この国の美の基準、今日から君になるかもね!」


「それにしても、愛の表現がこんなにリアルってさ、もしかして前世で何十回も恋してたとか? いや、むしろその恋愛経験を今生で執筆に全振りしてる説あるよね」


「なあ、世界で一番綺麗なものってなんだと思う? ……うんうん、そう思うよな。でも正解は、目の前の君なんだぜ!」


「うっわ、やばいやばい! さっき俺のこと見たでしょ? 目が合った瞬間、心がぶっ飛ぶかと思ったわ! これ、完全に恋の魔法じゃん!」


「そんな素敵な物語を書けるってことは、君の心の中がそれだけ綺麗ってことだよな。愛を知ってる人の書く言葉は、やっぱ違うわ〜!」


「ねえねえ、君が一日何回可愛いか数えてみたんだけど、無理だったわ。数字が足りない! 世界中の数字集めても追いつかないってどゆこと?」


「おーい! 今日も最高にかわいい! いや、昨日よりかわいい! てか毎日かわいさ更新してるよね? 美しさの成長率、バグってるわ!」


「君が恋愛小説を書いてるこの世界、最高!! 読める俺、超幸せ! いやほんと、君が生まれてくれてよかったわ。ありがとな!」


 毎日毎日毎日毎日、よくそれだけの褒め言葉が出てくるなって、逆に感心してるんだけど。

 時々、ドキッとする言葉を言われるから、タチが悪い。

 ジークさんの言葉を間に受けないようにって、こっちは必死になってるのに。

 恋しちゃうとか、平気な顔で冗談言ってくるんだから。


 私たちはいつの間にか、お互いの仕事が終わる五時に待ち合わせて会うようになってた。

 前日に書いた小説を持って、ベンチに座って話すのが日課になってる。

 読んでくれるってだけでありがたいのに、目の前で感想をくれるのは本当にありがたい。それももちろん、ぜーーんぶ褒め感想。

 忌憚ない意見を聞かせてほしいって言っても、褒めるところしかないって言ってくれるんだよね。

 本当に喜ばせるのが上手いんだから。


 でもそんな風に言ってくれるのは、ジークさんだけ。

 家族からはもう小説なんて諦めろって言われてる。

 どれだけ応募しても、結果は落選ばかりだから。


「ん? どうした? いつものキラッキラなオーラが三割減ってるけど!? いや、七割でも十分眩しいんだけど、ほら、俺にはバレちゃうんだよね〜。なんかあった? 言ってみ? 俺、話聞くの得意だし、慰めるのもめちゃうまいよ?」


 なんでジークさんは私の気持ちがわかるんだろ。

 落ち込んでる時は、必ずこうして話しやすいように声をかけてくれる。

 だから私は、一人で抱えていられなくなった。


「私、もう……どれだけ小説書いても、ダメかも〜〜……うわぁぁああん!!」


 薄々わかってた。私にはもう、無理なんだって。

 何年も何年も書き続けて、何百万文字も書いて、何百という物語を紡いでも、ひとつも結果を残せない。

 必死に見ないふりしてたけど、もうさすがに気づいちゃうよ。


 私には、才能がない。


 バカみたいに泣いちゃった。きっとジークさんもドン引きしちゃうに決まってる。

 でも涙、止まらないよー! わーーーん!!

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