僕の家族が増えた日
僕に二人のお姉ちゃんができるんだって。
父さんが明日新しいお母さんと一緒に連れてくる。
僕の家は父子家庭だった。
それが明日から五人家族になる。
僕はワクワクしていた。父さんもとっても嬉しそう。
「葵も姉妹が出来れば変わるだろう」
父さんが呟く。
「うん、僕もっと強くなるよ! だってお母さんとお姉ちゃんを守らなきゃ! この長い髪もそろそろ切った方が良いよね」
そう決意する僕を、父さんは心配そうな顔で見ている。
新しい家族と仲良くなれるか心配なんだな。けど、きっと大丈夫! すぐに仲良くなるから!
*
今日から家族が増えるんだ! 朝からドキドキワクワク。昨日の夜もなかなか眠れなかったんだ。
「こんにちはー! 葵ちゃん、今日からよろしくね」
優しそうなお母さんと、お姉ちゃん。
でも、葵ちゃんなんて僕、そんなに幼いかな? ひとつふたつ上で、そんなに歳も変わらないのに。ちょっと複雑だな。それに、お姉ちゃん達二人からプレゼントを貰ったんだけど……。
「はいっ! 姉妹になった記念にお姉ちゃん達からプレゼントだよー! 一緒にお出掛けしようね」
って、渡されたのは、お姉ちゃん達とお揃いのTシャツと短パンだった。
可愛い服、きっと僕には似合わない。だから、ちょっと嫌だけど、お姉ちゃん達がせっかくくれたんだし、仲良くなる切っ掛けにもなるかもしれない。
しぶしぶ貰った服を着てみる。ズボンだけど、何だか不思議な感じ。鏡の前でポーズをとってみる。
あれ? 僕、意外に似合ってるのかな? 複雑だけど、可愛いのも何だか楽しい。髪も結んで貰った。今までの自分と何かが違う。
服を着た僕を見て嬉しそうなお姉ちゃん達。
「葵ちゃん、良く似合ってるよ可愛いー! さっそくお出掛けしよー!」
そう言って楽しそうに、お姉ちゃん達は僕の手を引き走り出す。不安な気持ちは晴れて、僕も楽しくなってきた。
*
――夕日の中、子供達三人のはしゃぐ声。
「ああ。良かった。葵、やっと女の子らしくなれたんだな」
妻が浮気をし、出ていき離婚。葵には辛い思いをさせた。妻が出ていった後、葵は泣きながら
「こんなのいらない!」
って、妻に買って貰った服を捨てた。小2の女の子には辛かっただろう。
私は止められなかった。
それから葵は私の真似をするようになった。
まるで自分が男の子の様に振る舞っていた。妻がいなくなったショックから、無意識に自分を男の子だと思う様にもなった。何とかしたかったが、私は非力だった。
今回の再婚は自分にとって、嬉しい事であるのは間違いないが、きっと葵にとっても良い切っ掛けになると思う。女の子としての葵を取り戻す切っ掛けになればと願う。
夕日の中を走る子供達。それは何処からどう見ても仲の良い三姉妹だった――――
猫兎彩愛です☆
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