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プロローグ・とある男の話(一部抜粋)

じゃあ、まずは此処に至るまでの経緯を聞いてもらおうじゃないか。


俺はその遠い昔、人間だった…………はずだ。はず、というのは、本当に遠い昔過ぎて記憶が朧気なんだ。その辺りは容赦してほしい。


で、なんだったか。あぁ、そうだ。俺は極々普通の人間だった。あの、ほら、あれだ。町人……じゃなくて、なんかほら、そんな感じのやつ。こっちで言う町人っていうか………そう!それだ!サラリーマン!俺はサラリーマンだったんだよ、多分。


えーっと、それで…………だぁぁぁぁぁぁ!!これじゃいつまで経っても話が終わらねぇ!!なんか記憶に関するスキル……記憶に関するスキル……お、これだ。そういえば、此処にしまっておいたんだった。……これでよし。


え?今俺が何をしたのかって?簡単な話さ。スキル"記憶維持"で、保管しといた過去の記憶を呼び起こしたんだ。これで朧気な記憶を辿って、何だったかと話を止めずに済む。


で、本筋に戻ろう。かつて俺はしがないサラリーマンだった。まぁ、なんというか、自分で言うのも悲しくなるくらい特筆することのない平々凡々な人生を歩んでいてな。で、気付いたら死んでいた。


展開が急すぎるって?いや、だってマジで特筆することはない上に、死ぬ直前の記憶がないんだよな。なんか気付いた時には謎空間で、目の前には自称神様がいて、本当はもっと寿命があったのに~みたいな話をし始めたから俺はその時悟ったよね。あ、これラノベで100万回見たやつだ、って。だからこれが俺の超壮大な夢でない限り、俺はあの世界で死んだんだと思う。死因はトラックに轢かれそうな子どもとか猫とかを助けて……とか、ベタだけど格好いいやつが良いなぁ。


と、話が逸れたな。それでその自称神様に色々と説明された気がするが、正直、これが噂の異世界転生……!!と浮かれていた俺は話半分でしか聞いてなかった。いや、だって何度もフィクションの世界で見た展開を実際に自分で体験するとか、興奮するのがオタクの(さが)だろ。事実は小説より奇なりとは正にこの事。


話半分ながらにかろうじて俺が聞いていたのは、俺に使い勝手のいいスキルを持たせてくれたこと、最低限生きるために必要なものは確保したがそれ以上の補填はできないこと、代わりといってはなんだがスキルは好きに使って良いこと、という3つくらいだったんだが、実際はもっと色々言ってた気がする。


そんな感じで色々とふわっとした状態でこの世界に放り出されたんだが、1つ嬉しい誤算だったのは、前の世界の姿そのままにこの世界にこれたことだ。流石に中身アラサーの赤子なんてキツいだろ、色々と。俺の精神も死ぬし、純粋無垢とは程遠い赤ん坊なんて嫌だろ、絶対に。


そんなこんなで成人男性のまま異世界に転生?した俺は、与えられたスキルである"スキル生成"で色んなスキルを作りまくって見事最強になったってわけだ。途中、行く宛のない奴を拾ったり、ノリで不老不死のスキル作ったら呪いのようにキャンセルも消すこともできなくなって人間やめたり、紆余曲折があったりもしたが、語れば長くなるので割愛させてもらう。まぁ、あれだ、その辺りはよくあるラノベ展開だと思ってくれればいい。


説明が雑だって?そりゃそうだろう。何せこれはあくまで前置きなんだからな。最初は懇切丁寧に俺の武勇伝(笑)を語ってやろうかと思ったが、面倒な上にいつまで経っても本題に入れそうにないからやめた。興味があるなら、機会があればそのうち語って聞かせてやるよ。


それで話を続けるが、そんなわけで最強になって早1500年。正直、この世界に飽きていた。いや、俺元々飽き性なんだよ。それなのに最強になっちゃって向かうところ敵無しのぬるゲーとかそりゃ早々に飽きるって。最初の方に熱中して色んなスキル作りまくったせいで俺に不可能なことなんてまずないしな。大体何でも出来る。


一時期はスキルがどこまで成長するのか実験したり、何とか不老不死の俺が死ねないか実験したりと試行錯誤を凝らしもしたが、それも飽きた。だったら寝てやる!と思って不貞寝していたんだが、50年も眠れば流石に眠気も吹き飛ぶ。基本が人間ベースだから、まだ今は50年が限界のようだ。この辺りはまだ睡眠系スキルに改良の余地ありということか……。


と、そんなことは今はどうでもよくて、そんな眠りから覚めた俺なんだが、あることを閃いてな。最強に飽きたなら最弱になれば良いんじゃないか、と。だが、弱かった頃の感覚が何せ1000年以上前なものだから曖昧でな。ならば俺より弱い知り合いを参考にするかと思っても、俺の知り合い達は皆()()()()強いんであまり参考にならない。そんな矢先あんたのことをスキルで感知して、これはとばかりにやって来たわけだ。同郷だったのは嬉しい誤算だったな。そしてここで漸く本題だ。


あんたに弟子入りさせてくれ!

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