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第四話 昼休み

 俺が学校に着いて、教室に入ると、小中(こなか)さんの周りに昨日のような人集(ひとだか)りはできておらず、俺のことに気付いた小中さんの方から話しかけてくる。

「おはようございます、中崎(なかざき)君」

「ああ、おはよう、小中さん」

「昨日はありがとうございました」

「そんな感謝されるほどのことじゃないよ。俺も楽しかったし」

「おおっ!二人って昨日からそんなに話してたっけ?」

 俺達が挨拶をして、軽く会話をしていると俺の前の席に座っている(こう)が面白がって話しかけてくる。

「洸お前、分かってて聞いてんだろ」

 俺は面白がって首を突っ込んできたのを察して、強めに言葉を返しておく。

「えっと、あなたは………」

「こいつは鏡宮(かがみや) 洸。昔からの俺の幼馴染みってやつで、俺の前の席に座ってる」

「どうも。これからよろしくね、小中さん」

「は、はい。こちらこそ、よろしくお願いします」

 洸の紹介を終えた後、洸が提案をしてくる。

「そうだ!今日の昼休みに一緒にメシ食おうぜ」

「あ、ああ。俺は構わねぇけど、小中さんは何か用事あったりする?」

「いえ、私も大丈夫です。ぜひご一緒させてください」

「よし!じゃあ、決まりだな!あ、それと、この三人ともう一人誘ってもいい?」


 そうして、午前の授業が全て終わり、昼休みになって、俺達は教室で集まり、昼飯を食べようとしていた。

「あなたが小中さん?すごく綺麗!これからよろしくね!」

 この元気いっぱいに小中さんに話しかけているのは、日向(ひなた) 小夏(こなつ)。小柄な容姿で今は目を輝かせながら小中さんを見ている。

 この活発で社交的な性格と可愛いと評判の容姿でこの学校の男子には人気がある。

 そして、そこにいる鏡宮 洸と付き合っている。

「え、ええ。よろしくお願いします、日向さん」

 ぐいぐい来る日向に少し押され気味の小中さん。だが、嫌というわけではなさそうだ。

 ちなみに、小中さんの身長は男子の中で平均的な俺の肩くらいである。

「そうだ!あだ名で呼んでもいいかな!?ユッキーとかどう!?」

「ユ、ユッキーですか!?そ、そうですね………」

 さすが日向、距離の詰め方がエグい。急展開過ぎて小中さんも少し考え込んでいる。

「なっちゃん、小中さん困ってるから。急に距離詰めすぎだよ」

「あはは、ついやっちゃったよ」

 「この二人はいつまでも仲が良さそうだな」と思い、洸と日向の二人を俺は眺める。

「あの、ぜひユッキーって呼んでください!あだ名って何か慣れないですけど、日向さんと仲良くなりたいですから!」

「ホントに!!やったー!!これからいっぱい遊んだり、出掛けたりしようね!」

「はい!」

 日向は小中さんの手を掴んで、嬉しそうに上下に振っている。小中さんと日向の二人も仲良くやっていけそうだと、尊いものを見るような目でこの空間を見ていると洸が話しかけてくる。

「そういえばさ、昨日は喋ってなかったのに今朝はもう喋ったことあるみたいに小中さんに話しかけてたけど、放課後何かあったの?」

 ここで俺は答える前に一瞬の思考を挟む。ありのまま「うん。あの後一緒に帰ったんだぜ!」なんて言ってしまったら、洸には俺が小中さんに気があるって言ってるようなものだ。

 だが、俺の心配は小中さんが喋ってしまったことで必要性すら消えてしまった。

「はい、放課後に中崎君に誘っていただきまして。私のために買い物まで手伝っていただいたんです」

「ふ~~ん。(まこと)ぉ、やるじゃねぇか」

 洸が小中さんの発言を聞いて、ニヤニヤしながらこちらを向いている。さらに、その様子を見て察したのか、日向までニヤニヤしてこちらを見ている。

 この二人にはバレてしまったようだ。まあ、本人にバレるよりはマシか。しかし、小中さんはもう一撃俺の痛いところを突く。

「それに、お婆さんを困らせていた怖い人を追い払っちゃったんですよ!」

「へぇ、真って喧嘩とか強かったっけか?」

 一滴の冷汗が背中を伝う。

 気付かれないためにも、なるべくこういう話題は避けたかったが仕方がない。それに、まだ隠し通せるだろう。

「そ、そんなわけあるかよ。ちょっと体張ったら、あっちの方が逃げてってくれたんだよ」

「まこっちゃん、やる時はやる男だね」

「その呼び方はやめてくれ」

 日向は俺のことを「まこっちゃん」と呼びたがり、洸のことは「こーくん」と呼んでいる。「ちゃん」付けは、少し恥ずかしいので絶賛抗議中である。


 そうして、楽しい昼休みはチャイムの音と共に幕を閉じた。片付けをして教室へと戻ろうとする中で洸と日向が屋上からいなくなり、俺と小中さんの二人になる機会を伺い、話しかける。

「あの、小中さん。今週の週末、空いてる?まだ紹介したい場所とかいっぱいあるからさ、一緒に出掛けないかな?」

「本当ですか!?嬉しいです!ぜひ、よろしくお願いします!」

 その返事を聞いて、俺はそっと胸を撫で下ろす。言いはしなかったが、一応俺と小中さんの初デートである。備えに備えて、万全の状態で行こう。

 そして、その後の午後の授業も何事もなく終了した。

今回も読んでいただきありがとうございました。

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引き続きよろしくお願いします。

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