第二話 選択肢B
B.下駄箱へ行く
今帰ったばかりという可能性を考え、すぐに教室を飛び出る。
階段を降りて、下駄箱へと向かう。
そこには靴を履き替えている小中さんがいた。
「あの!………………小中さん!」
俺は思い切って声をかける。自分でも緊張して頭が真っ白になり、発した声が予想以上に大きくなってしまう。
靴を履き終わった小中さんは俺の方を向く。
振り返る時に彼女の白い髪が揺れる。
彼女の姿が俺の緊張をさらに促進させる。
「えっと………何でしょうか?」
彼女は急に自分の名前が呼ばれたことに驚いた様子を見せる。
呼び止めた後どうやって話を続けるのかを全く考えてなかった俺は素直に自分の望みを提案する。
「い………一緒に、帰りませんか?」
自分でも突飛な提案をしていると思い、恥ずかしくなって顔が赤くなるのを感じる。
彼女は少しばかり困った顔をしながら、その口を開く。
「もしかして、隣の席の方ですか?」
小中さんが俺のことを覚えていてくれていたという事実だけで心の中でガッツポーズをするほど喜んでしまう。
「うん。隣の席の中崎 真です」
なるべく平静を装って会話を続ける。
「それで、よければ一緒に帰らない?」
「………………急ですね」
「えっ?」
予想外の言葉に驚きの声が漏れてしまう。
「教室で話したりしなかったのに、いきなり一緒に帰るの誘うのって急だなって思ったんです」
「ははっ………そうだよね。いきなり一緒に帰るなんておかしいよね」
拒否されたと思い、俺は来た道を帰ろうとするが、彼女の強い意志が込められた声が俺を引き止める。
「驚きはしましたが、嫌だとは言ってません」
あまりに嬉しい言葉過ぎて、俺は慌てて彼女の方を見る。
「だから、宜しければこの町の案内もしていただけませんか?引っ越してきたばかりで全然この町のこと知らないんです」
一緒に帰ることが決定して浮かれ気分になった俺は少し興奮気味に答えを返す。
「う、うん!俺で良ければ、どこでも案内するよ!」
こうして俺達は学校から共に帰ることとなった。
友達と一緒に帰るってのはみんなやってることだと俺も思うが、初対面の、しかも女の子を誘ったあの時の俺に俺は一生感謝するだろう。
第三話へと続く
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