第二話 一目惚れ
一列が五人の列が六列あるこの教室の席の配置の中で俺は左から二列目、つまり窓側から二列目の最後尾にいる。
俺の左横はクラスの人数が二十九人ということで空席だったのだが、転校生が来て、人数が三十人になったということは転校生が俺の隣に座るということが推測できる。
そして、俺の予想通りの指示が担任教師の口から発せられる。
「それじゃあ、小中、窓側の一番奥の席を使ってくれ」
小中さんはその指示を聞いて、コクッと頷き、凛とした様子でこちらへ歩いてくる。
その様子を見ていた俺は彼女との距離が縮まるのに比例して自分の心臓の脈が速くなるのを感じる。
これが「恋」というものなんだろうか。
俺は初めての体験に驚き、戸惑いながらもワクワクしていたのかもしれない。
彼女が席に着くと、先生が話を始める。
「俺の方から伝えることは以上だ。転校初日で小中は分からないことが多いだろうから、みんな仲良くしろよ」
そう言って朝のホームルームが終了し、先生が教室から出ていく。
それを確認するとクラス中の女子が小中さんのところに集まる。
彼女の容姿が美しい上に珍しいということもあって全員興味津々のようだ。
四限目の授業が終わった後の昼休みになり、自分の席で昼ごはんを食べていると、俺の前の席の男子生徒が振り向いて話しかけてくる。
「転校生の小中さん、もう半日経ったってのにすげぇ人気だよなぁ」
こいつは鏡宮 洸、俺の親友だ。金髪に、整った顔立ち、気さくな性格が相まってかなりの人気を誇っている。
「………ああ、そうだな」
「朝から思ってたけど、なんかお前ソワソワしてないか?」
俺の態度に違和感を覚えていたのか洸は俺に疑問をぶつけてくる。
「そ、そんなことねぇよ。気のせいだよ、気のせい」
痛いところを突かれた俺は半ば無意識に小中さんの方へと視線を向ける。
その反応を洸は見逃さなかった。
「ははぁ~ん。さてはお前、小中さんのことが気になるんだろ?」
「な、何馬鹿なこと言ってんだよ!そんなわけあるかよ!」
少し恥ずかしくなり、慌てて洸の考察を訂正する。だが、洸は確信した様子で話を続ける。
「よーやくお前にも春が来たかぁ。まあ、何にせよ応援するぜ!」
隠そうと思っていたがここまで言われると、もう認めるしかないと思い、素直に言葉を受け取っておく。
「………ありがとよ」
その後はいつものようにくだらない話で盛り上がって、ゲラゲラ笑って、時間はあっという間に過ぎていった。
そして、放課後。
結局、小中さんの周りは一日中女子が集まっていて、話しかける隙さえなかった。
放課後ならイケるかもと思い、トイレに行って、用を済ませ、決心して教室に戻ると………………
彼女は帰ってしまっていた。
自分の阿保さ加減に呆れそうになったが、こんなことくらいで諦めるわけにはいかない。
頭をフル回転させて、彼女が今どこにいるかを考える。さらにそこから自分の最適の行動を見極める。
A.屋上へ行く
B.下駄箱へ行く
C.職員室へ行く
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