第1話
初めて書いた小説です
いろいろ拙いところがあると思いますが
温かい目で見ていただけると幸いです
全7話 毎日6時投稿予定です
感想、ダメ出し書いていただくとうれしいです
私の名前は上原美里
某製薬会社に勤める27歳のOLです。
不細工と言われた事は無いが、美人と言われたこともありません。
研究ばかりしているし、めったなことではメイクもしない地味な女なので、独身で彼氏もいない。ほっとけ!
両親も他界し、一人っ子なので、まぁ天外孤独ってやつです。別に寂しくないもん!
私の所属する場所は「薬剤研究室」という場所で、文字通り薬を研究する部署です。
私が研究しているのは「頭痛薬」で、非ステロイド性抗炎症薬と呼ばれるものです。
頭痛の原因であるプロスタグランジンの生成を抑えて、炎症・痛み・熱を抑えるイブプロフェンやアセチルサリチル酸、アセトアミノフェンなどを使って研究をしています。
私は女性でもあるので生理痛も何とかならないかと思い、企業機密で詳しい事は申し上げられませんが、ある成分を使って画期的な頭痛、生理痛薬「イタクナクナール」を完成させました。
ネーミングが変って?
うるさい、私にネーミングセンスを求めてはダメですよ。
それが爆発的にヒットして、中堅企業であった会社は現在では国民の中で知らない人を探す方が難しいと呼ばれるような有名な大企業になりました。
その功績が認められ、けっこうな報奨金と主任研究員(係長待遇)と言う肩書きをもらいました。
27歳で主任研究員になるって会社始まって以来の快挙らしいです、えへん。
ある日部長に呼ばれました。
コンコン「上原です」
「入れ」
なんだろう?と思いながら部長室に入ると、そこには難しい顔をした部長がいました。
「何でしょうか」
「………」
難しい顔しながらなかなか言わない部長に私は不安を感じました。
「リストラでしょうか?」
「いやいや違う、最大の功労者である君をクビにしたら私の首が飛ぶ」
「では何ですか?」
ちょっとイライラして、厳しい口調で問い詰めました。
「えっと、その…ポーションを作ってくれないか?」
「はあぁ?」
あまりの内容にびっくりして変な声が出てしまいました。
「だからポーションを開発してほしい」
「ポーションってあの物語の異世界とかに出てくるやつですか?」
「そうだ」
訳が分からない、まぁあれば便利なものには違いないが…
「えっと、どうしてそのようなものが必要なのですか?」
「すまないがそれは言えない、しかし研究費はもちろん限度はあるがいくら使ってもいい、ただし条件が一つある」
「条件とは?」
「期限は半年といういうことだ」
「は、半年ですか…」
あまりの短さに絶句してしまった。
「君はあのイタクナクナールをたった4カ月で完成させたじゃないか」
「あれはもともとのベースがあったからですよ」
無茶苦茶言う部長にだんだん腹が立ってきた。
すると部長はなんと、机に頭を擦り付けて頼んできた。
「頼む、君しか頼れない」
本当に申し訳なさそうに頭を下げる部長に、少し申し訳ない気分になってきました。
「もしできなかった場合に何か罰則があるんでしょうか?」
「いやそれはない、むしろ報奨金も出す」
いったいなんだろう?もしかして国家機密とか?断ると消されたり…
だんだん恐ろしくなってきました。
頭を下げ続ける部長についに根負けしてしまいました。
「わ、分りました、努力はしますが出来なかったら申し訳ありません」
すると部長はぱーっと明るい顔をして
「ありがとう、感謝する」
うっすら涙を浮かべる部長に密かに「全力で頑張らないとな」となんだかよくわからない使命感が湧いてきました。
「他に誰かサポートをつけてよろしいのでしょうか」
「いや、君一人で取り組んでもらいたい、このプロジェクトは申し訳ないが他の人に喋るわけにいかないのだ」
「私一人でですか…」
今プロジェクトと言ったな、やっぱり国家機密とかが関係してるのかも…やっぱり断ると消されるわ。
「効果はどの程度必要ですか、まさかエリクサー並みとは言わないでしょうね」
そんなもの半年で作れるわけがない。異世界だって確か王族ぐらいしか持ってないようなものだよね。
「効果の程度は問わない、万能薬である事は必須だが、誰が見てもポーションと呼べるものができれば良い」
効果の程度問わないとはどういうことだろう?ポーションがあるという体裁があればいいのかな…
まぁハードルは少し下がったか。
「分りました全力で取り組みます」
「ありがとう、頼んだ」
「経過報告はどれぐらいの頻度で必要ですか?」
「いや時間がもったいないから特に必要ない、高額な研究費が必要になったときだけ言ってくれればいい」
「分かりました、研究室内の職員や上司から何をしているか聞かれたときは機密だから言えないと言えばいいですね」
「ああ、私の名前でも社長の名前でも出してくれて結構だ、今空いてる第四研究室を使ってくれればいい」
社長の名前まで出していいのか…するとこれは社長命令か…これは責任重大だな。
「分かりました、では失礼します」
「よろしく頼む」
部長室から出て歩く私は、これからどうするかなぁ…と少しの不安感と、なぜか妙な使命感に包まれていました。
第四研究室
今は誰も使っていないが、かつて「イタクナクナール」を研究していた懐かしい職場です。
部屋も機材も綺麗で、定期的に誰かがメンテナンスしてるんだろう。
「まぁ会社を発展させた研究室だからなぁ」
昼夜構わず研究した日々を思い出して懐かしい気持ちになりました。
「あの時は部下四人もいたからなぁ〜今回は一人か…」
少しの寂しさと絶望感を感じてこれからのことを考えました。
まず
ポーションはいわゆる万能薬、特定の病気や怪我に有効というわけにはいかない。
全てに関して効果がなければ意味がないのだ。
「とすると、材料は健康に良いものがいいかな」
人間の健康に必要な成分は糖質・脂質・タンパク質と、あとビタミン、ミネラルか…
糖質はでんぷんやオリゴ糖などの多糖類、砂糖や乳糖などの二糖類、ブドウ糖や加糖などの単糖類かな…
脂質とタンパク質は豚肉でいいだろう。
美里は肉の中では豚肉が最高と勝手に思っているのです
ビタミンはA、D、E、Kか…
Aはうなぎ、いや乳製品にしよう、レバーは嫌いだからパス、Dは薬っぽいから干し椎茸がいいかな。
好き嫌いと雰囲気で選ぶ美里であった。
Eはかぼちゃだな、やっぱり。
Kは納豆、うんこれしかないな
美里は納豆が大好きで、他にブロッコリーやほうれん草もあるのだが、納豆しか浮かばなかったのである。
あとはミネラルだな
ミネラルはカリウム、カルシウム、鉄、亜鉛か、あとは過剰摂取はいけないけどナトリウム、マグネシウム、リン、セレンだな。
まぁあんまり不足する事は無いけど、病人にも使うので銅、クロム、マンガン、モリブデン、ヨウ素も加えるかな…
こうしてぶつぶつ独り言を言いながら材料は決まった。