表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について  作者: みん
第四章ー王都ー

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/182

聖女様


『惨状…ですか…』


とても低い声。なのに、酷く響く声。ゾワリと、体が恐怖で震えるような感覚。

知らず知らずのうちに、ルナさんの服をギュッと握っていた。


「…父上…。ルディは慣れていませんよ?」


レオン様がそっとパルヴァン様に何かを囁いた後、パルヴァン様がフッと息を吐くと、その威圧感も無くなった。


ー足が…生まれたての子鹿状態ですー


ルナさんが、困った様な顔をしながら、私を支えてくれています。ありがとうございます。


カルザイン様に会ったら、お礼を言おうと思っていたけど…それどころじゃ…ないよね?そもそも、ルディとしては、カルザイン様とは挨拶すら交わしてないから、私からは話し掛けられないんだよね…。


生まれたての子鹿な足に、グッと力を入れてしっかりと立ち、そのままパルヴァン様を見据える。


「パルヴァン様、医師様から下城しても良いと許可が出ました。なので、私はパルヴァン邸に帰ろうかと思います。その事も伝えたくて、ここに来ました。」


それから、挨拶を交わした騎士団長様と向き合い


「騎士団長様、また改めて…お礼をしに行くと…お伝えいただけますか?」


「あぁ…すまないね。」


と、困った様な安心した様に笑う騎士団長様は、やっぱりカルザイン様と似ているなぁ…と思った。


「パルヴァン様、私のせいで…いえ、私の為に、辺境地から迎えに来て頂いて、ありがとうございます。」


ニッコリと、パルヴァン様にお礼を言うと、パルヴァン様は一瞬目を見開いて


「いや─。ルディが元気になって…良かった…」


と、パルヴァン様もようやく笑ってくれた。


ーよし。これでこの場は収まった…筈ー


周りを見ると…うん。皆ホッとした顔をしている。よし、このまま帰ってしまおう!サクッと帰ろう!レフコースが待っている!



「何故…怒ってるんですか?私、何か悪い事をしてしまったの?」


ー何故だ!?ー


この子は…空気が読めない子なの!?


カルザイン様を窺い見ると、眉間に皺を寄せるだけだった。


ーあれ?ー


ふと気付く。カルザイン様が着けている()()()()()が発動している事に。


ー何故?ー


全く分からない。攻撃?なんてされてないのに。これは、私だけにしか分からない。いや─レフコースなら…分かった?


『─我にも感じられない。』


わぁー本当に意識すると、離れていても会話ができるんだね!って、感心してる場合じゃないよね!?取り敢えず、ここは、またパルヴァン様がキレる前に立ち去ろう!


レオン様とティモスさんに視線を向けると、2人とも分かってくれたように頷いてくれた。


「父上、ルディの言う通り、一度部屋に戻り、下城の準備をしましょう。」


「……分かった…。」


ーお願いだから、そのまま黙ってて下さい!ー



「では…ルイス。今回の事、キッチリ調べるようにな。私は、これで帰る。」


「承知しました。今日は、ありがとうございました。」


第一騎士団長様が礼を言うと、倒れこんだ騎士様達も何とか立ち上がり


「ありがとうございました!」


と、パルヴァン様に一礼した。


そして、私達は神殿の方へと足を向ける。カルザイン様と聖女様の横を通り過ぎる時─



『“ルディ”なんて…居たかなぁ?モブ?』



と、聖女様が小さく囁いた日本語が耳に入った。


ーえ?ー


振り向きたいのを我慢する。ここで反応する訳には…いかないから。


彼女は…ここが、ゲームの世界だと…知っている?


ドクドクと心臓が嫌な音をたて、ジワリと嫌な汗が背中を流れていく。彼女は、ゲームをするかのように、誰かを攻略していくのだろうか?

少し…彼女の行動を見る必要が…あるのかもしれない。


そう思いながら、訓練場を後にした。










それから、パルヴァン様とレオン様とティモスさんとは、王城の馬車置き場で待ち合わせをして、私は帰る支度をする為に、ルナさんとリディさんと一緒に神殿へと向かった。



「また、後で詳しく説明するけど、この子はあの時のフェンリルで、名前はレフコース。これからは、私と一緒に居る事になったんです。あのー…良い子…なので…仲良くしてくれると嬉しいです!」


パルヴァン様を瀕死の状態にさせたフェンリル(張本人)である。ルナさんもリディさんも複雑そうな顔をしている。


『…主、大丈夫だ。これは…我の自業自得なのだ…。』


と、また耳が垂れ下がり、尻尾がピタリと静止した。


ーやっぱり、ウチの子は可愛い。後でしっかりルナさんとリディさんに説明するからね!ー



と、パルヴァン様達を待たせてしまっているので、説明は邸に帰ってからにしようと、帰り支度を急いだ。


お世話になった、医師のマリンさんと魔導師のレイナさんにお礼を言って、パルヴァン様達と合流して馬車に乗り込み、王城を後にした。





ー結局…またカルザイン様にお礼を言えなかったなー



ただただ、それだけが心残りだった。












ブクマ、いいね、評価、ありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ