表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について  作者: みん
第四章ー王都ー

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/182

フェンリルと巫女①





()()は、誰の記憶だっただろうか?ー







『お前は真っ白だな─』


()()()。お前に名をつけてやろう。そして、お前を守ってやろう。』


『お前の名前は─』








「レフコース?」










『あぁ、主。ようやく我の名を呼んでくれた。』


目の前にいる、あのフェンリルが嬉しそうに笑っている。


「あるじ?」


『そう。我の魔力を引き継いだ巫女であり、我の主。』


「みこ?」


『そう。我の唯一の主。』





『“言い伝え”では…数百年前に存在した()()使()()が、フェンリルと契約を結んでいたんだけど、その契約を結んだまま、ある日突然その魔法使いが死んでしまって、そのフェンリルも行方が分からなくなったとか…。ま、真偽は分からないけどね。』




「私が聞いたのは、あなたは魔法使いと契約を結んだと…。」


そう言うと、フェンリルはコテンと首を傾げた。


ーえ…何それ、可愛いからー


『ふむ…。長く年月を重ねると、根本的な事さえ違って伝承されるのだな…。』


「根本的な事さえ違って?」


『主…我の話を聞いてくれるか?』


「勿論。あなたが話してくれると言うなら。」


そう言うと、フェンリルは満足気に頷いた。


今居る、この真っ白な空間が何処なのか、魔力封じの首輪をかせられた私はどうなったのか…色々訊きたい事はあるのだけど、先ずはフェンリルの話を聞く事にした。












今は滅んでしまった某国では、フェンリルの守護の元、他国に侵略される心配もなく、豊かに栄えていた。その国には、“先読みの巫女”が居た。将来起こり得る事が視える巫女。その巫女が、新たなるフェンリルの誕生時に


『そのフェンリルは魔力が強過ぎる為、将来、この国に災いをもたらす存在になるだろう。』


と、先読みしたのだ。されどこの国の守護獣であるフェンリル。それに、先読みも違える事もある。先ずは、魔力を抑える枷を着け、そのフェンリルを見守る事にした。




しかし、そのフェンリルが成長するにつれて、魔力はどんどん大きくなり、枷では抑える事ができなくなっていった。このままでは、先読み通り、この国に災いをもたらす存在となってしまうと危惧した民達は…そのフェンリルを…始末する事にした。


勿論、そのフェンリルは逃げ出した。


国を跨いで逃げても、逃げた先でも命を狙われた。


そして、最後に辿り着いたのが…パルヴァンのあの森だった。


真っ白な綺麗な毛並みは、血が乾いて赤黒く染まっていた。


ーもう…死ぬのか?ー


そう生きながらえる事を諦めた時





()()()、大丈夫か?』


1人の女が、横たわる我を覗き込んできた。


ーまた人間か…。どうせ、我を殺す為に来たのだろう?ー


それには答えず、ソッと目を閉じた。


ーもう…いいかー


と、思っていると、一瞬で体全体が温かくなったかと思えば、あれ程重たかった体が軽くなった。驚いて目を開ければ…


赤黒く汚れてガビガビになっていた毛が、本来の綺麗な真っ白な色に戻っていて、負っていた傷も無くなっていた。


『白いの。お前は…綺麗な色だな。』


嬉しそうにニッコリ笑う女。


『私は、この国の巫女だ。今、この森の穢れを祓っていたところだ。白いのは…魔力が大きいな?その魔力、少し貰っても良いか?』


ー貰う?ー


魔力と言うのは…あげられるものなのか?と、首を傾げ、その巫女とやらをジッと見つめる。


『あぁ、もしかして…お前が某国で追われていると言うフェンリルだったのか?』


その言葉にビクリッと、体が固まる。


そんな様子に気付いた巫女は、更に優しく微笑んでそのフェンリルの頭を撫でた。


『お前は真っ白だな─』


優しい笑顔のまま、グリグリと撫で回して来る巫女。


()()()。お前に名をつけてやろう。そして、お前を守ってやろう。』


ー守る?我()ではなく、我()?ー


また首を傾げてその巫女を見つめる。


『お前に名前をつけて、私と繋がりを持たせるんだ。ある種の“契約”なんだが、それによって、白いのの魔力を私が受け入れる事ができるようになる。その魔力で、この森の穢れをもっと綺麗に浄化できるようになるし、白いのは魔力が減って追われる事がなくなる。良いと思わないか?』


ーそんな事ができるのか?我は…まだ生きていて良いのだろうか?ー


『お前の名前は─“レフコース”!そして、私の名前はーーーーー。』


その巫女は、我に名をつけ、自身の真名を告げ我らの足元で魔法陣を展開させた。


トクリ…トクリ…と、優しい魔力が流れ込んで来るのと同時に、我の魔力がその巫女に流れ込み、()()()ができた事を実感した。



それからの我は、魔力が溢れる事も強くなり過ぎることもなくなった。巫女も、我の魔力とは相性が良かったようで、問題なく我の魔力を使いこなし森の穢れを祓っていった。


その巫女のお蔭で、追われる事がなくなった。


なのに─。


あの某国の人間は…我ではなく…その巫女に目を付けたのだ─。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ