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プロローグ

「何で…何で私だけ?」


私は独り、森の中にへたりこんでいる。





『やっと還れるわね。』


『やっぱり異世界とか聖女召喚って言うのは、本で読むだけで良いわー。』


『ねぇ、日本に還ったら、また4人で集まろうよ!』


『え?私も誘ってくれるんですか?』


『当たり前じゃない!』







そうお喋りしながら、魔法陣の中心に4人で立ってたのに…。()()()に来て3年だ。日本を忘れた日なんて、1日たりともなかった。毎日還りたくてしょうがなかった。それでも、3人のお姉さん達が居たから…私もこの3年頑張れた。なのに…




ー何で私だけ還れなかったのっ!?ー












ー3年前ー




私、春ノ宮琴音(はるのみやことね)は、今年で二十歳。大学2年生になった。学祭の準備の為に、今年新しく増設された校舎の学部室に向かっていた。


「あー、ここ、新しい校舎なんだ。何処にあるか分かんないじゃない!」


「香下先生も適当過ぎるわー。」


「それが、香下先生らしいと言えばらしいよね?」



ー香下先生の所に行きたいのかなぁ?ー


新校舎の案内板の前で、3人の女の人が困ったように話していた。


「あのー、すみません。香下先生にご用ですか?私、今からその近く迄行くので、案内しましょうか?」


そう声を掛けると、その3人は私の方へ振り返り

「本当!?助かるー!案内をお願いしていい?校舎が新しくなっててビックリしたわー。」


どうやら、この3人はこの大学のOGーつまり、私の先輩だった。なんでも、学生時代にお世話になった香下先生に呼び出されたらしい。その際、香下先生の部屋は新校舎に移っていたのだが、その事を知らされていなかったらしい。


新校舎に入り、香下先生の部屋は2階。私は3階に用事があった為、2階に上がったところで


「ここから3つ目の部屋が香下先生の部屋です。」


「本当に助かったわ。ありがとう!」


と、その3人と別れの挨拶をして更に階段を上ろうとした瞬間ー4人の足元が金色に輝きだした。


「え!?何これ?」


と、私が囁くと


「何これ!?何、このテンプレ展開は!?」


と、3人いた女性のうちの1人が叫ぶ。


()()()()、本当に有り得るの!?」


「3人ともなの!?」


何故か分からないけど、その3人は叫びながらも何となく冷静さを保っている。


いやいやいやいや!私には意味が分からないと言うか、怖いんですけどっ!?


「あのっ…ちょっ…これ、何なんですか!?」


私が3人に声を掛けると、一斉に私の方へ振り返り


「あー、あなたも入っちゃってるのね!?はみ出ちゃうと危ないかもしれないから、こっちにおいで!!」


そう言いながら、一番背の高い彼女に手をグイッと引っ張られた。


「はみ出ると危ないって何ですか?あのっ…大丈夫なんですか!?」


「ごめん、私にもよく分からないけど…とにかく、離ればなれになっても嫌でしょ?4人で手を繋いでくっついとこうね?」


半泣きになってる私の手を握りしめながら、優しく宥めてくれる。どうなるの?これからどうなるの!?恐怖が増すのと比例して、金色の光も更に大きく強く光り、足元に円形の紋様が浮かび上がったと思った瞬間、浮遊感に襲われる。


「「「「ーっ!?」」」」


声にならない声を出し、お互い繋いでいた手を更に力を込めて握り直した。





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