創作のタネ
創作のタネは色々ある。自分の中にもあるし、外にももちろんたくさん転がっている。
街を歩いている時や、車や自転車で走っている時、高速道路のサービスエリアなんかにもよく見つかる。
もちろん見つけようと思っても見つからない。あっちから来てくれるのを見逃さないようにするしかない。
今日も見つけた。ハーフみたいだった、可愛い顔した中学生の男の子。雨の中、車の水はねから傘で女の子を守っていた。
ふふふ。私の好みでさらに可愛くしてあげよう。今はまだ浮かばないけど、いつか登場させるからね。
何星人にしてあげようかな……。
いつか長野のサービスエリアで見かけた可愛い女の子には林檎崎ももちゃんという名前をつけてあげた。ねこと一緒に春の空に舞い上がるのがとても似合う感じの娘だった。高校生ぐらいかな? 両親と一緒に歩いてて、お父さんとはあまり仲が良くなさそうだった。たどたどしい感じのお化粧してて、トレーナーの襟首から思いっきり覗いた素肌が春らしかった。
おっさんみたいな高校生が自転車で前を横切って行ったこともあった。ダメな感じのおっさんではなく、頼り甲斐がありすぎそうなところがおっさんみたいだった。バスケの選手にしたらいっぱい点を取ってくれそうな感じ。たぶん可愛いヒゲが生えてた。彼のことはいまだ創作作品にしてあげられていない。役の与え方が難しい。
自分の会社の社長の頭を作品内で踏みつけて、ごめんなさいと言わせてやろうかと思ったこともある。でもあんまり楽しそうではないので、やめた。それで現実がどうなるわけでもないし。
青い首輪をつけて颯爽と一人で散歩しているデカい犬を見た。おいおい飼い主はどこよ? まぁ、とても楽しそうだから、いいか。君は何を教えてくれるだろう。自由だろうか。自由の難しさだろうか。自分の行きたいほうへ行けることが嬉しそうだけど、それが危険なことだって知っているのだろうか。どうか車に轢かれたりしませんように。
不思議な花を見つけた。路肩のコンクリートに空いた穴に頭を突っ込んで、その中に向かってとろ〜りとした血の塊のような花を咲かせていた。あれはもしかしたら何かの序章なのかもしれない。
恐怖体験はタネにはならない。一刻も早く忘れてしまいたいからだ。
赤ちゃんは好きではない。うるさそうだったり疲れたようだったりするママさんを見るのも嫌いだ。でも『産んでくれてありがちょ!』と赤ちゃんが手足を伸ばしてはしゃぎ、『産まれてくれてありがとね!』とママさんがひまわりみたいに笑ってるなら、そんなものが歩道を歩いているのを見たら、そのまんま書いちゃうしかない!
タネはいくらでも向こうからやって来てくれる。忘れないようにメモはするけれど。全部を書こうと思ったら体力が足りない。
私のスマホメモにはタネがいっぱい。
その気になったら育ててあげるからね!