盗人の宴
掲載日:2021/08/05
「ガハハッ! 頭ァ、やっぱしあの商人共、たんまり魔道具を隠し持っていたみたいでさァ!」
「……ああ」
「おや? どうしたんでぇ、頭。あんまり元気が無いと、下の者共も盛り下がっちまいやすぜ?」
「少し、な」
「……もしかして、昼間のガキのことで? ありゃ、初めから助かる見込みもなかった。生き延びたとしても、オレらのような日陰者と生きていくしかない。それはあまりに酷だ。頭は正しかった」
「だが、な。悪行ばかりの毎日だと、ひとつくらいは良いことをしたくなるもんだ。例えそれが、周りから偽善と罵られる行為だとしても」
「ククク、頭らしくねぇ。クヨクヨ悩むのは一人の時にしてくだせぇ。ほら、この魔道具は錠になりやす。ささ、合言葉を考えやしょう」
「……『我ら人を謀り、故に人によって滅びる』だ」
「本当にそれで良いので? かなり不吉でやすが」
「警句だ。俺らが悪人であることを忘れないための」
「ま、オレらは頭に従うだけだ。オレらみてぇな馬鹿を、受け入れてくれた頭に」
「やめろ、むず痒い」
「なら朝まで飲んだくれやしょう! 嫌なことは酒で流すのが一番良い!」
「……それもそうだな」
「では……さぁテメェら、どいたどいた! 頭と飲み比べで勝った奴にゃあ、お宝山ほど恵んでやらぁ!」
「「「────おおッ!!」」」




