表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

重狭

作者: A.M

「なんでっ…」


固く閉ざしているはずの口から、震えた声が漏れ出てしまう。


スマホに入っている、少し前に撮った彼女とのツーショットを見る。

あの時は、これが彼女との最後の写真になるなんて思ってもいなかった。


俺の彼女は、つい先日、死んだのだ。


部活が終わった後に一緒に帰ったり、

成績が思うように伸びない俺を励ましてくれたり、

体調を崩したときに物凄く心配してくれたりと、彼女はとても優しかった。


そして、優しすぎた。


きっと俺を心配させたくなかったのだろう。

彼女は学校で密かにいじめを受けていた。

それなのに、俺には一言もその話をしなかったのだ。


女子達からの陰湿ないじめだったと言うこともあり、俺がいじめられているという事実を知ったのは、彼女が自殺して2日ほどたってからだった。


彼女は自殺する直前、俺に


「もしも自分の彼女、つまりは私が重い荷物を持っていて、

疲れたから代わりに待ってくれない?

って言ったら、持つ?持たない?」


とメールを送ってきた。

そして俺は、


「もちろん持つよ。なにせ普段からお世話になってるからね。」


と、そんなに深く考えずにメールを返した。


そうするとすぐに彼女は返信をしてきた。


「ありがとう。よろしくね」


と。


そのあと、彼女とは連絡が取れなくなった。


その日の翌日、月曜日に学校へ行った俺の全身には、とてつもない後悔とともに得体のしれない物が地球よりも重くのしかかってきた。



それ以降、俺は自分の部屋から出ることができていない。


俺は何度かニュースを見たり新聞を読んだりしたが、俺の彼女に関する報道や記事などは一切見つからなかった。


「…せまい」



少し離れたところでは、人々が普通の生活を送っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ