フンドシを履いた魔法使い【短編】
連載前の準備運動です。
元王宮で変態メイドでなく、女王陛下専属メイドをしていた、魔法の先生がアキちゃんのはじめてを狙ってます。
アキちゃんの貞操は如何にです!
第1話
フンドシを履いた魔法使い
「アキちゃん、助かるよ! ありがとう」
「いえいえ、いつでもボクに言ってください。修理に来ますので。はい」
と、言ったのは、この村に住む魔法使いのアキちゃんだ。
歳の頃で言うと、12か13歳でしょうか?
で、このアキちゃんが、今、何を修理したのかと言うと、畑に空いた“世界の綻び”という名の穴と鍋底の穴の2つでした!
「フフフのフンフン♪」と鼻歌交じりで帰宅するアキちゃん。
自宅の玄関を開け、「ただいま」と叫びます。
すると、中から、
「お帰り、アキ」と声が。
「先生、ただいま帰りました」と敬礼をするアキちゃん。
先生と呼ばれる女性は、アキちゃんの可愛らしさから、ニッコリと微笑みました。
「先生、今日はエバンスさんの畑の穴と鍋底の穴の修理をして来ましたッ!」
「はいはい、お疲れ様でしたね。お給金は貯金箱に入れておいてね」
「はぁーい」
アキちゃんは貯金箱にコインを、チャリンチャリンと入れました。
実は、アキちゃんは、生活魔法で家事の手伝いと世界の穴の修理をする、カワイイ魔法使いなのです。
あと、美人の先生の穴の修理をする相手は……ゲフンゲフン!?
魔法使いのローブと帽子、お出かけ用のスカートから、普段着に着替え、家事の手伝いをするアキちゃん。
しかし、何故か、洗濯だけはさせてもらえなかったのです。
何故?
生活魔法は一通り習って、バブルも使えるのに、先生は、やらせてくれないのです。
何故だろう?
家事が終わると先生と一緒にお風呂に入るアキちゃん。
寝るときも、先生と一緒に寝るのです!
そして、何故か、先生が下着を履かせてくれるのです。
もう、ボクも大きくなったから、『独りで出来るよ!』と、思うのだけれど、ダメらしいの。
特に、このフンドシという下着は、先生の話では「他人に締めてもらうもの」らしい……
でも、先生は、いつもキツく締めすぎて、大事な穴に食い込むので、『勘弁して欲しい』とも思うアキちゃんでした。
さて、明日はゴミの焼却に町まで出かけるので、今日は早く寝るぞ!?
と、意気込むアキちゃん!
そして、先生のキスで、おやすみなのだ!
次の朝
先生のキスで起こされるアキちゃん。
「おはようございます。先生」
「おはよう。アキ」
「今日はボクが、朝食の用意をいたしますねッ」
「お願いね」
「任せて下さい」
と、返事をし、着替えて台所へ駆けていくアキちゃん。
火炎魔法で火を起こし、スープを温め、オートミールを用意して、庭のトマトをスライスします。
あとは、アキの好物のりんごのジャムを用意すれば、出来上がりだ!
「先生ぇ、ご飯ですよ!」
庭で草毟りをしていた先生が戻って来ました。
「では、頂きましょうか」
「はい、先生」
「今日は町にゴミの焼却ですね?」
「はい、ボク一人で大丈夫ですよ! 先生!」
「まあ、アキったら、もう一人前のつもりなのね」
「ボクは一人前です」
とは、言うものの、万が一を考えて、『自分も行った方が良い』と、先生は考えていたのです。
「作業はお任せしますね。後ろで見てますからね」
「先生も来るのですかぁ?」
「そうですよ」と、やや大きめの声で先生は答えたのでした。
そして、二人は町のゴミ焼却炉に着きました。
単にゴミを燃やせば良いのなら、火をつければ良いのですが、魔力を含んだ物は普通の火では燃えないのです。
『魔力を含んだ炎でないと燃えない』
だから、魔法使いが喚ばれるのですね。
昔は、魔力を含んだ商品など無かったのだけれど、世界に蔓延している魔力の流れがおかしいのです。
不自然に溜まり、その影響で植物や鉱石に影響を与えています。
それら、魔力を含んだ植物や鉱石で作ったものは、丈夫だったり、美しかったりするので、よく売れるのですね。
「では、皆さん。火をつけますので下がって下さい」と、魔法使いのコスチュームのアキが言いました。
すると、焼却場の職員達が退散しました。
そして、ゴミに点火し燃え始めたのです。
メラメラと燃えるゴミ!
焼却は成功と思われた時、ゴミから出る音が大きくなって!
“ボォーン”
「???」と、皆が思ったところ。
ゴミの中から黒い空間が現れました。しかも、大きくなって行くでは!?
「いやあぁ、な、なんで“世界の綻び”が、こんなところに……」
と、気が動転したアキちゃんの後ろから、
「アキ! どきなさい」と、声が響きます。
「先生!」
「魔力開放!」と、先生が右手を突き出すと、先生がリンゴでも握り潰すかのように、伸した指を閉じて……
すると、“シューゥ”という音と共に“世界の綻び”は消えたのです。
そして、そして、職員達の安堵のため息が聞こえてきたのでした。
先生は、先生で、自分が恐れていたことが起こり、やはり、来て良かったと安堵、安堵の様子です。
一方、アキちゃんは、『これぐらい、自分一人でやってみせるんだ』と、張り切っていたのが、突然、世界の綻びの出現に慌てふためいてしまったのです。
「ウウウッ、情けない。そして、悔しいよぉ」
「アキ! 大丈夫かい?」
「先生ッ、ボ、ボク、何も出来なかったです」
「うん、まあ今回は無事で良かったわ」
二人は、職員からお給金を貰い、この日は帰宅することにしました。
「魔力が不自然に集まる現象を止めないとね。何処かに大きな穴が有って、魔力が流れているんだと思うの」
「先生、それは、どこか分かるのですか?」
「すぐには分からないけど、魔力の集まるところを追っていけば、わかるはずよ」
「はい、ボクも頑張ります」
「お願いするわね。アキ」
「ハイ!」
そう、この世界の綻びの穴を塞ぎ、この世界に十分な魔力を貯めて機能するように修繕をするため、ワタクシ、“カロリーネ フォン バイエンル”は、ここに再び戻って来たのだから。
この魔女の箱庭に……
その後は、あの御方の復活を……
と、先生と喚ばれる魔法使いは、そう思いました。
続きは、連載版にて!?
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