音の証明・耳の適応
「あのさ、今この俺の部屋に流れてるっしょ。音楽」
「ああ。」
「この音ってさッ、俺らの耳があるから聴けてんじゃん。鼓膜に振動してさ」
「当たり前じゃん」
「じゃあさ、俺達がいなかったらさッ、この音鳴ってんの?」
「鳴ってんだろ?誰もいなくたって」
「証明できる?」
「ここの窓開けてな、部屋出て外から聴いてみ」
「ダメだよ。離れたって。耳に入っちゃ意味ない」
「どういう事?」
「だ、か、ら、俺が言いたいのは受け手がいない音は、音として存在してるのかって事。そりゃ空気は振動するだろうけどさっ。空中で揺れてるだけだろ?」
「じゃあ、音も拾える防犯カメラ。この部屋に取り付けてさっ。部屋を出る」
「だ、か、ら、それは防犯カメラが音の受け取り手になんだろ!拾ってんじゃん」
「、、、」
「思うんだよね~。音の受け取り手がない以上、音は存在しないってさっ」
「鳥のさえずりも、火山の大噴火もか?」
「だからさ、地球が誕生したマグマの大噴火も、荒れ狂う大海原の誕生も、聞く者、聞く物がなければさッ、静かなもんよ。地球は静かに始まったんよ」
「音を聞く者がいなかったって事だから?」
「そう、しかしそれが体験できるアトラクション。ちょっと待ってよ」
「なにそれ?」
「『キラウエア火山の大爆発』ってドキュメンタリービデオ」
ガチャっ
「でボリューム『0』」
ジーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「眠くなったな、、」
「おう、、」
「マグマが凄いけど、、静かだと、、」
「眠くなっちゃうな、、」
「まっ、ボリュームONでも眠くなってたな」
「人間の耳って凄いな。」
「ONでもOFFでもそれなりに適応」
「さっきの話。面倒くさいから聞かなかった事にしとくよ」
「それも耳の適応」
※たまには言おう
こんなチープな短編に感想やブックマーク、評価☆を頂けましたら、、、今年も頑張れる。
あっ!聞かなかった事にしといてね!