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41お泊まりの日2

『政府要人次々謎の昏睡っ!過激派かっ!?』



スマホのニュースアプリのトップに物騒なタイトルが流れる。



ここ最近、政府の要人ばかりが意識不明の重体で運ばれてるみたい。



たしかもう9人くらいになってるんじゃないかな?



まだ原因は不明だけど、政府の要人ばかりが似たような症状で倒れてるから、さすがにメディアも組織絡みの陰謀説を有力視してるらしい。



…最近香奈お姉ちゃんが忙しいのも、関係してるかもしれない。



「おーい、伊織?そろそろ晩ご飯の時間だぞ?」



遠くから私を呼ぶ円華ちゃんの声でスマホの時計を見ると18時20分。



子供達と夢中になって遊んでたみたい。



「ありがとう円華ちゃん。さぁ、みんな手を洗って食堂に行こっか」



「はーい!」

「お腹空いたなっ!」

「今日は伊織おねーちゃんの隣で食べるっ」



子供達が次々と元気な声で手洗い場まで走る。



あれだけ遊んだのにまだ元気が有り余ってるなんて!



晩ご飯の後にお風呂入ったらみんな揃って今にも寝そうになるんだけどね。



いつも特に眠そうにしてるのが他でもない、そう私さっ!



よく子供達とトランプしてたら真っ先に寝落ちして円華ちゃんに部屋まで運んでもらってたっけ?



「…どうした伊織?変な顔になってるぞ?泣き笑いみたいな?」



我ながら情けない思い出にふけっているとどうやら顔に出てたみたい。



だけど今の私は違う。



あの大人の女性レベルMAXの香奈お姉ちゃんと一緒に住んでいるのだから。



「ふふ、もう私は大人だからね。円華ちゃん、今日は一晩中起きてるよ?」



「はぁっ!?そ、それってどういう意味だよ!?」



「もう高校生だしねっ!円華ちゃんっ」



でも2人でトランプはイマイチだしなぁ。



何して起きてようか?



「おい!伊織!一晩起きてるってなんだよ!…おいってば!」



今日円華ちゃんと何して遊ぶか、手を洗いながらもそのシミレーションに余念はなかった。



ーーー



「伊織おねーちゃん、一緒にお風呂入ろ?」

「私も一緒に入るっ!」

「私もっ!頭洗ってっ!」



時間は19時15分頃、晩ご飯を食べて、私達の買ってきたデザートをみんなで食べ終わった頃だ。



先生も子供達も美味しいと言って喜んでくれたから、買った甲斐があったね。



さて、うちのお風呂は一般家庭のよりは大きいけど、一度に5人くらいが限界だから、早い時間から4グループくらいに分かれてお風呂に入る。



ちなみに今孤児院は私と円華ちゃんを除けば8歳以下の子供しか居ない。



だから単純に小さい子から順番に4グループ作って、前の2グループには引率がわりに私と円華ちゃんが一緒に入る感じだね。



「よし、じゃあ最初のグループは伊織と入ってこい。…ただし男子はだめだ。私と入るぞ」



「えぇー!また円華おねーちゃんと?」

「頭洗うの力強いんだよな…」

「伊織おねーちゃんと違っておっぱいも小さいしなぁ」



「おい!最後に言ったやつ誰だ!?余計に伊織と入れられねーからなっ!てゆーか泣かすっ」



ぎゃあぎゃあと言って男子グループと円華ちゃんの追いかけっこが始まった。



あんまり走ると口からプリン出ちゃうよ?



「ほんと男子達ってばサイテーね」

「でりかしーがないって言うんでしょ?」

「ホントよ!伊織おねーちゃんのおっぱいは私達のものなんだからっ!」



「いや、私の胸は私のだよ?」



はやくー!と急かされて私も子供達と脱衣所に向かう。



ホントにみんな元気だなぁ。



ーーー



「ふぁー、疲れたー」



あれ?円華ちゃんには最近は全員自分で身体も頭も洗えるって聞いてたんだけど、きっちり一緒に入った4人全員の身体と頭を洗う羽目に。



みんな今日は遊びすぎて疲れてるのかも知れない。



なんだかんだ言って子供だね。



「伊織、お疲れ様。今最後のグループが入り終わったよ。後は先生が見てくれるらしいから、私達も部屋に戻ろうぜ」



広間でスマホをいじって涼んでいると、風呂上がりで引率し終わった円華ちゃんが歩いてくる。



今日は私も円華ちゃんに服を借りてるから、二人ともノースリーブに短パン姿だ。



「……」



「…?どうしたの?」



立ち上がった私の姿を円華ちゃんが下から上と順に見る。



「いや、私の服着てる伊織って新鮮だなと思って」



「確かにあんましこういう服着ないかも。円華ちゃんみたいに脚が綺麗じゃないからちょっと恥ずかしいよ」




「伊織は誰よりも可愛いんだから、恥ずかしがる必要なんてねーよ」



「あ、ありがと」



「あ、あぁ」



もう!円華ちゃんてばストレートに褒めすぎ!



照れる私に円華ちゃんの顔も釣られて赤くなってる。



「あ、そうだ!写真とろーよ」



気まずい雰囲気を変えたくてふと思いつく。



「私達の写真か?」



「そう。姫ちゃんとステラちゃんから『今何してる?』みたいな通知がしょっちゅうくるから、話題尽きちゃって。だから写真でも送ろうかなって」



「なるほどあいつら。…ははっ、多分明日は寝不足だろうな。いいよ。撮って送ってやろーぜ」



そう言って円華ちゃんがニヤリと男前に笑う。



ほんと、円華ちゃんのこういう時の表情にはどきりとさせられる。



「じゃあ撮るよ!…はいっ」



円華ちゃんとの隣に立ってスマホでパシャリ。



長身の円華ちゃんが私に合わせて少し膝を曲げてくれる。



おかげで顔の位置を合わせて全身を写した写真が撮れた。



二人して色違いの服を着てピースした写真を見てると、



「なんだか姉妹かカップルみたいだね」



そんな感想がつい口から出るほど、いい写真。



「ほんとだな。私にも送ってくれよ」



「あ、それならグループ作るね。なんで気付かなかったんだろ?」



LINEを起動して円華ちゃん、姫ちゃん、ステラちゃんをグループ招待。



…するとほぼノータイムで姫ちゃんとステラちゃんが参加してくれた。



ちょっとスマホ見過ぎじゃない?2人とも。



『やっほー♪こっちでもよろっ♡』



『こんばんはにゃ。今日は暑いのにゃ』



『今日はありがとな!明日も学校でよろしく!』



リズムよく交わされるトーク。



さて、さっきの写真を送ろうと。



ポコン、と写真を添付。



『お揃いの部屋着だよ』



『お風呂上がりだから私の髪いつもより真っ直ぐに見えるでしょ?笑』



瞬間、怒涛の勢いでLINEのトーク通知がくる。



『え!まって!』



『めっかわ』



『きゅんきゅんすりゅ』



『円華代わってー!』



『すごくぅ』



『すこおく』



『凄くかY』



『凄く可愛いにゃ!』



『ステラ落ち着けしっ』



『LINEアップデートしてから写真の保存方法変わったにゃ!?』



『保存期間とかあるにゃ!?』



『保存の仕方スクショで送るからっ』



数秒後、



ポコン、と写真が添付される。



『こんな感じで選択してから保存だし』



『姫、ありがとにゃ』



『どいたしましてー♪』



『…姫?』



『どしたの円華ー?』



『そのスクショに写ってる写真、なんで伊織だけ拡大されてんだ?』



『べぬに』



『別に卵』



『別にたまたまだしねー♪指が当たったんじゃね?♡』



『めちゃくちゃ動揺してるだろっ』



『みんな誤字が酷いね。ははーん、さてはお眠さんだな?』



『いや、目は覚めちゃってるよっ!伊織のせいでねっ』



『なんで私のせいなのさ』



『無自覚小悪魔天使めっ』



『なにそれ弱そう』



『いや最強に手強いよっ!』



『写真のフォルダってどうやって作るのにゃ?』



『いや、ステラが一番落ち着けよ。色々ダダ漏れだからな?』



『そろそろ私達部屋に行くから。また後でな』



『みんな早く寝るんだよ?』



『寝れるかっ!後でね』



『まだ寝ないにゃ!』



ふぅ、友達とのグループトーク。



…楽しいねっ!



二人で階段を上がり、二階の奥の方にある円華ちゃんの部屋に。



よく円華ちゃんの部屋で一緒に遊んだけど、こうやって夜に泊まりに行くのは久しぶりだね。



「どうぞ。一応片付けてあるけど、汚かったらごめんな」



「円華ちゃんの部屋が散らかってるとこなんて見たこと無いんだけど。お邪魔しまーす」

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