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12ここが家ですか!?

「ねぇ、今日カラオケ行かなーい?」



「誘ってくれてありがとー!行きたい!」



…、



…さて、私は帰りますかねー。



放課後になり、生徒はみな各々の時間を過ごす。



転入生は放課後になるとクラブ活動に誘われると漫画で読んだのだが、現実はこんなもんですよ。



まぁ今日は香奈お姉ちゃんの部屋に荷物が届いているはずだし、どのみちすぐ帰る予定だったのだけど。



「じゃあね、姫ちゃん。また明日」



「んんー。また明日ね、伊織」



…相変わらず机に突っ伏してる。



今日起きてるとこを見たのは朝にぶつかった時くらいじゃないかな?



もうちょっと仲良くなったら訳を聞いてみよう。



…今のとこ学校での友人ランク1位だけど。



教室を出て帰路に着く。



今日はイマイチだったなぁ。



来週には円華ちゃんも編入してくるけど、それまでにもうちょっと馴染まないと。



同じクラスになれるとも限らないしね。



学校からバス停まで歩き、メイリー孤児院とは逆方向に進み二つ目の停留所で降りる。



ここらへんは都内でも高級住宅が立ち並ぶエリアであり、住みたい都市ランク毎回ベスト3には入っている。



スマホのマップを頼りに香奈お姉ちゃんに教えて貰った住所まで歩く。



「うわぁ…マジですかぁ…?」



辿り着いたのは周囲よりも頭一つ高い高級マンション。



遠くから見てた時はまさかあそこじゃないよね?と思ってたけど、まさかのここだった。



自動ドアから入り一階のエントランスに。



そしてエレベーターに乗り込み最上階に。



そしてエレベーターを降りたらもう玄関だった。



…最上階は香奈お姉ちゃんだけの部屋らしい。



これからここに住むと考えるとくらくらする。



改めて、自分とは違う世界の人が、これから家族になって一緒に住む事への戸惑いを感じる。



ちゃんと、仲良く出来るかなー。



緊張しつつインターホンのボタンを鳴らす。



『はぁーい』



「こ、こんばんは、伊織です」



『入って入ってー』



目の前の扉からガチャン!と音がした。



入ってって言ってるし、開けちゃいますよー?



別に悪いことしてるわけじゃないけど、そぉーっと扉を開き、



「よーこそー!伊織ちゃーん!」



パァン!と目の絵にはクラッカーを鳴らした香奈お姉ちゃんが満面の笑みで迎えてくれていた。



「わぁ!びっくりしたー!」



「そうでしょー?伊織ちゃんの為にね、買ってきたのよ。さぁ入って」



そういって飛び散った紙吹雪を集めている姿につい笑いそうになる。



「お、お邪魔します」



「もう、違うでしょ?伊織ちゃん」



悪戯っぽくおでこを人差し指で押される。



「…た、ただいま」



「おかえり」



頭をくしゃくしゃと撫でられる。



なんだかあったかくて、気恥ずかしい。 



「伊織ちゃん、その制服…」



「あ、そうなんです!今日初めて学校に行ってきたので。似合いますか?」



そう言ってくるりと回ってみる。



「凄く似合ってるわ。可愛い」



「ありがとうございます」



「仕事早上がりして家で待ってた甲斐があったわ」



初めて似合ってるって言われた!

嬉しいよー!



内心ガッツポーズをして、靴を脱ぎ、長い廊下を歩き、リビングにつく。



「ふわぁ…」



とても広い。

壁掛けテレビ、高そうなソファーにガラスの机、


大きな窓ガラスの先にはテラスまで広がっている。



思わず今日何度目かのため息が漏れる。



「伊織ちゃんの荷物、届いてるわよ。二階の使ってない部屋を伊織ちゃんの部屋にしていいから、おいで」



そういってリビングから階段を上り二階へ、リビングは吹き抜けになっている。



「ここが伊織ちゃんの部屋よ」



高級そうな扉にはハートの形で『伊織』と書かれたプレートが掛かっていた。



香奈お姉ちゃんのしてくれる事はいちいち可愛らしくて嬉しい。



扉を開けるとリビングの半分くらいの広さかな?

何もない部屋にダンボールがいくつか。



「伊織ちゃんの荷物、ここに運んでおいたけど、少ないわね。今度必要品を買い出しに行きましょう」



「そんな、悪いですよ」



「いいのいいの、遠慮しなくて。それにお姉さん、とても稼いでるのよ」



手でお金のマークを作り悪戯っぽくウィンクしてみせる香奈お姉ちゃん。



大人っぽい見た目に子供っぽい茶目っ気のギャップが可愛い。



「それじゃあ荷物の確認をして、部屋着に着替えたら降りてきて。少し早いけど晩ご飯にしましょ」



「わかりました」



そういって香奈お姉ちゃんと別れる。



業者さんに運んでもらった荷物だが、ほとんど服とかしか入っていない。



孤児院では施設に寄付の物が色々あったから、あまり不要な物は買ってないのだ。



制服を脱ぎ、シワにならないようにたたんでおく。



ダンボールの一つを開き、部屋着に着替える。



ゆったりとしたワンピースは、円華ちゃんとお揃いで買ったお気に入り。


カバンを開けて水筒を取り出し、ノートを開く。



魔法学校!とはいえ普通に国語や数学など、一般教養の授業が主だった。



明日は実演講習とかもあるそうだし、体操服を用意しなくちゃ。



あ、そうだ!



そこで思い出してスマホを見てLINEを開くとそこにはおびただしい通知が。



円華ちゃんと先生である。



『学校はどうだ?』



『どんな感じか教えてくれよ、来週から私も通うし』



『うざい奴とか居ない?』



『チャラい男と、喋っちゃダメだからな』



『やっぱチャラくなくてもダメ』



円華ちゃん。



『学校中にごめんね、緊張してない?大丈夫?』



『伊織なら大丈夫だから、自信持ってね』



『馴れ馴れしく話してくる生徒とか居ない?円華ちゃんが通うまで気をつけてね』



真矢先生。



過保護だなぁとは思うけど、やっぱり嬉しい。



『大丈夫だよ。今はいっぱいいっぱいだけど、すぐに馴染むから』



…の予定!!



まぁ姫ちゃんとも仲良く?なれたと思うし、明日は他のクラスに行ってみてもいいかもしれないな。



2人に心配かけないようにしなくちゃ。



ーーー



しばらくして一階に降りると机の上には所狭しと豪華な料理が!



「すごい美味しそう!これ、全部香奈お姉ちゃんが?」



「ざんねーん。私は料理は出来ないのよ、これ全部デリバリー」



「あ、そうなんですね。でも嬉しいです!こんなに沢山!」



香奈お姉ちゃんにも苦手な事があるのか。



「伊織ちゃんは料理出来るの?」



「好きなので、割と得意な方ですよ」



「ホント?いつでもいいから今度作って欲しいな」



「良いですよ。好きな食べ物や苦手な食べ物はありますか?」



「割となんでも食べるけど、グリンピースとカニはダメ」



つい動きを止めてしまう。



「…グリンピース?…っぷ、あっはは」



思わず笑っちゃった。



「…なによー。苦手なものは苦手なんだもん」



子供の様に頬を膨らませる香奈お姉ちゃん。



「じゃあオムライスを作る時は、気をつけますね」




「あ!あれはホント辞めてよね!卵で隠れてるから、避けづらいのよ」



実体験らしく、綺麗な顔を歪めて語る。



「まぁ、そんなことより、冷めないうちに頂きましょう」



「そうですね、どれも美味しそう」



「ようこそ、沢村家へ。改めてこれからよろしくね」



「こちらこそ、よろしくお願いします」



「それじゃあ、いただきます」

「いただきまーす」



今までの生活、香奈お姉ちゃんのお仕事のこと、今日の学校の事、いろんな事を話して二人で囲む食卓はとても楽しく、あっという間に時間が過ぎていった。



ーーー



食後、リビングからテラスに出て、絶景の夜景を見ながら香奈お姉ちゃんと向かい合ってコーヒーを飲んでいる。



こんな贅沢していいのかしら!?



「ここ、いいでしょ。これがあるからこの部屋に決めたのよ」



「はい。とても素敵です。カフェみたい」



木で出来た椅子は座り心地がよくて、吹き付ける風は優しく心地いい。



「安心してね?このテラスは中級魔法障壁を常時展開してるし、認識阻害の術式も組み込まれてるから、外から見られる事もないわ」



そういってトン、とテーブル下に埋まっている拳くらいの大きさの宝石を足で鳴らす。



この魔法石に魔法障壁と認識阻害の術式が組み込まれていて、電気を魔力に変換する回路を通じて起動しているらしい。



香奈お姉ちゃんくらいになると外から狙われたりするのかな?って思って聞いてみると、単に虫や鳥避けらしい。



スケールが違う。



「学校、大変なんじゃない?」



「…かもしれません。いきなり環境が違うせいかもしれませんけど」



「そっか。困ったことがあったらなんでも言うのよ。伊織ちゃんはなんでも自分で解決しようとしそうだから」



「なんでわかるんですか?」



「お姉ちゃんだから」



「…ふふふ」

「あはは、お姉ちゃんにはお見通しよ」



明日も頑張らなければ。


こんな素敵な人たちに見守られているのだから。



自分で書いてて、テンポ遅いなぁと思います泣


気長にお願いしますm(_ _)m

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