君と僕の笑い泣き
続きです。
そして僕は今までのことは何もなかったかの様に中学校を卒業し高校を卒業した。
そして今は19歳となり地元を離れてアパートで1人暮らしをしながら東京の大学へと通っている。
(懐かしいなぁ)
(もう会うことは無いんだなぁ)
(もう一度逢いたかったなぁ)
彼女の笑った顔あの顔を見ている時が一番幸せだったのかもしれない。
窓の外を見ると、いつの間にか雨が降っていた。
雨で滴る窓に反射した顔からは涙がこぼれ落ちていた。
(なんで泣いているんだ)
僕は涙を拭き、気分を変えるため渋谷へと向かった。
傘を差しながら人混みの交差点を渡っていた時、5年前と同じ匂いがした。
その匂いがした瞬間、僕は気がついた。
(あの5年前の彼女に似た女の子はみゆうだったんだ)
(そして今のこの匂いも施設で一緒に暮らしていた、みゆうの匂いだ‼︎)
僕は人混みに押し流されながらも見渡した。
(今、この交差点で間違いなく5年前のようにすれ違ったんだ)
(どこだ、どこにいるんだ)
「みゆうー‼︎」
「どこだ、西本みゆうー‼︎」
僕は叫んだ。
すると人混みの足音にかき消されながらも微かにみゆうの声が聞こえた。
「ハヤテ‼︎」
僕はその声がした方を見渡した。
そしてみゆうと僕は目が合った。
だが僕は人混みに押し流されて行く。
みゆうも人混みの中に消えて行く。
(クソ、何でこうやっていつも遠く離れて行くんだよ)
(5年前にビニール傘越しで見た君の後ろ姿)
(もう一度逢いたいんだ)
僕は人混みの流れに抵抗しながら交差点を渡り切り、辺りを見渡しながら叫んだ。
「みゆう‼︎」
「みゆうー‼︎」
すると後ろから肩を叩かれ振り向いた。
「やっと逢えたねハヤテ」
みゆうはそう言いながら泣いた。
僕も嬉しくなり笑った。
「5年かけてやっと逢えたよ」
僕はそう言うとみゆうは泣きながら笑った。
それを見た僕も泣きながら笑った。
そしてお互いは声を揃えて言った。
「好きです」
「好きだよ」
そして、いつの間にか空は…
晴れていた。
この作品は完結いたしました。
最後まで見て頂き本当にありがとうございます。
次の作品も良かったら是非期待しておいて下さい。