長い話はあまり聞きたくないよね
お金がなく宿にも泊まれずご飯も買えなかった二人は街を出て近くに流れてる川で魚を獲り枯れ木を集め生活魔法である『種火』を使い火を起こし獲った魚を焼き食べてそのまま眠りにつき朝を迎えた。
「今までの旅で野宿とかやってて助かったなぁ」
そう、二人はお金のない旅だった故に食糧を現地で収穫する野宿に慣れていたのだ。
こうして朝を迎えた二人は川から食糧を調達し朝ごはんを済ませ再び街に入りギルドに向かった。
「おはようございますミーナさん」
「おはーミーナさーん! 俺らのギルドカード出来とー?」
「ナンシーさんレイチェルさんおはようございます。もちろん出来てますよ、お二人のギルドカード」
「よっしゃ! じゃあ早速依頼受けよーぜ」
ミーナからカードの受け渡しの際にギルドの規定についての説明があると聞いていたのを1日で忘れるのがこの二人だ。
「では、ギルドの規定の説明をさせていただきますね」
「あ、まっちょ。多分俺ら聞いても忘れると思うからさ、大事な所だけ教えて」
「大事な所も簡略化してくれたら嬉しいわ」
二人は己らのアホさ加減を理解してそう言った。
「大事な所を簡略化ですか、わかりました。では説明させていただきます」
其の一 自分より上のランクの依頼も受けれますが、自分のランクにあった依頼を受けてください。
其の二 依頼失敗時には違約金が発生します。
其の三 犯罪行為は行わない事。ギルドの信用問題に関わりますので。
これがミーナが二人に告げた内容だ。本来なら他にも色々とあり、何故自分に合ったランクなのかや、ギルドカードについての説明等をしっかりとするのだが、簡略化した結果この説明になった。
「オッケー! 頑張って守るわ」
「ありがとうミーナさん! 凄く分かりやすかったわ」
「では、お二人のランクはEですので、頑張ってランクを上げてギルドに貢献してくださいね」
そう告げられた二人は依頼ボードに向かい初めての依頼を探し始めた。
「ミーナさーん! これ受けるわ」
そう言いながら窓口に戻ったナンシーが手にしてたのは、スライム三匹の討伐依頼書だった。
「あ、はい。この依頼ですね。こちらはスラム街に住んでる方達が」
「あ、そーゆー長い話要らんからさ、どこのスライム倒したらいいかだけ教えて」
ここの話も端折るのかと、ミーナは思ったが口には出さずに(顔には出ていたが)取り敢えずスラム街の地下にある水路に出没するスライムを倒してくるよう伝えた。
それを聞いた二人はギルドを飛び出し、スラム街へと向かった。