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菱川師宣に遊郭の手引書『吉原恋の道引』などをかかせてみたよ

 さて、そう言えば俺は菱川師宣という名絵師を抱えているのだが、最近あんまり活用していなかった気がするがこれは、非常にもったいないことだ。


 俺は菱川師宣と話し合いをして、吉原のガイドブックを作ってもらうことにした。


「お前さんに頼みがあるんだが」


「ん、頼みってのはなんだ?」


 俺は俺の手書きで書いた簡単な江戸の街の地図などを見せながら説明した。


「江戸各地から吉原や品川へ来るための通いの道筋やその途中の籠や馬・舟の運賃、見世の種類や場所の地図、遊女の種類と遊ぶためにかかる値段まで、事細かく書いて吉原や品川に来たことがないやつでも、どうやって来ればいいのか、実際に遊ぶにはどれくらいカネがかかるのか、遊女と遊びたいときにはどこに行けばいいのかとか、遊郭以外の施設ではどういうことができるのかを一冊の本に書き記してほしいんだ。

 わかりやすく挿絵付きでな」


 俺の説明に菱川師宣は顎に手を当ててしばし考えた後に言った。


「なるほどな。

 どういった物をかけばいいかはお前さんがだいたい示してくれるんだな?

 しかし当分はそれにかかりきりになりそうだが、ちゃんと金は出るのか?」


 菱川師宣の愚問には頷いてから言う。


「そりゃ当然だすさ。

 なんならお前さんの仲間を使ったり、遊女から字や絵のうまいやつを手伝わせてもいいし、そのために必要な金もちゃんと出す。

 一冊一冊全部手書きじゃ大変だから木版で刷ってもらえればもっといい」


 結局時間がかかれば払う金も増えるし早く出来あがるに越したことはないからな。


 もっともこういう時はただ人を増やせばいいってわけでもないんだけど。


「ほう、そこまで言うとはなかなかの待遇だな」


「ああ、こういったことは大事だしな。

 それに浮世絵師とか彫師、摺師、それに暇そうな遊女の働き口が増えるのはいいことだ。

 なんで、それが終わったら歌舞伎芝居の案内書も同じように作ってやってほしい」


「わかった、仲間に声をかけてやってみよう」


「ああ、頼むぜ。

 途中で進行具合とかも教えてくれな」


「ああ、了解だ」


 風俗雑誌のような個別の見世の紹介というよりは吉原や品川などの遊郭や芝居見学のための案内をわかりやすく行って遊郭や芝居小屋などをもっと身近なものにしていきたいものだ。


 そして浮世絵師、彫師、摺師やそれを手伝えるあんまり売れてない遊女などにちゃんとした食い扶持ができるならそれに越したことはないしな。

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