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第三節:来客

次回は、更に時間が掛かる予定。

何故か、書いたり消したり繰り返す私。……時間無いのに(滝泣)


誤字を発見し、修正いたしました。半分寝ながらの確認がまずかった見たいです(汗)


 森をつんざく銃声、木々を次々伐採していく斬撃。

 魔術師の服に身を包んだ私と手にそれぞれの武器を持ったメイドたちが、見渡す限り荒れ果てた森を前に、唖然としている。

 森と言うより……もうここだけ荒野ですねぇ。


 【その辺りが、最後に感知した場所でぇーす。間に合いましたかぁ〜?】


 と、誘導していたクローバーから、念話が送られてくる。


 「間に合った、んでしょうか?」


 「……森の木々や土地の方は手遅れの様です」


 半目で私が呆れたようにぼやくと、ちょっと間を置いて的確にスペードが答える。

 ふむ。そこかしこにある真新しい切り株。ボコボコに、抉れている地面。確かに手遅れの様です。

 遅れて来たハートは、誰が片付けると思って…と、肩を震わせている。そんなハートを私も手伝いますからっと傍らにいたダイヤが慰めている。

 私の推測では、元に戻るのに2〜3年かかると思うのですが。


 「保護対象は、無事のようです」


 と、冷静にスペードが荒野の真ん中を指し示す。

 荒野には、あの戦闘を目の当りにしたのか呆然としている物体。


 「犬?いえ、狼でしょうか?にしても、大きいですねぇ」


 狼は、我に返ったのか、辺りを見渡し我々に気が付いた様だ。物凄い勢いでこちらに駆け出した……若干涙目で。

 犬の様に見えた姿から、駆け寄って来るにつれ徐々に人型に変化していく──これは。


 「なるほど。人狼『ワーウルフ』ですか」


 ワーウルフ、ウェアウルフ、リカントロープ、ライカンスロープと、様々な名で呼ばれる獣人の一種。簡単に言ってしまえば狼男である。

 この辺り。と言っても、数百キロ離れた森にだが、そんなに珍しい者ではない。珍しい所か、数が多いほどだ。


 徐々にその姿を現していく。

 髪は、金色に輝き毛先にゆくにつれて、白くなっている。足は、スレンダーに長く、ふくよかな胸。

 ふむ。どうやら、女性の様ですねぇ。と、観察していると──不意に、目の前が真っ暗に。


 「……見えないんですが」


 「マ、マスター!!何をマジマジとご覧になっておられるのですかっ」

 「そうです!彼女に失礼ですっ」


 目を隠したスペードとダイヤが怒鳴り始め、傍ではハートが仕切りに頷いている気配がする。

 ふむ。別に、裸体に興味がある訳ではなく、その肉体構造がどうなっているのか興味があるだけなんですが。


 「私は、別に裸体に興味があるわけでは、なく──」

 「ダイヤ。取り合えず、彼女をマスターに見せない様にした方が良い」

 「はい!ハート!とりあえず、エプロンで遮りますっ」

 「私とハートは、お二人を止めて参りましょう」

 「──聞いてませんね」


 なぜか、イライラした様子でダイヤに指示を出し始めるハート。

 全く、非常識なのですから、マスターは…と、ブツブツいいながら行動するスペード。

 指示に、いつもより遥かにハキハキ受け答えするダイヤ。マスターが取られちゃいますっ。と言いながら。

 慌てぬ主を他所に、自分達でその場の最善な方法を取っていくメイド達。

 優秀で嬉しいのですが……なんでしょうか?この重い空気は。



 ─約30分後─



 漸く落ち着いてきた。

 埃だらけになった、自分の眼鏡を拭きながら辺りを見渡す。


 スペード達の的確な行動によって、今は、もう屋敷に戻ってきており。目の前には、さっきまで暴れ回っていたローゼットとアイリが、正座しながら俯いている。

 スペードとハートが取り押さえようとしたのだが、銃弾と剣戟の雨の中に近づけず、結局私の声で漸く止まりました。

 さっきまで、アイリが…ローゼットが…と、なすり合っていたが、今はご覧の通り静かだ。

 いつも、静かなら言うことないんですが。と、私は何度目になるだろう溜息を吐き出した。


 侵入してきた彼女は今、クローバーが持ってきた洋服に着替え中。

 念のためにハートとダイヤが付いているが、問題ないでしょう。

 逃走の隙があるのに、逃げない侵入者なんて聞いたありませんし、見たこともありません。


 「お待たせ致しましたぁ〜。マスター」


 寝室の扉から、着替えを手伝ったメイド達が出てきた。

 どうやらこっちも終わった様です、が。


 「……何故、メイド服なんです?」


 「すいませ〜ん、マスター。我が屋敷には、女性が多くても、私服を所有しているのは、アイリ様とローゼット様だけなんですぅ」


 「貸して頂いても宜しかったのですが…何分、サイズが合わず…仕方なくサイズの合うメイド服に……」


 仕方ないんです。と、胸を張って訴えかけてくるクローバーと申し訳なさそうに言ってくるダイヤ。確かに、女性の私服なんてある分けがないですね……男魔術師の屋敷に。


 「あぁ〜アタシのじゃデカ過ぎるもんなぁ〜」


 「私の服なら、合いそうに見えるのだが?」


 と、いつもの調子に戻り始めたアイリとローゼット。

 ロゼの答えにダイヤは、明後日の方向を見ながら。


 「え〜その…ローゼット様のお洋服は、背丈は合うのですが…バ、バストが小さすぎまして──」

 「ぶっぶははははははははは!いつも鎧なんか着てるから潰れちまったか?あははははは、腹がいてぇ〜!し、死んじゃうぅ〜ふっふっふっふ!」

 「──あ、あぅぅ」


 「ぐっ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」


 物凄く申し訳なさそうに言ったダイヤの言葉に、アイリは涙を浮かべ腹を抱え笑い転げ、ローゼットはと言うと、アイリを睨みつけて、歯が砕けんばかりに食いしばって怒りを抑えている。

 墓穴をほりましたねぇ、ローゼット。でも、アイリ、それ以上笑うと首、切り飛ばされそうですよ。

 ローゼットが剣の柄に、手を伸ばし始めたのが見え、このままだと話が進まないですね……と思い一度、咳払いをした後。


 「二人とも、いい加減にして下さい。客人に失礼ですよ」


 私は、眼鏡を押し上げながら、にこやかに……ニコヤカに語りかける。


 「ははは・は・はぁーあ〜…すまねぇギュラ」 

 「無様なところを見せた」


 再び、シュンと静かになる二人。本当に、ずっとこのままだったら楽なんですが。

 さて、それよりも。


 「しかし、客人が人狼『ワーウルフ』だとは、正直驚きました」


 私は、客人に向き直って問いかけた。


 「確か、聞いた話だと、協定を結んで、森で静かに暮らしているのがほとんどだと聞いていたのですが……」


 「失礼します、マスター。その様な問い掛けより、最初にする事があると思うのですが」


 と、不意にスペードが言葉を遮る。

 私は、少し考えた後、『最初にする事』を思い出した。

 初対面でコレはなかったですねぇ。


 「ふむ、そうでした。どうも気になった事を調べたくなってしまう。魔術師の性分と言うやつです、許して下さい」


 人狼に軽く会釈する。

 それを見た人狼は、慌てて。


 「あ、頭を上げてください。私も、挨拶忘れていましたし…」


 人狼は、恥ずかしそうに俯いてしまった。ふむ、取り合えず。

 私は、胸に手を当てて、どこかの公爵よろしくお辞儀する。


 「ようこそ、魔術師の屋敷へ。私が屋敷の主で、名をギュラード・ミュラージュと言います。親しい者はギュラと呼びますがね」


 それを聞いたローゼット達も、自己紹介し始める。


 「私は、主に剣技を教えている。名はローゼット・ヒーリッヒ。ロゼでもかまわん」


 「さっきは悪かったねぇ。アタシはぁー…ギュラの用心棒兼武術の師匠、でいいのか?名前はアイリ・オーキンスってんだ。よろしくな」


 「我々は、マスターの身の回りの世話をさせて頂いております。私はスペード。隣から順にハート、ダイヤ、クローバーと申します。以後お見知りおきを」


 次々、出てくる名前にオタオタしながら人狼は、ギクシャクしたお姫様のようなお辞儀を返して。


 「えーと、わ、私の名前は、アビス・ケトープと申します。リュード様にお話したい事があり、ここより遥か北の人狼の村から参りました」


 アビスは、ニッコリ微笑んで挨拶を終える。


 「──リュード?」


 微笑ましく自己紹介していたローゼット達だったが、この名前を聞いた途端、静まり返った。


いかがだったでしょうか?

コメディって難しいですね。知り合いへのツッコミは得意なんですが、ボケるのは不得意です(汗)


評価、感想お待ちしております。


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