プロローグ
初めて、書かせていただきます。Honと申します。
何分、素人同然なので誤字、脱字があると思いますが、目を皿にして読み返したので多分無いと思います(笑)
何卒、よろしくお願いします。
台詞を修正いたしました。ご指南ありがとうございますっ!
──眠れない。
満月の夜は、毎回、何故か眠れない。
いつもなら、部屋で本読んだり、テレビを見たりして睡魔が襲ってくるまで待つのだけれど、その日は、何かに誘われるように散歩をすることにした。
外に出ると少し感動を覚えた…真夜中だからなのか、空気に淀みがなく肺に染みわたり、夜空に視線を向ければ、銀色の満月が上がっているから。
川沿いを歩きながら、淀みのない空気を吸い──ふっと、こんな素晴らしい夜ならどこかで狼男が遠吠えをあげているだろう。などと思ってみたりする。
「ん、なに考えてるんだろ、私」
17歳の女の子が考えることではないなぁ〜と一人、呆れてしまった。
気が付くと、堤防沿いにある公園まで歩いてきていた。
昼間こそサッカーをする子供たちや犬と散歩する人達がいるが、真夜中は誰一人居らず、街灯も点っていない。
しかし、不思議と恐怖心はなかった。たぶん月明かりで照らされて、公園が隅から隅まで見て取れたからだと思う。
──貸切みたい。
ちょっとした優越感に浸りにんまりと微笑みながら、堤防を降り近くのベンチに座り、空を見上げた。
「本当。真ん丸で、綺麗な月……」
どれだけ時間が過ぎただろう、まるで魅入られたかのように銀色の月を眺めていると、不意に銀色の光を遮る影。
・・・・・そこには、男の人が立っていた・・・・・
風が吹き、その人の髪が揺れる・・・まるで月の光を吸収したかのような長い銀髪、暗闇の中でも尚輝こうとする銀の瞳、黒い袖をまくったカッターシャツに黒いズボン、歳は20代後半位だと思う。一瞬、あの月から来た使者なのでは?と思わせるほど神秘的な感じの男だった。
「今晩は、お嬢さん。こんな真夜中に一人で散歩とは、感心しませんねぇ」
その人は、まるで英国の紳士の様に、ニッコリ笑い喋りかけてくる。
でも、返答より先に出た言葉は。
「月が見えないので、どいてほしいんですが」
なぜか、棘がある言葉だった。
男は、え?と言う顔をした後、あわてて飛びのき月を見上げる。
「ふむ。確かに今夜の月は、特別綺麗だ……見なければ損ですね」
月を見てうんうんと一人納得した後、堤防から降りてきて当たり前のように私の横に座り月を眺め始めた。
……しばらくの沈黙の後。
「よく、月を見に来られるんですか?」
「いえ」
即答……今度は、気まずい沈黙が始まる。
実のところ、この人が喋り掛けてくるも傍にいる事も、あまり不愉快ではない。
ただ、今は静かに月を見ていたかっただけなのだけ。
「……では、あまりに月が綺麗だから──」
「いいえ。」
「──そ、そうですか」
なのに、懲りずに喋りかけてくる。
流石にムッとして、今度は、喋り終わる前に返事で遮った。
「ふむ」
まだ、喋るか!と睨みつけようとしたけど……その人の顔を見た瞬間、苛立ちが嘘のように消えてしまった。
さっき、光源をバックにしていて、顔を確認できなかったけど、近くで見るとなかなかいやっかなり顔が整っていて…その──美形だ。
その人は、すまなさそうに頭を掻きながら。
「どうやら、私の所為で機嫌を損ねさせてしまったようですね。申し訳ありません」
徐に立ち上がって、頭を下げてきた。
私は瞬間、何してるんだこの人はと言う顔して、慌てて。
「い、いえ!そこまでして頂かなくても!私はただ静かに月を見ていたかっただけですから」
「ふむ、なるほど……ならば黙っているとしましょう」
言い終わると、また腰掛けて月を眺め始めた。
今度は、落ち着いた感じの沈黙が始まる。
私は、月を眺めながら、横目でその人をちらちらと観察してみた。
どうやら月を眺めながら、うむ。とか、やはり無粋でしたか。とか、自己反省しているようだった。他から見たら、怪しい人みたいなんですが。
それにしても、綺麗な顔をしている──特に、髪なんて女の私が羨ましくなるぐらいに。どこの国の人なんだろうか?何で夜中にこんな所にいたんだろう?……私は、いつの間にか、月よりその人の方に興味がわき始めた。
「あの…どこから来られたんですか?」
「む?……イギリスのロンドンから来ました。貿易関係の仕事をしていまして、世界中を飛び廻っているんですよ」
瞬間、考え込んだ後、微笑みながらすぐ答えてくれた。
なるほど、通りで紳士的なはずだ。本当に英国の人だったとは。
その人は、また考え込んで……
「なぜ、そんなことを聞くのですか?」
「え!いえ、その!顔つきとか髪の色とか見て、どこの国の人かなぁ〜と」
あぁ、なるほどと納得しているのか、手を顎に当てて仕切りに頷いている。
……この人、その場で考えをまとめないと納得できない人なのでは?
と、失礼なことを考えていると不意に。
「ん〜では、あなたは、どこから?見る限り、日本人に見えないのですが」
………あ、そうでした。
「えーと、あの育ちは日本なんですが、その生まれはヨーロッパ辺りらしいです」
私は、慌てて手をパタパタさせながら説明する。
昔は兎も角、ここ最近周りからも何も言われなかったから、完璧に自分が外人と言うことを忘れてた。
紅くなった顔を押さえなが、自分への不甲斐なさにため息を漏らしていると。
「ふむ。らしい…ですか。これは、また失礼なことを聞いてしまいましたか?」
「あ、いいえ!父が詳しく教えてくれないんですよ!ため息したのは、自分が外人ってことを忘れていたのが不甲斐なく・・・・・・あ」
申し訳なさそうに言う言葉を遮るつもりが──なにバラしてるんだ、私!!
さらに紅くなった顔を押さえながら俯いてしまった。
──沈黙……こんな時は、相手があはははとか、笑ってれる方が気が休まるのだけれど。
どうやら、また考え込んでいるようで、何も話し出さない──もしかして、私の言葉と反応を脳内で分析してるのでは。
うぅ、かなり恥ずかしいんですけど。
とほほ、と涙目になっていると、それを見てまた勘違いをしたのか、驚いた顔して。
「っ!……あ〜どうも私が来た所為で、いろいろ台無しになってしまったようですねぇ」
「えっ!いえ、気にしないでください。悪いは私ですし!」
慌てる私を他所に、少し微笑みながら。
「いいえいいえ。ここはお詫びに一つ、そうですねぇ……御伽噺でも聞いて頂きましょうか。」
彼は、コホンと咳払いを一度すると……
……ゆっくり不思議な物語を語り始めた。
読んで頂いて、感謝感激です。
意見、感想がありましたら宜しくお願いします。