運命
嫌悪感、悔しさ、悲しさ、怒り・・・・
悪いのは自分なのに相手が悪いかのように思えてくる。
こんな親友に対して複雑な気持ちでいる自分を親でさえも声をかけられなかった。
「悪かった」
突然謝ってきたのはアキラの方だった。
自分は理解できなかった。
「なんでお前が謝るんだよ」
「俺も今のお前みたいな気持ちになったことがあるんだよ」
自分は驚いた。自分が知らない頃にもうそんな体験をしていた。
「どんな気持ちだ?」
自分は少し強ぶって聞いた。
「友達があんまりいなくて、話す友達はいないけれど大親友はいて、でもその大親友でさえも嫌いになってくる。そのうち大親友の悪いところしか見えなくなってくる」
自分の心情がそのまま言葉にされていたことに少し苛立ったが、驚きが隠せなかった。
「はっはーー〜〜、いやー前から全然変わってねーな。」
思わず拳が出た。
「お前は俺の気持ちなんか分かってない!」
よろけたアキラは立ち直って、自分を殴ってきた。
分かっている、殴ってケンカしても何も始まらないことを。しかし、もう遅い、手遅れだった。
「いつからお前はそんな奴になったんだよ!中学の頃はもっと優しくて面白い奴だったのに。もううんざりだ!」
それから2人は二度と口をきかなくなった。