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アメリカで猫と暮らす  作者: 真白タミィ
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第8話 コタローのモテテク&玉抜きの日

 外出先から帰ってきたら、チャチャに威嚇された。


 「ええ?チャチャ?ママだよ?(お父さんじゃなくて)ママだよお?」


 さらに3回シャーッとされてゲストルームに逃げ込んだ。心が折れたという比較的新しい日本語を初めて理解した。


 原因はメガネだった。日光にあたるとレンズ部分がサングラスになるタイプで外出先から帰ったばかりだったので真っ黒になっていたからだ。と、思う。思いたい。しかし、お父さんは(素)で威嚇されることが多い。どれほど心折れているであろうか?

 

 チャチャは誰かれ構わず威嚇するパータレな猫なのだが、コタロウは愛されキャラだと思う。顔立ちも整っていて、おとなしい。

 

 お客さんが来ると、コタローは最初は遠くから観察しているが、時間がたつと首を傾げながらそっと近づいてくる。 小さい声でにゃーんと鳴き近くまで来てちょこんと座る。


 「わああ、かわいい~」お客さん、めろめろだ。


 夫もどちらかと言うとコタローの方が好きかもしれない。なんせ、先程書いたように夫にもしょっちゅう威嚇する。夫の涙目のおかげで我が家の子になったのに、恩を仇で返す返す。


 しかしコタロウは夫を見かけると、にゃ~んと鳴きながらトットットと走り寄ってくる。夫の顔がぱっと輝く。目はハート型になっている。


 「ああ~~こたちゃ~~ん、かわいいねえ~~」

もうどこからそんな声が出るのかというような甘い声で言うと頭を撫でる。本当は抱っこしたいのだが、残念なことにコタロウは抱っこが大嫌いなのだ。


 小首をかしげて、きれいな声で「にゃああん」と鳴く。そして足元にすりよる。そっと可愛い顔で夫を見上げる。


 もう我慢できない夫。鼻息荒くなったおっさん、いや、おとうたんは「Come hereこっちにおいでえ~」と抱っこすると、コタロウは腕をつっぱり足をつっぱり大暴れして、スルリと腕から抜けて飛び降りる。


 心は奪っておいて、決して抱かせない。


 手の届かないところまで走っていく。それからおもむろに振り返って、ひときわかわいい声で「にゃああん」そして、うふっという感じに首を傾げる。夫の心を完全に奪っている。


 モテ女のテクを全部身につけている。


 まあオスなのだが。


 元オスというべきか。


 8ヶ月位の頃にどちらも去勢をしている。アダプションの際に厳しい契約書を交わす。その中の項目に入っていた。お金も先に払っている。最初のワクチン代と去勢代がアダプション代金に入っているのだ。


 アダプションの場所の近くに動物病院があり、そこに連れて行くことになっていた。これは良いアイディアだと思う。書類も行っているであろうし、病院でチェックもしているはずだ。

「〇〇さん、来なかった」と記録に残るのではないだろうか。


 去勢の目的は子猫を増やさないためなのだが、オス猫の場合メリットも多くあると思う。


 実家で飼っていたオス猫は去勢をしていなかった。マーキングと行っていつもの数倍臭い尿をあちこちにシューッという感じに吹きかける。スプレーのようにだ。

カーテン、お気に入りのスカート、きものにまでシュ~された。


 これには猫大好きな私もほとほと困った。


 それから去勢によって性格も穏やかになるという。 え?チャチャは?チャチャは威嚇はするけれど噛んだり引っ掻いたりは絶対にしない。実家の猫はしていた。


 デメリットは雄の場合非常に太りやすくなることだそうだ。納得。


 6年半ほど前の去勢の日、病院につくと夫の顔は真っ青になっていた。男としてアレコレ考えることがあるのだろう。


 青い顔のまま受付で手続きをしながら質問をしていた。


 「手術は難しいのですか?」

 「あら、簡単ですよ男の子は。袋を切って、ボールを抜くだけだから」


 夫はもう倒れそうだ。


 「き、気分が悪い」


 だよねえ。獣医さん、もう少しこうオブラートに包んで言ってくださいね。


 手術終わって帰ってきた2匹。プリッとしていた部分がペションとなっている。


ごめんね、ごめんね。ニンゲンの都合で嫌なことをたくさんされるけれど、一生大事にするからね。本当だよ、大好きだよ。だからシャーはあんまりしないでね。



挿絵(By みてみん) 

初めて会った時から夫の心わしづかみのコタローさん。

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