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『バカ』な彼と真面目な彼女の生徒会!  作者: 丈槍 京
第三章 『イベント』連鎖
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第十五話 体育祭には興味ありません―前編

 夏休みが明けて早々、俺達は体育祭の準備を始めていた。俺は勉強できないから運動は

できそうとか思われているけど別に足が速いわけでもないし体力があるわけでもなかった。特に運動が好きってわけでもないし生徒会という名を使い、出来る限り出場競技を減らして適当に終わらせようとしていた。

 体育祭なんて「クラスで一致団結」とか言っているけど実際に一致団結しているクラスは見たことないし。裏で「あいつウザいとか」言われているんだよな。

俺なんて運動神経良くないのに無理やり走らされてビリになったらブーイングの嵐で泣きそうだったよ。実体験があると一致団結とか言われても信じることはできないよな。

でも生徒会のみんなとは仲がいいと思うよ?やっぱりバカ同士だから?俺は成績的にも思考的にもバカで辻はゲームバカとか。柊は成績が悪くないけど馬鹿真面目で滝川先輩は頭いいけど天然バカみたいな感じでこの生徒会はバカばっかりだ。(いい意味で)


そんなバカな俺達は今、数日後の体育祭について話し合っていた。

「そういえば体育祭の準備って具体的に何をするんだ?」

「テントを張るかとかライン引きかしら?」

「えっ?生徒会だけで??」

「そうだけど何か問題かしら?」

「問題だらけだ!四人だぞ?絶対に無理だろ!」

「私、貧血気味だから任せる!」

「辻も手伝わないと体育祭が消えるぞ?あ、いっその事なくせばいいんじゃないか?」

「それいいかも!実際、体育祭を楽しみにしている奴なんて相当運動できる人か少年漫画を読み過ぎた人ぐらいだし」

「いいわけないでしょ!また生徒会にアンチが増えるわよ?」

 やっぱりアンチがいる生徒会なんて聞いたことないぞ?そんなにアンチがしたいならどっかの某有名人のアンチでもすればいいのに。一般人である俺達をアンチしても炎上しないぞ?

「じゃあせめて仕事量を減らしてくれよ。こんなの一日でやったら死ぬよ?体育祭に出れなくなってまた「あいつウザい」って言われるし」

「じゃあ誰かてつだってくれる人でも探す?」

「アンチいるのに手伝う奴とかいないだろ!」

 というわけで結局俺達だけで準備をやることになったが。しかしプール掃除の時、同様に辻が抗議しまくって仕事量を減らしてもらった。

流石辻だな、今回も校長を登場させるなんて勇者だよ。でも先生からの評価が確実に下がったな。

「室内でできる準備は無いのか?」

「スローガンを決める……とかかしら?」

スローガンか……バカ目線だけど体育祭のスローガンなんてどこの学校も似たようなものだし考えるまでも無いよな?大体友情とか協力とかつければそれっぽいし、俺だってわざわざ真面目に考えるほど馬鹿じゃない。多分柊は真面目に考えようとすると思うけど結果、友情とか協力に行きつくのだろうか。

「私、なかなかいい案、思いついたぞ!」

「早いな!どんなのなんだ?」

「暗黒・邪神・漆黒!」

「……カッコいい!明日香ちゃんセンスある!」

 滝川先輩はこれを本当にカッコいいと思っているのかそれとも辻のご機嫌を取る為にやっているのか心配だ。これを本当にカッコいいと思っていたらなかなかの重症ですからね。

「どこが!?センスの欠片もないただの中二病じゃん!こんなの体育祭じゃないわよ!」

「じゃあ柊は何かいい案でもあるのか?」

「うーん……努力・友情・協力とかどうかしら?」

ドストレートいただきました!あえて変化球を投げない戦術ですね!それでいいと思います。シンプルを極めましたね。

「じゃあ決定」

「そんなあっさりでいいのかしら!?」

「でも悩めばいいってことでもないじゃん?」

「たしかにそうね……」

「今度こそ決定。じゃあ師匠、対戦しよう!」

「おう!やるやる」

 俺と辻はこのままゲームができるわけもなく柊に止められた。何故か俺だけ……

なんでいつも俺だけ柊と行動しなくちゃいけなきゃいけないんだよ!ゲームぐらいしたっていいじゃないか!

色々文句はあったが逆らうと後が怖そうだから大人しく体育祭の準備をすることにした。

「とりあえずテントを張りに行くわよ」

「もう行くのか?」

「モモちゃん先生が手伝ってくれるんだから我慢しなさい」


 モモちゃん先生というのは唯一、俺達をまともに扱ってくれる先生で本名は雨宮 桃先生だ。

新任教師で俺達の活動をたまに手伝ってくれる先生で生徒からも人気がある。通称モモちゃん先生と呼ばれている。(本人公認)

そしてこの先生も俺達と同じくバカと思われる。先生に媚びを売ったほうがいいということはわかっていながらも何故かバカな俺達を助ける、優しい人なのだ。

 九月と言ってもまだ猛暑日でテントを張る気が失せるほどだった。とはいえ俺がサボると本当に体育祭がなくなるから無理だよな。夏休みが明けて日が経ってないとダルいんだよね。ほら、夏休み明けって休みの感じが取れなくて動きたくないだろ?その状態で炎天下の中テント張りとか地獄だろ。生徒会に入るってことは進んで貧乏くじを引きに行くようなものだしね。

そしてこの世界では絶対に誰かは貧乏くじを引かないといけない……っていうアニメのセリフがあったから心の中で言ってみた。

 テントはモモちゃん先生のおかげで意外にも早く張れて、二時間ほどで張ることができた。俺は柊にさっき辻だけどうしてテントを張らなくてよかったか聞くと辻は明日、トラックのライン引きをさせられるかららしい。というわけで俺達の準備は大体終わり、今日は帰ることになった。


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