第十四話 課題と最終日
そんなどうしようもないパーティを終えて俺は特にイベントもなく夏休み最終日を迎えた。俺は課題に追い込まれていたが昼寝をしていた。しかし辻からメールが来た。
メールを開くと何とも予想通りの内容だった。
――【課題終わってない。このままだと死ぬ。柊と一緒に師匠の家に行く。】
家に来ていいって言ってないのに勝手に来るとか何様だよ。でも俺も終わってないし辻が家に来るのは予測済みだったのだよ!
どうせ最初に柊に頼んだが馬鹿真面目な為、見せてもらえずついでに俺のところに来て二人で頼もうって作戦だろうな。流石ゲーマー完璧な作戦だな!
来ることは大体予想していたから部屋は片づけてあるが俺達の課題がいつ終わるかだな。合宿で一応やっていたけど大して進まなかったし。
ちゃんと課題が終わるかどうか心配していると玄関のチャイムが鳴った。俺が玄関のドアを開けると柊と辻と何故か滝川先輩がいた。
「……なんで滝川先輩まで来ているんですか?」
「偶然、夏美ちゃんと明日香ちゃんと会って大和君の家に行くって言っていたから私もついてきたの」
「とりあえず上がってくれ」
辻!作戦はわかっているだろうな。俺がアイコンタクトで辻に伝えるとアイコンタクトで返してきた。これでバッチリだ!
「お邪魔しまーす!」
柊たちは俺の部屋にどかどかと上がり込んでコンビニで買ってきたお菓子やジュースを食い散らかしている。いくら勉強を教えてくれるからって少しは遠慮しろよ。
このままだと役立たずで終わるぞ?またわけのわからないパーティを始める気ならお前ら外に出すぞ。幸いにも双葉は遊びに行っていて家にいなかったからよかったが、もしいたら宴会のように騒がれるからな。どうせ部屋の片付けも俺がやることになるんだし。
「で、辻はどれだけ課題が終わったんだ?」
俺はわけのわからないパーティが始まる前に話を戻した。
「十分の一くらい?」
「あ、同じだ」
「というわけで柊、課題見せて?」
「なんでそうなるのよ。少しは努力しようとか思わないの?」
「全く思わない!」
「殺されたいのかしら?私はいつでもウェルカムよ?」
「真面目にやるから許してください……」
でも夏休みの課題って凄い量だし自力じゃ絶対終わらないよな?だって一か月半弱の課題だよ?これこそ悪夢を呼び寄せじゃないか!数週間前のフラグまで回収するなんてそろそろギネスに載りませんか?
「真面目にやるって言ったわね?じゃあ写さずに自力でやりなさいよ?教えてあげるから」
「この量は無理でしょ?」
「じゃあ止める?」
「嫌だ!」
しかし俺と辻のタッグで圧をかけまくり、難しいところは写して解けるところは自力で解くことになった。丸写しよりが良かったけどこれ以上言うと写すことさえさせてもらえなくありそうだったから止めておいた。でも俺ら馬鹿だからほとんど解けないところなんだよね?多分写しても半日はかかると思うし、明日は始業式だけど寝込んじまうよ。
とはいえ最終日となると飽き性な俺達は緊迫感を感じたのか流石に集中して数時間ほど真面目に勉強していた。多分、辻には餌で釣るよりこっちのほうが効果あるかもな。
「あー疲れたもう無理」
「そろそろ休憩しようぜ?」
「休憩って言うか止めたい……」
「まだ半分ぐらいしか終わってないでしょ?三十分休憩したら始めるからね」
「ちっ」
俺達は必死に頑張ったが結局夜までかかってしまった。途中、文句を言いまくっていたが最終的には課題もすべて終わり無事に夏休み最終日を送ることができた。
夜も暗いということで辻が携帯で使用人を呼んで車で二人を送って行ったそうだ。車はかなり高そうで数百万は軽く行きそうだったぞ?しかも使用人のテクニックが凄かった。
俺の部屋は予想通り食い散らかされたままで結局俺が片付けることになった。せめて辻は片付けてほしいな。同じ仲間として。
俺は一年分の頭を使ったかと思うくらい疲れてすぐに風呂に入って寝てしまった。
翌日。俺は朝早くから新学期の準備をして家を出た。家を出ると何故か柊が立っていた。
「……何をしているんだ?」
「何って偶然ここを通りかかったから一緒に登校しようかなーって思っただけ……」
「チャイム鳴らしてくれればよかったのに」
「だって断られたら嫌だったし」
「別に断る理由なんてないだろ?それに早くいかないと遅刻するぞ」
「う、うん!」
こうして俺達の新学期が始まった。