表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『バカ』な彼と真面目な彼女の生徒会!  作者: 丈槍 京
第二章 始まる『夏休み』
13/17

第十三話 呆れ誕生日

 合宿から帰った俺達は脱力感で数日間はゴロゴロしていた。

そんなある日。俺達のゴロゴロを遮るかのように携帯の着信音が鳴り響いた。夏休みに電話が来るなんてリア充っぽいなとか思いながら電話に出ると――

「はい、もしもし?」

「峰岸君?私だよ」

「あー柊か。何か用?」

「用ってわけじゃないんだけどもうすぐ辻の誕生日だから一緒にプレゼントを買いに行かない?」

「別にいいけど滝川先輩は?」

「用事があるから別で用意するって言っていたよ」

「それで辻の誕生日っていつ?」

「来週だよ。あと誕生日会も生徒会室でやるから絶対に出席してね!」

「了解。じゃあ柊の家に行けばいいか?」

「うん!お昼ぐらいに来てくれれば大丈夫だから!」

「おっけ。んじゃまたな」

「はーい」


 というわけで俺は柊と辻の誕生日プレゼントを買いに行くことになった。

俺ってセンス無いけど大丈夫なのだろうか。あいつのことだからゲームとかアニメ関連が喜びそうくらいはわかるけど。でも柊って馬鹿真面目だから普通の女子が喜びそうなものとか買いそうだな。でも俺の場合は普通の女子が喜びそうなものが何も浮かばん!

 そういえばこれってデートになるのか?恋愛経験ゼロの俺にはわからんが女子と二人で買い物となると少しばかり照れるな。

 そして俺はお昼になることを確認して家を出た。外はとても暑かったがいい感じにそよ風が吹き、まさにお出かけ日和だった。

柊の家には夏祭りの帰りに送って行った為、知っているが女子の家となると何度来ても緊張する。俺は柊の家に着くと一度、深呼吸をしてチャイムを押した。ドタバタと聞こえる生活音を耳にして俺は生唾を飲み込んだ。

「おまたせ、じゃあ行こうか?」

「う、うん」

白のワンピースに麦わら帽子という完璧なヒロイン姿を目にした俺はさらに緊張してしまった。でもなんか昭和アイドルっぽいよな……

「そういえば行こうってどこに行くの?」

「とりあえず駅前かな。お店沢山あるし」

 俺達は駅前行きのバスに乗った。バスの中はクーラーが効いてとても涼しくこのまま寝ちゃいたいくらいだった。しかし寝ると柊に迷惑がかかると思い、俺は柊と話して気を紛らわせることにした。

「柊はもう何をあげるかなんとなく決めたのか?」

「うーん……服とかアクセサリーでどうかしら?」

 やっぱりわかってない。辻はファッションとか可愛いらしいものに興味があるとは思えないな。いつも生徒会室でゲームの話か遊ぶ話しかしていないのに女子らしいことを話している辻なんて気持ち悪いぜ。とはいえプレゼントをもらって「いらない」なんて言うような社会性がない奴ではないから結局のところ何でもいいんだよな。

「あいつは意外に単純だから何あげても喜ぶと思うぞ。プレゼントをもらえたってことが嬉しいんだと思うし」

「そっか。じゃあ峰岸君は何をあげるか予定とかあるの?」

「うーん、とりあえず周りながら決めるかな」

「じゃあまずショッピングモールに行こうか!」


 夏休みということもありショッピングモールには家族連れやカップルが多かった。俺達もカップルと思われているのかな?みたいなラブコメ主人公が言いそうなセリフを思い浮かべながら先へと進んだ。

「まずどこから周る?」

「そうだな、あいつの趣味的にはアニメやゲーム関連のエリアじゃないか?」

「なんか子供っぽくない?」

「でも辻って子供みたいなもんだろ?」

「たしかに子供っぽいところは否定できないわね。でも峰岸君も十分子供っぽいわよ?」

 俺達はアニメやゲーム関連のエリアに来たが辻の好みが全くわからん!

ゲームって言っても種類があるし持っているのとダブる可能性があるから捨てたとして他に何がある?アニメか?でもあいつの好きなアニメとか俺、知らねーよ!

「もう見当つかないから適当でよくないか?」

「適当じゃダメよ!ちゃんと選ばないと!」

 馬鹿真面めんどくせー。適当でも何でもあげればいいんじゃないか?実際、適当にプレゼント選んだって相当酷いものじゃなきゃわからないだろ。友達からプレゼントとかもらったこと無い俺だったら適当なものでも大号泣するぞ?


 結局、俺はよくわからんキャラクターのぬいぐるみを買って柊はどっかの偽ブランドのような帽子を買っていた。

適当だけど誰が貰っても喜びそうなチョイスだからある意味いいかもな。

ふと思ったが友達が誕生日になる度にプレゼントをあげていたらいくら金があっても足りないよな?リア充ってやっぱり金を使うんだな。出かけたりプレゼントをあげたりとかで金を使わないとリアル充実しないってキャバクラとかホストと一緒じゃないか?

その点ぼっちはコスパがいいよな。自分にしか金を使わなくていいし。まぁ俺達ぐらいの距離で俺達ぐらいの人数が一番いいのかもしれない。

そして誕生日会当日。俺達は辻にメールで生徒会室に来るように呼んで、辻が生徒会室に来るまで俺達は誕生日会の準備をしていた。準備と言っても簡単な飾りつけ程度なんだけどな。

「とにかくさっさと済ませよ!」

「そういえば滝川先輩は?」

「なんかサプライズがあるから辻が来てから登場するらしいよ」

「へー。ていうかそろそろ辻が来るんじゃないか?」

「そうね。準備はだいじょうぶかしら?」

「おう!」

 数分後、辻が生徒会室の扉を開けた。

「誕生日おめでとーっ!」

「えっ?何なの?」

「今日誕生日でしょ?」

「違うけど?」

「……」

 たった四つの会話で空気が死んだ。あの馬鹿真面目は何で誕生日を間違えるんだ?どうせ根拠もなしに誕生日だと勘違いしてサプライズとか言って決行したんだろう。

「で、どういうことか説明してもらおうか?生徒会長さん」

「どういうことって辻のメールアドレスが誕生日の日付に見えたから今日かなって?」

「それってゲームキャラの誕生日なんだけど」

「どう責任を取ってもらおうか?」

「じゃあこれは夏休みのパーティってことにしない?」

「プレゼントは?」

「えーっと別荘のお礼?」

 なんかもう馬鹿真面目なら辻に確認取ってからにしろよ。辻にプレゼントを買いに行った時は適当じゃダメって俺に言ってきたのに一番適当なのは柊じゃないか。とはいえサプライズパーティにしたかったんだろうな。


「明日香ちゃん!誕生日おめでと……ってあれみんなどうしたの?」

「あ、滝川先輩。誕生日っていうのは柊の手違いでしたので……」

「えー!せっかくケーキ焼いてきたのに!」

「ホントに柊の早とちりがすみません」

 結局、俺達はよくわからないパーティで滝川先輩の手作りケーキを食べて、終わった。

プレゼントは喜んでもらえたしよかったかな。

でも今度誕生日会をやるときは絶対に柊だけには任せない!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ