第十一話 バカと海―中編
海はアニメで見るような青くきれいな海で若干テンションが上がっていた。
「峰岸君って家でいつも何しているの?」
「お兄ちゃんはゲームしているか、アニメに影響されて一人でセリフを言ったりポーズをとったりしているよ」
「なんか師匠、陰キャラっぽいー」
「お前には言われたくねーよ!別にプライベートなんだから何していたっていいだろ!」
「陰キャラって言うよりも中二病に近くない?」
「アニメ好きならセリフが言いたくなる気持ちわかると思うんだけど?」
「あー!師匠のつまらない話なんて放っておいて早く泳ごう!」
結構傷付くんですけど!俺の心は乙女より繊細なんですけど!
みんなが泳いでいる中、何故か柊は泳いでいなかった。
「おーい?柊は泳がないのか?」
「私あんまり泳ぐのは得意じゃないから……」
「でもあの時、学校のプールは入っていたじゃん」
「入っていたけど泳いでは無かったの!」
「じゃあよかったら俺が教えようか?」
「いいの?」
「もちろん!俺はぼっち故に泳ぎだけは自由時間に一人で二十五メートルプールを往復していたからな」
「何その悲しい過去。でもありがとね!教えてもらうことにする!」
俺は少し照れつつも泳ぎを教えることになった。
「まずはバタ足からだな。俺が手を握りながら後ろに下がるからついてきて」
「わ、わかった!」
柊は馬鹿真面目だけあって集中力があり一時間ほどですぐに泳げるようになった。
「峰岸君!泳げるようになったよ!」
「短時間でここまで泳げるようになるのは凄いな」
「それじゃあ一緒に泳ごっ!」
「おう!」
俺達は夕飯の時間になるまで泳いだりビーチバレーをしたりと心行くまで楽しんだ。
「そういえば夕飯は誰が作るのかしら?」
「そこは安心してくれ!私の使用人たちが用意しているからっ!」
「マジか!?お前の家ってやっぱり凄いな!!」
用意されていたのはなんとバーベキューで辻によると最高級の肉らしい。
超高級焼き肉店でしか食べられないような肉を無料で食べさせてもらえるなんて金持ちってやっぱり器が大きいのか?
「お兄ちゃん食べさせてあげるから口開けて!」
「お、そうか。あーん」
妹にお肉を食べさせてもらえるなんて最高!!リア充してるぜっ!
「次は双葉にあーんして?」
「はい!喜んで!いくらでもしてやる!」
俺が双葉とカップルのようなラブラブなことをしていると――
「ねぇ峰岸君、泳げたご褒美として私にもして欲しいな?」
俺は状況が理解できず数秒固まった。どれくらいヤバい状況かというと雑魚モンスターしかいない初期平原で経験値大量モンスターが逃げずに大量発生している感じだ。動揺しすぎてうまく説明できなかったけど。
「ほら早くあーんしてよ」
「そうだよお兄ちゃん!女の子は待っていてくれないんだよ?」
だからなんで双葉もそうやって便乗するんだよ!双葉って毎回発言が意味深すぎて怖いよ。いつも何か狙っているように聞こえる。
「まぁ食べさせるくらいなら別にいいけど……」
「あーん……!」
柊は照れつつも去って行った。ふと我に返ると顔が真っ赤になっていた。こんな経験ないから恥ずかしいんですけど?もう嫌だ。寿命が三年くらい縮んだ。
そして俺はバーベキューを楽しんで?一日目は終了した。