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私たちの日常

説明文が多いです。


あと全員の名前が平仮名の為、 名前が入るとき文章に違和感が生まれることがありましたのでその部分は" "で囲っています。




私たちは掃除用具を手に持ち、 床や壁の血の汚れを必死に落としている。


「あんたのせいよ、 ぬの」


そして私こと、 なのは全員が掃除をしなければならないほどに血を撒き散らした今回の元凶である、 "ぬの"を糾弾していた。


「だから別に自分だけでいいって言ってるじゃんか」


「駄目よ、 あんた絶対にサボるじゃない。 それで前もカーペットに匂いが染み付いて作り直す羽目になったんだから」


「それに関しては前に謝ったじゃん。 それに撒き散らしたのはなのも同じだし」


「あんたが一撃で仕留め損ねたから私が仕方なく動けないように足を切ってあげたの。 それに言い方が間違ってたわよ。 何が汚れ役よ、 汚し役でしょ」


馬鹿(ぬの)はあまり分かっていないのか、 こっちにある物は壊れても元に戻るし作り直すことだってできるけど、 向こう側から来た子が持っている物は全部そのままなのだ。 血や肉なんかも例外ではない。


大体、 元に戻ると言っても剥がれた壁が穴が空いた床が、 あくまで元の位置に戻るだけ、 それに。


「作り直すのがどれだけ大変かあんたも知ってるでしょ」


そう、 作り直すのも文字通りに布を重ねて縫って元の位置に敷く。 そうする事でこの家の一部になって"元に戻る"が働く仕組みになっている。 だから寸法も厚さも色も合わせないといけないので時間がかかるから大変なのだ。 廊下のカーペットは1枚で縦10m横4mほどだから修理に疲れもする。


「…….ま、 まあまあ2人とも。 」


「だってぬのが…………」


「だってなのが…………」


今私たちの口喧嘩を止めようとしているオドオドしているのは"にの"。 目は見えていないけど本当に見えてないのか、 と問いたくなるほど日常生活で困っている様子はない。 自分に自信がない、 典型的な感じだ。 でも私の中では一番仲がいい家族である。


「……ほ、 ほら。 掃除早く終わらせよ、 なのが寝坊したら困るよ」


「え、 自分は何も言ってくれないの」


「……ううん。 ぬのには私が見つけた時のフォローをいつもしてもらってるから。 ありがとね」


ぬのの顔は真っ赤っか。 こんな感じでにのにはいつも頭が上がらず、 後ろでまったり掃除しているのの姉さんも含め私とぬのはこの2人に弱い。


まあのの姉さんに関してはちょっと違う意味でも弱いんだけどね。 特に私は。


「そうよぉ、 2人とも喧嘩はやめとかないとぉ、 私も手を出さないといけなくなるんだからぁ」


「むー、 分かった。 やめとくよののねぇ」


「あらそう。 それは良かったわぁ。 それでぇ、 なのちゃんは」


「わ、 わ、 わ、 分かりましたっ」


私は間髪入れずに答える。


間違っても"お人形さん"の1人にだけは入れられたくないのだ。 いつも人の死体を目にしている私だが、 あれについては考えるだけでもおぞましかった。


「なんでそんなにビクついてんのさ」


「…………なんでもない」


お人形さんについては機会があれば話そうとは思う。 思い出すのもおぞましい内容だからあんまり触れたくないのが本音だが。


「それじゃあお掃除始めましょうかぁ」


もう1人、ねのもいるのだが、ご飯の時とヲニごっこをしている時以外は基本的にどこにいるのか無口であんまりわからない。 にのとは多少仲が良いようで、 にの曰く、庭にいることが多いんだそうだ。


そのせいなのか相変わらずねのは来なかった。




「あーっ、 終わった」


壁の掃除以外は腰が折れそうなほど長時間かがみこんで掃除をしていたため、かなり私たちは疲れていた。 まだ体力がありまっているからか元気そうなぬのを除いて。 まあ別に今日は特別サボって居たわけではないが、 掃除が終わって凝り固まった体をほぐすためにチェーンソーを振り回すあたり、 無駄な体力があるんだなと思わされる。


「お疲れ様、 今日は少し時間がかかっちゃったわねぇ」


「そもそも赤いカーペットなのに本当に匂いを取ること以外をする必要あったのかな」


「今更何も言わない。 終わったんだから良いじゃない。 それに何回も言うけど血はほぼあんただからね」


「も、 もうっ。2人とも喧嘩はダメだからね」


「そうよぉ。 今日はもう寝ましょう?さっきにのちゃんも言ってたけどなのちゃんが寝坊すると困るんだから……ねぇ?」


「は、 はひ」


自室へと避難した。


さっきから言っていた私が寝坊すると困ると言うのは朝、 夜を全て含めたご飯を毎日用意しているのが私だからだ。


にのは目が見えない状態でできるとは言うけど万が一怪我したら危ないし、 ぬのは言わずもがな。 ねのはできるのか分からない上に"のの"姉さんはその…………よく料理下手な人が作ったものに名付けるいわば暗黒物質(ダークマター)を作る。 前は鍋が溶け、 コンロがその溶けた金属(なべ)で固まり全く使えなくなって泣きそうになったのを今でも覚えている。


…………あ、 そろそろ寝ないと。


そして一日を終え、 私はいつも決まってこう振り返るのだ。


「…………今日のヲニごっこも楽しかったな」


私たちは狂っている。


自覚はもちろんないし、 それかむしろ私たちの普通な日常なのだ。




私が目覚めるのは朝の7時半。


9時に食べる朝ごはんの用意の時間だ。


早いと思うかもしれない。 確かに1人だけなら8時半でもいいのだが、 5人もいるとなると量が大変だし、 私は"ぬの"のように力持ちではないので材料を揃えたりするのに時間がかかる。 材料は外にある倉庫の中に入っていて、ここの事情もあって尽きることはなく腐りもしない。


「倉庫の位置はどうにかならないのかな…………」


ちなみにどれだけ願っても倉庫の位置は変わらないのであった。


だって家より広いから。


「つ、 疲れた」


カートがあるので押しては来れるし、 何往復もしなくて済むけど意外とあれは大荷物だと押すのも疲れてくる。


時間的に余裕はないのでそのまま休む暇もなく私は調理を始めた。 食べなくてもいいように空腹もないし、そういう風にできているのに、 味の好き嫌いはかなり激しい。 なので私はいちいち作り分けたりしなければならないことが基本だ。 何せ好みが5人とも被っているものは塩おにぎりだけなので、 それを毎日用意するのは何とも言えない。


キッチンに唯一あるほんの小さな冷蔵庫にレトルトというものもあるのだが、 一度みんなに用意したらねのだけ一切口にせず、 無言で私の顔をじっと見つめてくるので、 私の手抜き料理は泣く泣くやめることとなった。


「あ、 おはよう。 なの」


「うん、 おはよう。 にの」


8時。 今日は少し早いがにのも大体この時間に起きてくる。 庭で水やりをする為だ。 時間というものはもちろん存在するので元々無かった庭にある花や植物はある程度手入れをしなければならない。 その担当をにのがやっているというわけである。


その後、 黙々と作り続けて完成するのは朝ごはん10分前。ただ完成してもまだ少しやることが私にはある。


それは。


「起きなさい、ぬの」


朝ごはんの時間に間に合わない"ぬの"を起こすことだ。


私たちの決まりごととして朝ごはんは9時からみんなで食べるということにしているのだが、 基本的にぬのもそうだがのの姉さんも時間通りに来たことはない。


……………………。


ドアの向こう側は音一つなく静まり返っているようだった。


「あー、もうっ」


ぬののドアにだけ、下にわざと1cmほどの隙間を空けてある。それはというとある物を投げ入れるため。


向こう側で見つけた。所謂、爆竹というやつだ。 私はそれにぬのを起こす用のマッチで火をつけ、下に放り込んでやった。


そして少し経つと部屋の中でパンッパンッと何度も炸裂音が鳴り響きはじめた。 ドアの向こう側にいる私でさえこの騒音なのだ。 ぬのはたまったものではないだろう。


「わっひゃあ」


ぬのが飛び起きた時のなんとも情けないが爆竹の炸裂音に紛れて聞こえてくる。


「8時50分には起きる気がないならあんたの部屋の鍵無くすわよ」


「もちろんダメだし、また絨毯焦げたじゃんか。 これで穴、 何個めだと思ってんのさ」


「どう考えてもあんたが悪い。 さっさとやることやってこっち来なさい」


「はいはーい」


流石の"ぬの"も朝の遅起きに関しては自分に非があるのを認めているのかいつもの口喧嘩は起きない。


その近く草をなくす気はさらさらないようだが。


そしてあの炸裂音で目が完全に覚め切らない人がいるのかどうかが疑わしいけど、 二度寝はしないのでその辺は安心だ。


次に私は最も行きたくない"のの"姉さんの部屋に向かった。


「の、 のの姉さーん。 朝ごはんできたからやることやったらこっちに来てね。」


のの姉さんの部屋にも鍵はあるものの、 かかっていることは滅多にない。私はそのせいで地獄を見たのだ。 昨日も少し話した"お人形さん"の山を。


「あらぁ、 もうこんな時間だったのね。 今行くわぁ」


「う、うん」


私は流れるようにさっとキッチンに戻った。




「いただきます」


朝食はみんなでゆっくり食べる。


話題はわりと尽きることがない。向こう側へ行った時の話がほとんど。


そして少し前から言っている向こう側というのはもちろん現実、 というか私たちからすれば本当はこっちが現実なのだが、 一応私たちの中では(こっち)現実(むこう)の世界で分けている。


自分たちの真実(こと)をよく知っているが故に。


現実から夢に行き来するには昨日来た子、 つまり現実の人は儀式が必要になる。でも夢に住む私たちは現実への行き来に儀式を必要としない。なので私たちは楽ということもあって、 向こう側に行ったりして楽しみつつも(こっち)の世界で生成するモノのアイデアを探しに行ったりしている。


つまりのところ、 わりと(こっち)は融通が利いてしまうのだ。


そして話は戻って朝食。


「ぬの、 あんた残さず食べなさいよ」


普段はしないが昨日の掃除のぶんの仕返しのつもりで嫌いな食べ物を入れてやった。


「…………自分が嫌いってわかっててこんなの入れるとか"なの"は意地悪だと思う」


ぬのはお皿の上で嫌いなものだけ上手に避けながら他の物を口へと運んでいた。


「へぇー、 ならぬののご飯は今日からいらないかしら?」


トドメを刺そうとした時だった。


「私もご飯用意されなくなったら嫌だからあんまり言わないけどぉ、 あんまりいじめちゃだめよぉ」


「ほ、 ほどほどにします」


…………のの姉さんに言われてしまえば私は謝るしかない。 そこまで怒られているわけではないのだろうが、 私からすれば怒られているのとそう変わらなかった。


「わーい、 ざまを見ろ」


人が言い返そうにも言い返せないことを良いことに……本当に腹がたつやつだった。 私はワナワナと机の下に垂れ下がっている拳を全力で握りしめた。


「ぬのちゃんもそこで調子に乗るのは悪い癖よぉ」


ふ、 逆にざまを見なさい。 と私は心の中で呟いた。


ただ、 ぬのはお人形さんを知らないから特に怖がりもしないのだろうし、 いつも通りに返答することは分かっている。


「はーい、 ごめんなさい」


仕返しは恐怖に変わって私にだけ返ってきたので後悔することになったのだった。




「ごちそうさまでした」


朝ごはんの食器は食器洗浄機というものがあるのでそこに入れるだけ。 そして朝ごはんが終わればバラバラになり、 それぞれ思い思いの事をする。


ちなみにねのは相変わらずどこで何をしているのか分からないけど、 私は向こうにあったゲームとか後は外で遊んで見たりする。 もちろん一人で。 にのは庭眺めたり新しいのを育ててみたりと割と飽きなさそうだし、 ぬのとのの姉さんは自室にいることが多い。


お昼ご飯は食べないので夜までのんびりだ。 つまりのところ私はかなり暇なのだ。


なぜかというと今日が日曜日だから。 ということもある。


自由に行くことはもちろんできるが方向音痴(ののねえさん)馬鹿(ぬの)など困ったメンバーが一部いるので、 向こうに行けるのは月曜日から金曜日の5日間。 それを二人一組の交代制だと決めているので、出ようにも出れない。 だからといって勝手に行き来となると人数把握ができなくなるし、 ためしたことはないけど、こっちに誰もいないとなると困るものがあるような気がする。


さて今日はどうしようかな、 と思っていたその時だった。


「おーい、 なの」


「いきなり何よ…………」


後ろからぬのの声がかかり振り向いた瞬間、いつの間に近づいていたのだろうか、私の頭上には絶賛起動中のチェーンソーが振り下ろされようとしていた。 私はとっさに前に突っ込み、 自慢の脚力で難を逃れる。


「これはどういうつもりかしら」


「仕返し」


ぬのは微笑を浮かべながらそう返答してきた。 ちなみに今までのことから分かるかもしれないが、 私たちも元に戻る対象。 つまり死ぬことがない。


ヲニごっこという遊びが私たちであると言えるので、 それが現実の人の記憶から失われたのなら遊びである存在意義を無くすのだろうし、 それは死とも言えるのかもしれないけれど、 逆に言えば記憶から消えない限り私たちに死はない。


まあぬのなら例え私が死ぬとしても振り下ろしてきそうだ。 だけどそれは私も同じであり、 それが私たちの関係だ。


「へえ、 上等じゃない」


そして私はナイフを抜いたのだが……。


「ふふふ、 自分にはずっと試したかった技があったのさ」


「あ、 あんたがどれだけ力が強くてもそれは卑怯でしょ…………」


どこから取り出したのか、 ぬのはチェーンソーを2つ稼働させ、 右腕左腕でそれぞれを握っていた。


「でもまあ、 今日はいい戦いになりそうね」


ただ、 基本的には私の方が勝つ。 いくらぬのが力持ちでもチェーンソーを振り下ろす速さが私の速さに追いつくことない。


「どうせ先に動くのは自分じゃないんだから、 いつでも来ていいよ」


「ふん、 後悔するんじゃないわよ」


私は颯爽(さっそう)と走り出す。 あまり目線などで走る先を見抜かれたくないからだ。


「そこだ」


だが。


「え」


なんと今回の勝負は一瞬で決着がついてしまった。 最初は直接じゃなく、 ぬのの周りを走って錯乱させようと思っていたら……。


私の目の前にあったのは放り投げられたチェーンソーだった。




「あんたどんだけ馬鹿力なのよ」


「ふっふーん。 多分、 直接切るんじゃなくて投げた方が良いかなと思って、 いつも走る方向に投げたらどんぴしゃりじゃん。 さすが息ぴったりだね、 自分たち」


「ぐっ、 その嫌味腹が立つわね………」


とは言えど今日はさすがに完敗だった。 顔から突っ込んだので頭が半分ほどに分かれるなることにはなったが、 どうせ戻るので問題はない。


「これから投げるのも良いかもね」


「それはやめときなさい。多分鬼ごっこじゃなくて別の遊びになっちゃう気がするわ」


想像するだけでただの的当てにしか見えないし、 そもそも見つけてから追いかけてすらない。


「あ、そっか確かにそうなるか」


「相変わらずの馬鹿さね。 まあいいわ、 次は絶対負けないから」


「じゃあ自分の部屋の整理しといてね」


まあ簡単にいえばただの罰ゲームだ。 私は渋々ぬのの汚い部屋の中とボロボロの床を整理、修理しに行こうとした時だった。


「分かってる……わ…………よ」


私は見てしまった。 そして見てはいけないものだとすぐに悟った。 それはなんだかこう、 オーラというものが凄まじい…………にのだった。


「……なの、 ……ぬの。 何してるの」


「ええっと、 これはほら自分のせいじゃないよ。 なのが言ってきたからしょうがなく」


ぬのが私に罪をなすりつけて説教から逃げようとしていた。


「ちょ、 ちょっと。 どう考えてもあんたから喧嘩売ってきたんでしょうが」


それに反抗したが。


「……正座。 そこに正座」


「は、 はい」


「ううっ、 はい」


今朝の"のの姉さん"から引き続き、 にのによる本日2度目のお叱りだった。


ここの庭含めた館全域の状況をいつでも把握できる"にの"にとっては私たちの喧嘩を見つけることは容易い。 いつもは聞き流していたのだろうが今回は近かったのか何か理由があったのか直接来られてしまったようだ。


「……チェーンソーの駆動音が聞こえてきたから見にきてみれば、またやってたの」


「いや、でも」


「……なに、どうかしたの"ぬの"」


「イエ、ナンデモナイデス」


なんと言うかまたののとは違って怒気が凄まじかった。


「……大体、たかが喧嘩ごときでチェーンソーを持ち出し、頭を割って勝ち誇る家族が何処にいるの」


馬鹿(ぬの)が火に油を注ぐ。


「こ、 此処にいるかと」


「……触ってあげようか、ぬの」


「スイマセン」


固まった真顔でぬのは答えた。


「……大体なのもぬのも喧嘩しすぎだよ。 多い日は週に半分以上やってるし、 その度に私には血が飛び散る音を聞かないと行けないんだよ」


「耳を塞げばいいんじゃ…………」


適当に謝ってはまたすぐ軽口ばかり叩くぬのをにのが触った。


「うぎゃあああ、 左足があああ」


「……1回目は左足だね。 次は何処になるかな、 両の足が動かなくなるまで試してみよっか」


「ご、 ごめんなさいいい」


私は黙っているしかなかった。


「あうう、 助けて。なの」


「流石に自業自得すぎじゃない。 それに私じゃ元に戻せないし」


ぬのの四肢は完全に動かなくなってしまっていた。 連帯責任で私はずっと正座させられるだけで済んでいるが、 ぬのは夜までほったらかしなのでつまり私も夜までほったらかし、 ということらしかった。


ぬのが黙って聞いていれば夕方には二人とも正座だけで解放されたのだろうが、 ぬのはああ言えばこう言う節があるのでたまの怒られるたびにこうなっている。 学ぼうとしないのだろうか。 ここで文句を言えばにのに聞こえるので文句は言わないが。


「私の足も別の意味で感覚なくなってきたけどね」


夜まではもう少し時間があるようだった。




「この足で料理は結構きついわね…………」


にののお怒りが収まって立ち上がった私の足は生まれたて子鹿のようになっていた。 ぬのには元に戻るだけなので後遺症なんてものはないのかもしれないが正座には痺れがあり、かすり傷などと同様、戻るの基準が低すぎるのか適用されない。


「なのちゃん手伝いましょうかぁ」


「え、 あ、大丈夫。 のの姉さんは座ってて」


「はーい」


手伝って欲しいのは山々だが、 何としてでものの姉さんには手伝ってもらうわけにはいかなかった。


無論、 晩御飯がただの罰ゲームと化してしまうから。


「ご、 ごめん。 流石に今日はあんまり手の凝ったものは作れなかったわ」


「……いや、 僕は二人にやりすぎたかなって反省してるところだから気にしないよ」


「別に私も気にしないわよぉ」


「今回は自分のせいでもあるし、 自分も気にしてない…………」


ねのは黙って頷いていた。


「なら良かったわ……。 さっさと食べ切っちゃいましょ。 今日ちょっと遅めになっちゃったし」


晩御飯を食べると私たちはヲニごっこに向けて準備をする。 今日誰かがこちらに来るのかは分からないが鶏鳴(けいめい)までには玄関で服などを着替えて集まらなければならない。


「さて、 今日はどんな人が来るのかしらね」


「自分は切り刻みがいのある人なら誰でもいいや。 まあ、 大人の方がいいかな大きいし筋肉あるし」


「……僕も暴力振るわれないなら基本は誰でも。 痛いのは好きじゃないから」


「…………特にない」


「うーん、 お人形のしがいがある人ならどんな人でも大歓迎よぉ」


各々が物騒だと思う。


ただ。 私も誰も不思議がらない。


ヲニごっこは私たちの楽しみであり、 存在意義であり、仕事と言えることでもある。私たちが正常で周りがおかしい。どんなに現実で大勢の人を見渡してもそれだけは変わらないだろう。


しかし、 それが私たちの日常なのだ。 あくまで他のものは単なるオマケでしかない。


ただ毎回ヲニごっこの話をしても逃げ回れる人はほとんどいなくて、 始まってから終わる時間も一瞬だ。 それに遊びの中身が中身だから聞いてて面白くも楽しくないだろう。だから…………






普段とはちょっぴり変わった日常(オマケ)の話を聞いてもらおうかなと思う。






なんとか日常編を書き終えました。

この小説の中の本題であるオマケの話は次の話から書いて行こうと思います。

違和感があれば修正箇所の指摘をしていただければ幸いです。


余談ですがこれから毎話ごとの最後の部分に小ネタの短いお話を書こうと思っています。 彼女たちに対しての質問がもしあれば書いていただくとその質問を小ネタの中で彼女たちに返答させたいと思います。( ※基準の分かれるところではございますが直接的な設定への質問は普通に返信させていただきます。)

例えばの質問ですと「○○の好きな食べ物は?」とかこんな感じだと大丈夫です。


長々とすみません。

ではまた。

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