桜の約束
わたしとゆいちゃんはなかよし。
おべんきょうもいっしょにして、かいものもいっしょにいきます。だって、わたしたちはおとなりさんどうし。だから、いつもなかよし。
おままごとに、すべりだい。ブランコも。いつもいっしょ。
ゆいちゃんとはずっと仲良し。小さい頃から一緒でした。お互いの家が近い事もありましたが、私たちは趣味や好きな事も一緒だった事が大きいと思います。歌を歌うのが好きで、部活動も一緒でした。
でも、いつまでも一緒ではありませんでした。
好きなものは一緒でも、将来の夢は違います。どうしても、そこは違いました。だから、ゆいちゃんとは違う高校に通う事になります。クラスメイトも何人かは一緒ですが、全員とはいきません。そして、その先、大学に進むことがあれば昔から知っている人はさらに少なくなるでしょう。
悲しい事でした。
ゆいちゃんとはいつも一緒だったので、それが1人になってしまうのは寂しい事でした。ゆいちゃんも寂しいと言っていました。
私たちは親友です。それだけは変わらない、そうしようと約束しました。
そして、卒業式。
ゆいちゃんと下校するのはこれで最後です。
青く澄み渡った空の下。蕾をつけている桜の木の下にやってきました。この桜は帰り道に咲いている桜です。毎年ゆいちゃんと見に来ています。
「卒業式には間に合わなかったね」
「うん」
「高校離れちゃって、引っ越すことにもなって、寂しいけど、私、頑張るね」
「うん」
晴れている青空が少し、憎らしく思いました。
こんなに寂しい気持ちなのに、泣きたくても泣けないのです。
「ねぇ、ゆいちゃん。約束しない?」
ひらひらと舞い落ちる、薄ピンク色の花弁は道にも空にも花を咲かせていました。たった一枚でも綺麗なその桜はもう何回咲いているのかわかりません。
「久しぶり!」
手を振って歩いてきたゆいちゃんはあの頃の面影を残してはいましたが、随分、大人に見えます。それを本人に告げると、ゆいちゃんは笑いました。
「何言っているの? もう、大人でしょ?」
これから、ゆいちゃんのお話を聞こうと思います。もちろん私の事も。
離れても、いつか会える。その思いは、お互いずっと一緒だったようです。
桜の約束
>Do you like Pink?
お別れと出会いの季節ですね。
私、桜の写真結構撮りました。道を歩いているときに見つけるとついつい撮りたくなってしまいます。
2015/4 秋桜空