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1.事件発生

生徒が死んだ。

それでも世界は、学校は、回るというのか。

新任教師である桜田新太は何か違和感のようなものを抱かずにはいられなかった。

高校・大学も第一志望の学校に現役合格し、大学卒業後は、すぐにこの私立名門高校で働き始めた。

いわゆる挫折知らずの桜田は、可愛らしい容姿と165cmという親しみやすい身長から、生徒に「ももちゃん」と呼ばれて人気を博している。

もちろん桜田は、可愛いよりもかっこいいと言われたい側の人間なのだが、その夢は四月早々に儚く散った。

それでも人懐こい生徒たちに囲まれ、桜田は忙しくも充実した教師生活を送っていた。

そこで、事件は起きた。

今朝、屋上で生徒が死体で発見された。

そう、今朝だ。

だが、学校では何事もなかったかのように授業が始まり、生徒たちもいつも通りの雑談に勤しんでいる。二限目である。

「おいおい、ウチの生徒が死んだんだろ…なんだってんだ」

桜田は頭を抱え、英語科準備室のイスをくるくると動かした。