転校生は痛い子だった
今回も少し長めです。ゆっくり楽しんでいってください!
俺は、彼女に言われた言葉の意味が、最初は全くといっていいほどよく分からなかった。
その状況をなんとかしようとし、痛む頭で彼女が言った言葉を何度も繰り返し考え、言葉の本質を捉えようとした。
やがてその作業が終わり、俺は真っ先に思い付いた言葉を彼女にぶつけた。
「誰が宇宙人だ!!」
頭痛のためかそこまで大きな声を出せなかったが、威圧するには充分な声だったはずだ。
「俺は宇宙人なんかじゃねえ!。地球で生まれた、れっきとした地球人だ!」
俺は、彼女が何かしらの反応をとる前にさらに、そう言葉を続けた。
「…それは違うわ」
だが、彼女は、俺が言葉を言い終わった後、直ぐ様否定した。
――――ズキンッ!―――――
「……ッ!。なんで……そんなことが言える…!」
俺は突然頭痛が酷くなったため、言葉が弱々しくなりながらも何とかそう言いきった。
「私は……いえ、私達は探しに来たのよ。…… 表の世界に行った、同業者をね」
彼女は、静かにそう言った。
表の世界?。同業者?。
何やら痛い香りのする言葉を話す彼女を見て、只でさえ痛い頭痛がより一層酷くなるのを俺は感じた。
「いったい…お前は何者なんだ?」
そのような状況で、俺の口から咄嗟に出た言葉がそれだった。
「…それを語るには、まず私達の世界で伝えられている昔話をあなたに伝えなきゃいけないわね…」
私達の世界という、また痛い単語を言い放った彼女を見て、さらに頭痛が悪化した俺を他所に、彼女はさらに続けた。
「準備はいい?…水野君。……いや」
「火野純哉君」
(…何故だろう。頭痛のせいでよく聞き取れなかったが、今、名前を間違えられたような…?)
戸惑う俺を他所に、彼女は静かに話し始めた。
一昔も二昔も前の事。 あるところに"神"と呼ばれる者が居た。
神は優秀であり、尚且つ強力な力を持っていたが、その力を争いには使おうとは決してせず、平和を愛した。
また神は賢く、さらに物事の先を見据える不思議な目を持っていた。
その目を持っていたためか、神は来るべき脅威に備え、自身の力を二分し、半分は神の物。そしてもう半分をさらに三分し、それぞれ「炎」、「水」、「草」という3つの"属性"と呼ばれるものに分けた。
さらにその三分した力を、神に寄り添っていた3匹の動物達に分け与えたのだ。
その神の力を得た動物達を、「神の僕」という意味を込め、人々は神の魔物達と呼び、崇めた。
神の消滅後、3匹で固まって生活していたゴッドモンスターは、住んでいた住居を離れ、それぞれ3つの星へと移住していった。
ゴッドモンスターが移転していった星を、魔物達の力になぞらえ、「炎の星」、「水の星」、「雷の星」と人々は名付け、それぞれへと住み始めた。
―――――――――――――
「そして、私はその中の1つ。"炎の星"を脅威から守る仕事をしているの」
「人々は私達みたいな仕事をしている人を、戦う者という意味を込め、兵士と名付けたわ」
―――ズキンッ!―――
「……ッ!!」
彼女の話が終わった瞬間、まるで時計が時を刻むが如く、丁度よく頭痛が強まった。
「どう?何か思い出した?」
頭を抑え、苦しそうにしている俺を眺めながら彼女はそう言った。
「………られっかよ」
「……え?」
「信じられっかよって言ったんだよ!!」
頭痛を振り切るように俺はそう言った。
ソルジャーだが、炎の星だがわからねえけど、何言ってるか全然わからねえんだよ!。…それに、さっきから頭痛が酷くなってきてお前の痛い話を聞く気にもならねえ…!」
俺は、ここに連れられて来てから今までの不満を全てぶつけるようにそう続けた。
「……なら、その頭痛を無くしたら聞けるようになるかしら?」
彼女は俺の言葉を聞き、少し考えた後、何かを思い付いたようにそう言った。
「……それはいったいどういう…」
「じっとして」
転校生は俺に最後までいう権利すら与えずに、俺の額の部分に人差し指と中指を当て、ブツブツと何かを呟き始めた。
「…いったい何をしているんだ?」
俺は彼女に質問したが、彼女はその返事を動作で示したのか、突然俺の額に当てた二つの指に力を込めた。
……その次の瞬間、普通ではあり得ないことが起きてしまった。
「………な…?」
先程まで猛威を振るっていた頭痛が、今ではまるで無かったかのように消え去っていたのだ。
「どう?ソルジャーの中には私みたいに治癒が出来る者もいるのよ。…まあ、今のはあくまでも一時的な治療だけど…」
「………」
自慢げに微笑む転校生を他所に、俺は、渡り廊下を渡り始めた。
「え、いやどこに行くのよ?」
俺の行動に戸惑っている様子の彼女に対し、俺は振り向き様にこう言った。
「教室に行くんだよ。早く戻らねえと皆心配するんでな」
さらに俺はこう続けた。
「神原レンだっけ?。確かにあんたは只の痛い女子高生じゃなさそうだ。…でも、それは俺があんたらの同業者っていう根拠にはなっていない。それに、俺には地球の"水野丈"っていう名前があって、さっきいってたよくわからん名前じゃねえんだ。…ただ、治療してくれたことは礼を言う。ありがとな」
長い言葉を言い終えた俺は、また前を向きなおし、再び渡り廊下を渡り始めた。
教室の近くまで来た俺は、先程までの体験を正常になった頭で思い浮かべていた。
彼女にああは言ったものの、実のところは「彼女が言ったことは全く出鱈目で、俺は普通の人間だ」という点をどうもそう気楽に信じて良いとは思わなかった。
逆に、俺が普通の人間であると証明することは、何か口に出すことが難しいが、いわゆる感覚的な話で無理であると思っていたのだ。
だが、口に出せないということは、その理由が存在のしないことかもしれなく、実際は……。
(……考えても無駄だろう)
俺は考えるのはそこまでにし、今まで考えていたことを全て溜め息にして外にへと放出した。
いつもの"水野丈"に戻った俺は、教室の扉を開け、中へと入っていった。
「先生、休んだら頭の痛みが引いていっ……」
俺は自分の体の状況を上手く説明しようと口を開いたが、あるものに視線が行き、途中で口の動きは止まってしまった。
「ん?戻ったか丈。そんなところで突っ立ってないで早く席に座れ」
「あ、えっと……分かりました」
教師にそう促され、俺は皆の視線を浴びながら問題の席へと向かう。
「大丈夫だった?」
席に着く瞬間、一人の女子生徒からそう声をかけられた。
だが、その声をかけた人物は、先程まで俺の後ろで立っていたはずの転校生だったのだ。
いつの間に?どうやって移動したのか?
それらを問いただしたかったのだが、生憎そんな状況ではなかったため、やむを得ずそのまま勉強を再開した。
その後も何度か転校生に話しかけられる事はあったのだが、内容は先程のようなぶっ飛んだ話ではなく、只の世間話や勉学の事だけであった。
転校生が入り込んでも何ら日常は変わらず、いつもの光景に戻ったことに対して、俺は少しの安心感を得ていた。
さらに俺は、先程の転校生がぶっ飛んだ話をしてきたことは幻覚で、本当は起きていないことだったのではないかと思う始末だった。
しかし。非日常的な光景はこれで終わりではない。いや、むしろこれからが本番だったのだ………。
「………キキキキ、アのニンげン。うマソう…」
ご視聴ありがとうございました!次回はなんと戦闘です!!