転校生暴走中
どうもです!。お楽しみください!
授業が始まり、教室内はチョークで文字を書く音と、教師が話す声しか聞こえなくなるほど静かな雰囲気に包まれていた。
現代国語が苦手だった俺は、黒板に書いてあることがよくわからず、この静かであることも重なり、半分ボーッと。半分ウトウトしながら黒板を見ていた。
そんな俺だったが、突然何処から視線を感じ、おもむろに右を見た。
すると、どうしたことだろうか。転校生がじっと俺の目を見つめていたのだ。
最初は外の景色を見ているのかとも思ったが、窓からは興味を引くようなものはなく、確認のため、もう一度彼女を見てもやはり視線は俺からは動いていなかった。
「……なにか俺の顔に付いているか?」
俺は転校生にそう囁いた。
「……………」
しかし、転校生はまるで俺の言葉が聞こえていないかのような様子で返事をせず、じっとこちらを見つめたまま動かなかった。
仕方なく、今度は少し声を大きくしようとした、その時であった。
――――ズキンッ!!――――
「……ッ!!」
突然、今まで起きていなかったはずの頭痛が今になって起きたのだ。
今までで、少なくとも俺が覚えているなかでは授業中に原因不明の頭痛が起きたことはなく、また悶絶するほどの痛みでもなかった。
いつもよりも激しい痛みに俺は、机に突っ伏し、頭痛が治まるまで待ったが、頭痛は治まるどころかむしろ悪化の傾向を辿っていった。
いつもならば時間が経てば治まるはずの頭痛が 、今はいつもの倍近くの痛みとなっていたのだ。
その痛みに耐えきれなくなった俺は、教師に助けを求めた。
「…先生、頭が…痛いんで…保健室行ってきていいですか?」
俺は、自分でもびっくりするほどの弱々しい声を教室に漏らした。
その様子にただ事ではないと思ったのか、教室内の生徒が、一斉に俺を見つめる。
「うーん、少しまずそうだな。誰か丈を保健室まで連れていってくれる生徒はいないか?」
教師がそう呼び掛けると、何人かの男子生徒が手を挙げようとしていた。
………が、しかし。
「私が行きます」
一人の女子生徒が、その男子らよりもいち早くに手を挙げた。
「………え?」
だが、俺を含めた教室内に居た者は、その手を挙げた女子生徒をみて、思わず戸惑いの声をあげた。
なんと手を挙げた人物は、今日転校してきたばかりの転校生だったのだ。
「き、君は確か今日転校してきたばかりだけど、場所は分かるのかい?」
手を挙げた転校生を見て、現代国語の教師は戸惑いながら、教室内にいる者達の心のなかを代弁するかのようにそう言った。
「大丈夫です!。何度もこの学校の地図をみて覚えたので!」
転校生は教師の言葉を跳ね返すような笑顔でそう言った。
「し、しかし…。体格差というものがだね…」
「大丈夫です!。こう見えても力には自信があるんです!」
「…………」
ああ言えばこう言う。転校生の頑固な態度に教師は戸惑ってしまった。
「そ、そこまで言うのなら…。神原さんにお願いするよ」
「分かりました!!」
現代国語教師の弱々しい声とは対照的に、元気な声で返事をした転校生は、俺の腕を強引にその細い首に回し、フラフラとしながら俺と共に教室を出た。
さて、一階にある保健室に行くためにはまず、俺が教室へと来るときに使った、中央部にある階段を使うのが一番早い。
そういうわけで、俺と転校生は中央部にある階段を下りていく………。
ことはしなかった。
「ちょ……こっちじゃねえよ?」
俺の言葉を無視し、転校生は一階にいく階段とはまるで逆方向の、特別棟へと繋がる渡り廊下を渡り始めた。
「だから、こっちじゃないって…!」
痛む頭に耐えながら、何度もその旨を伝えると、渡り廊下を渡り終えた辺りでようやく伝わったのか足が止まった。
(ようやく正規のルートを通れる……)
俺はそう思った。
「……この辺りで大丈夫ね」
「……え?」
だが、現実はそう甘くはなかった。
――――ドン!――――
少し間を置き、突然転校生は担いでいた俺を渡り廊下の壁の部分へと押したのだ。
「な、なにしやがる…!」
これが俗にいう「壁ドン」というやつなのだろうか。
ただ、状況が状況なだけなのかもしれないが、こんな状況に萌える女子とは気が合いそうにはないと心からそう思った。
萌えるどころか、頭痛で頭が燃えそうだった。
そんななか、転校生は静かに話し始めた。
「………さっきの様子でやっとわかったわ」
転校生は、俺の反応を待たぬまま、とんでもないことを俺に言い放った。
「あなた。この星の出身じゃないわね?」
……………………………………………………………………………………………はい?
その言葉に、俺は戸惑うことしか出来なかった。
ご視聴ありがとうございました♪次回もお楽しみください!