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詰みゲー!  作者: 甲斐柄ほたて
第四章 月、地平に沈む
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4-6 兄

†††4-6


「おっ、おかえり!みんなー!ミリアちゃんが帰ったぞー!」

「ホントかー!」

「おかえり!」

「キティもごくろうさま!」

「おい、隣のちんちくりんは何だ?」

「ミリアちゃんのいい人でないのかい?」

「まだ早ええよ、ミリアちゃんにゃあ」

「いや、そんなこともあるまいよ。これでも立派な・・・・・・」

「そうだな、ちょっと見ないうちに立派な・・・・・・」

「やかましいッ!!!」


段々と下世話になっていった出迎えの声をミリアちゃんが一喝して黙らせた。


「何よ、ぐちゃぐちゃと失礼なこと言ってくれちゃって。誰が言ったのよ、そこに並びなさい。右から順に首を引っこ抜いてくれるわ!」

「お、落ち着けよミリアちゃん」

「ああ!?あんたのも引っこ抜いてやろうか!?」


ジョンにはミリアちゃんの口から炎がメラメラと吐き出されているかのように錯覚した。

もしかしたら魔法で本当に出していたのかもしれない。


「で、どいつなのよォォォォ!!!!」

「おや、帰ったのか、ミリア。相変わらず元気そうじゃないか」

「ああ、兄さん。ただいま」


それまで口から怒りの炎を吹き出していたミリアちゃんの怒気は階段から下りてきた男の出迎えの言葉でかき消えた。


「兄さん、今から団員を二、三人ほど殉職させるけどいいよね?」


・・・・・・そんなこともなかった。

ミリアは二階から階段で下りてきた男にいつも通りの口調で返事をしたが、それがかえって周囲に恐怖を与えた。


「いいよ」

「やった♪」

「いいの!?」

「はっはっは、ウソだよ。ミリア、その辺でカンベンしてやりな」


ミリアに兄さんと呼ばれた男はつかつかと落ち着いた足取りでこちらに近づいてきた。ミリアと同じ金髪に蒼い瞳。肩ほどまでの長さの髪を後ろで束ねている。服は和服に近い。上は黒の内着に藍で袖の大きな羽織物。下は藍色の袴であり、上下とも重い印象を受けた。ちなみに顔はイケメンだ。


・・・・・・顔はイケメンだ。


大事なことである。。

そのイケメンが近づいてきてジョンに軽くお辞儀をした。慌ててジョンもお辞儀を返す。


「君がサッキー・ジョンか。ミリアから聞いてるよ。俺はベンジャミン・ワッフルワインだ。よろしく。ベンって呼んでくれ」


ベンジャミンが手を差し出す。握手を求めている、ということはジョンにも理解できたが、その前に一つどうしても言わなければならないことがあった。


「あ、あの、ベン・・・・・・」

「ん?なんだい?」

「俺、ホントは坂井翔太って言うんだけど・・・・・・」


ジョン(翔太)がおずおずとそう告げると、ベンは真剣な表情で発音を試み始めた。


「ショ、ショウ、ション、ショウ・・・・・・」


そのときベンは何かを閃いたように手をぽん、と叩いた。

まさに神が与えたもうたチャンス。

初めて他人が自分の名前を正しく覚えようとしてくれている。

頭上で電球がぴかっと光り、海辺で木の棒を掲げれば海も割れる、こっそりと誰かの悪口を言えば後ろに当の本人が立っている。そんな圧倒的な幸運が巡ってきていることをジョン(翔太)は直感した。


くわっと目を見開いてベンは宣言した。


「ジョナサン・S・キッカー!!!」

「ちがうわ、ボケ!!首ねっこ引っこ抜くぞ!!!」


†††

主人公の名前が決まんねえ。

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