4-3 貸し
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応接間の位置を教えてもらい、青いマントを羽織った少年は無事に目的の部屋にたどりついた。
応接間の入り口にいた兵に会釈をしつつ、コンコンコン、と三回ノックした。すると中から、はい、という少女の声が聞こえた。
「失礼します・・・・・・っと。お待たせ」
少年は中にいた黒づくめの少女に声をかけた。
およそ腰まで伸びる金の長髪に全身を覆う黒いローブ。左耳に光る月形のイヤリングに蒼い目。
「まったくよ。どんだけ待たせるのよ」
少女は組んでいた足を解き、机の上から黒のとんがり帽と椅子に立てかけていた杖を取って立ち上がると、
「これは貸しよ」
と言って少年の脇をすり抜け部屋を出た。
<これは貸しだよ、ジョン!>
そして黒猫がどこから飛んできたのか、少年の顔に取り付いた。
「ふぬっ!はへろ、ひひぃ!」
<なんだい、ジョン。よく聞こえないよ>
ジョンと呼ばれた少年は顔から黒猫を引きはがした。
「やめろって言ったんだよ。あと俺はショウタだ。いい加減覚えろ」
<ふーん>
気のない返事をして黒猫はジョンの手元から逃れると、先に部屋を出た少女を追いかけていった。
<置いてくよー>
「へいへい・・・・・・。今行くよ」
ジョンはため息をついて少女と黒猫の後を追った。
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