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3-38 VS赤服⑥ 槍
†††3-38
赤服がグッ、と拳を握る。
その威力はついさっき身を以て経験済みだ。
「お嬢様逃げて下さい!時間稼ぎしますから!」
手を出してお嬢様に逃げるよう合図する。
「嫌よそんなの」
しかし、お嬢様は私の手をすり抜けてひょいっと更に前へ踏み出した。
「・・・・・・」
赤服は無言でそんなお嬢様に向かって駆け寄る。
「お嬢様ッ!」
間に合わない、私がお嬢様の前に出るより赤服の攻撃の方が早い。
絶望に目の前が一瞬真っ暗になる。
お嬢様が右手を真横に伸ばす。
私はその右手に見知らぬ懐中時計が現れたのを見た。
「油断したわね・・・・・・。無防備に突っ込んでくるなんて。猪じゃあるまいし」
お嬢様が指を天に向ける。
《女王の雷槍!》
†††