70/141
3-31 休戦か?
†††3-31
「え・・・・・・?」
お嬢様が小さな声を出して吸い寄せられるように一歩、時計塔に近づく。
「お嬢様っ・・・・・・!」
私はお嬢様を止めなければならない、と感じてその手をつかもうとしたが間に合わなかった。
お嬢様は時計塔に向かって一目散に走り出していた。
私は赤服を目の前にして少し迷ってしまった。
「行けよ」
赤服がお嬢様を無表情で指さす。
煉瓦が通り一面にばらまかれ、時計塔の中の一室が見えた。
その様は臓物をぶちまけた人間の腹の中のようにも見えた。
その前でお嬢様は立ち止まった。
そして中にある何かを私がたどり着くまでの間、見つめていた。
†††
3-30のセリフを一部変えます。ご容赦を。