3-13 いつもは優秀なんだよ?
†††3-13
「はあ・・・・・・どうしよう・・・・・・」
私はいつの間にか涙目になっていたニーナをなだめた後、自室で服を着替えた。
その後、食事と風呂をすませつつ、日中にやり残した仕事をこなした。
そして今日の仕事を全て終え、いざ眠ろうとしたときのことである。
思い出したのである。
お嬢様とのケンカ、ではない。
忘れていたのは、旦那様は明日は会議にいかなければならず、お嬢様と遊ぶことはできなくなった、とお嬢様に伝えること。
とんでもない大失態。
お嬢様を疲労困憊にし、自信を喪失させ、更に追い打ちをかけ怒らせ、その上、当初の目的を忘れる。
ありえない。
執事としてありえない失敗である。
しかし、こうしてただ蒼い顔してベッドに腰掛けているだけではいけない。
せめて今日中にお嬢様に伝えなくては。
例えお嬢様にどれだけ嫌われていようと、どれだけ嫌われようとも。
仕事は仕事だ。
そう決意し私がベッドから立ち上がり、着替え、お嬢様の部屋へ行こうとドアに手をかけた時、ノブに触れる前にドアが開いた。
誰が来たのかと驚いてドアの向こうを見るが誰もいない。
どういうことだ・・・・・・、と背筋に寒いものを感じた私にもっと冷たい声が刺さる。
「おい。下だ、下」
下を向くと眉をつり上げて不機嫌そうなお嬢様が立っていた。
†††