表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
詰みゲー!  作者: 甲斐柄ほたて
第三章 狂った歯車は暴走を始める
50/141

3-10.5 ボケ話

†††3-10.5


「お嬢様、お昼にしましょう」

「ふう、やっとか・・・・・・」

ずーっと木に手を当てて集中しっぱなしだったお嬢様は疲れきった様子でふらふらとこちらに近づいてきた。

もっとも私が準備を始めた頃からそわそわと落ち着かない素振りを見せていたのだが。

「メニューは?何だ?」

「野菜や肉をパンで挟んだものですよ」

「素直にサンドイッチと言いなさいよ」

「それは向こうの世界の単語なので」

「この発言ってNGじゃないの?」

「・・・・・・大丈夫だ、って書いてありますよ。ほら、カンペに」

「あー、空からカンペが下りて来たー・・・・・・。ってこれ、どういう状況よ!?」


ともあれ食事は進んだ。お嬢様は気力の限界というやつか、普段よりややグチっぽくなっていた。

「そもそも何で魔術が使えないといけないのよ。使えなくてもいいじゃない」

「ツールとして非常に便利なんですよ」

「別にわたしが使えなくても、使える人を雇えばいいじゃないの」

「それは・・・・・・」

「全く、こんなの時間の無駄よ。全く・・・・・・」

ぐちぐちぐちぐち・・・・・・。

その後もしばらくお嬢様のグチにさらされて私はちょっと思考が過去に飛んで行ってしまった。逃避の一種だろう。


私が魔術を習ったときは今日の比ではなかった。大体同じような魔力を感じ取る、という訓練を朝から晩まで(ここは同じだが)対人でやるのだ。

対人の方がやりやすいんじゃないのか、と思うかもしれないがそれは違う。むしろ危険だ。

初心者にとって、相手が達人級の人でない限り、対人で魔力の読みとりをするのは危険だ。魔力を感じ取ろうと無防備なところに未熟な相手の不安定な魔力が流れ込むのだ。素手で火に触るようなものである。


だから今日も私の魔力を感じ取るのではなく、木の魔力を感じ取るという形式にしているのだ。


昔流の無駄に厳しい訓練を思いだしていると、自分とお嬢様を比較して考えていることに気づいた。

ダメだ。今はもう時代が違うのだ。

比べるな、比べるな・・・・・・。


「おい、聞いてるのか!」

「はい!き、聞いてますよ!もちろんです!」

「じゃあ、今わたしが何と言ったか言ってみろ」

「そ、それは・・・・・・」

今の方がずっと試練の時かもしれない。


†††

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ