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2-20 王
†††2-20
「なんや、お前が勇者かいな。えらい頼んなさそうやんけ」
「は、はあ。すみません」
自分に落ち度はないはずなのだが思わず謝ってしまった。
しかしながら、跪いて頭を下げなければならない相手だとどうしても強く出られない。
俺は元々そんなに強気な性格ではないのだ。
「まあ、ええわ。今はお前みたいな奴でも頼らんとしゃあないもんな」
「が、がんばります」
俺はこんな言葉遣いでいいのかな、と思いつつ答える。
側の大臣の行列がざわついたが問題の関西弁が大丈夫そうなので大丈夫だろう。
「おい、大魔術師。こいつで間違いないんやな?任命するで?」
「はい陛下。間違いありません」
レインが頭を下げてそう答える。
・・・・・・そう、俺は今この国の国王の前にいる。
レインとミリアとキティとたくさんの兵士がいた部屋から出て、身ぐるみを剥がされ、調べられ、洗われ、着替えさせられ、待たされ、俺は今ここにひざまずいている。そして膝はけっこう痛くなってきていたりする。
それはなぜか。王様に謁見するため、無礼の無いように。
そうして謁見した国王はなぜか関西弁だった。
†††