2-2 半年前の重い話
†††2-2
「まず俺はこの世界の人間じゃない」
ミリアとキティは目をまん丸くして互いに顔を見合わせた。
「今朝、俺は元いた世界からこの世界へとなぜかやってきた。最初は夢だと思ってたんだが・・・・・・」
俺はミリアとキティの顔をよく見ていった。
「多分違うんだろうな」
「・・・・・・ここは夢の世界じゃないわよ。現実の世界」
<うん・・・・・・>
「・・・・・・本当に夢だったらよかったんだろうけどね」
キティはうなずき、ミリアはちょっと下を見てぼそりとそう言った。
しかし、すぐにミリアは顔を上げた。
「この世界に来たきっかけは?どうやって来たの?」
「わからない。雪山を歩いてたんだ。そしたらいつの間にかこっちに来てたんだ。だから、どうやって来たのかは全然わからない」
<雪山を?あの格好でかい?>
黒猫キティが聞く。さっきまでの俺の半袖短パンのことだろう。今はミリアに勝った報酬で買ったマントを羽織っているが。
「そうだ。俺は・・・・・・あの山を死ぬために登っていたんだ」
再びミリアとキティは絶句し、ミリアは眉をつり上げやや強い口調で問いただした。
「・・・・・・どうして?」
そう聞いてくるミリアの目を俺は見ることができなかった。
答えが無い訳じゃない、だが見ることができなかった。
「・・・・・・知りたいのか?」
「ええ」
「・・・・・・長くなるぜ?」
答えはあるのだが、それを説明するには少し時間を逆上らなければならない。
ミリアとキティがこくりとうなずいたのを見て俺は話し始めた。
「あれは半年前のことだ」
†††