1-20 自己紹介……?
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<ねえ、彼は誰なんだい?>
少女とその肩に乗るキティとかいう黒猫の二人は向こうをむいてひそひそ声で話し出した。ちなみに声はばっちり聞こえている。
「確か・・・・・・彼はサッキー・ジョンよ。勧誘に成功したわ」
<わお!やるじゃん!サッキー・ジョン・・・・・・。ハハ!変な名前だね!>
「ふふふ、そうね」
「・・・・・・いやいやいや待て待て待て!」
ついに俺は割り込んだ。
「誰がサッキー・ジョンだ!」
「・・・・・・あんたでしょ?」
「違う!俺の名前は坂井翔太!サ・カ・イ・ショ・ウ・タ!わかったか?」
<ところでサッキーはさあ・・・・・・>
「サッキーじゃねえ!坂井だ!」
<同じじゃん>
「全然違うわ!」
<サッキーって面白いね!>
「そうね。面白いのは顔だけかと思ってたわ」
「俺はサッキーじゃねえ!あと、さりげなく失礼だろ!」
「事実じゃない、ねえキティ?」
<ね!>
「・・・・・・お、俺の顔って面白いのか・・・・・・?」
そこで少女が咳払いを一つ。
「けほん。ま、冗談はさておき」
「冗談で人の顔、面白いとか言うなよ!」
<うるさいなあ、余計モテなくなるよ>
「うるせえ黒猫!余計って何だ!」
<助けて~。ジョンがいじめるよ~>
「ジョン!黙りなさい!」
「・・・・・・もういいや。好きにしてくれ」
俺(坂井翔太)はもう言葉を発する気力をなくした。
そして静かになったところで少女は質問から始めた。
「あなた、キティの声が聞こえるのね」
俺(ジョン?)は黒猫、キティを横目でちらりと見て、ああ、と答えた。
「そう・・・・・・。猫の声が聞こえる人間は魔術の素質があると言われているわ」
「じゃ、じゃあ、俺にも魔術の素質が・・・・・・?」
<あるかもしれないね!ジョン!>
「・・・・・・。・・・・・・ありがとうキティ・・・・・・」
「というわけでますますあなたはレジスタンスに必要な人材となったわ
」
俺(ジョン!)は少女のその深い蒼色の瞳の色が少し気にかかった。
「なあ、」
なに?、と少女が返事する。
「もし、俺に魔術の素質が無くても入会させてたのか?」
「もちろん」
「そのとき、俺は何をすることになったんだ?」
「・・・・・・そのうちわかるわ。さて、もう行きましょうか。・・・・・・あ、そうだ」
少女は思い出したように俺にほほえんだ。
「私の名前はミリアよ。ミリア・ワッフルワイン。よろしくね」
小さな黒猫を肩に乗せ、イヤリングを煌めかせながらミリアは満開の笑顔を俺に見せたのだった。
†††