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詰みゲー!  作者: 甲斐柄ほたて
第五章 盤上の仮面舞踏会
138/141

5-1 選択(後半)

隠者の忍び屋敷ハイドアウトマンションから外の世界に出るとそこは早朝の王都だった。数か月前の記憶が確かなら街の中央にある広場のようだ。

その広場の真ん中にまさにキャシャラトのような乗り物が


どん!


と居座っていた。




「これが〈キャシャラト〉です!」


レインが指さしたのは流線型のフォルムを持った小型の輸送機だった。大きさは二十五メートルのプールにすっぽりと入る程度。色はくすんだ青と灰色。


「おー、これが〈キャシャラト〉か!カッコいいじゃん!」

「いいから乗れ!」


〈キャシャラト〉の大きさに感心していたジョンであったが、シャープによって機体のわき腹に付いているドアに突っ込まれた。


「ローシェ、もう時間が無いから飛ばしてちょうだい!」

「了解です!」


レインが操縦席の辺りに命令すると少年の声が返事をした。直後、〈キャシャラト〉が大きく揺れ始める。明らかに離陸が始まっていた。


「ジョン!」


レインに呼ばれたのでジョンは開けっぱなしのドアから首を出した。機体は既に少し浮いていて今にも飛び立とうとしていた。


「必ずミリアを連れ帰ってください!さもないと・・・・・・」


レインは二の腕を曲げた。


「お仕置きです!」


二の腕を曲げたのは失敗したら拳骨、という意味か。


「わかったよ!殴られたくないからな!必ず連れて戻るよ!」

「約束ですよ!」


ジョンがドアから頭を引っこめると同時に<キャシャラト>が低い機械音を発して飛び立った。



***



みるみる小さくなっていく〈キャシャラト〉を見上げてレインがつぶやく。


「行っちゃいましたね」

「そうですね、お嬢様」


レインがオーレンを見上げてニヤリと笑った。


「これから忙しくなりますよ、オーレン」


くるりと踵を返して足早に王城へと向かうレインと、その後ろを三歩退がってついていくオーレン。


……何年も続いてきたこの微妙な距離が修復しようもないほどに離れてしまうのはこれから一ヶ月後のことである。



*7/15に最初の場面がどこかわからない問題を修正……したつもり。

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